フェブラリーSを考える

【バラエティーに富んだメンバー構成】

 フェブラリーSは東京1600mで開催されるダートG1ですが、今回はかなり色々な路線からメンバーが集まっています。改めて出走予定馬の前走と脚質を整理してみますと
・アルファマム 根岸S(東京1400)、追込
・イグナイター JBCスプリント(大井1200)、逃げ先行
・ウィルソンテソーロ 東京大賞典(大井2000)、先行(差)
・カラテ AJCC(中山芝2200)、先行
・ガイアフォース チャレンジC(阪神芝2000)、先行
・キングズソード 東京大賞典(大井2000)、先行差
・サンライズホーク 兵庫GT(園田1400)、逃げ先行
・シャンパンカラー 安田記念(東京芝1600)、先行差
・スピーディキック JBCレディスクラシック(大井1800)、差
・セキフウ 兵庫GT(園田1400)、差追込
・タガノビューティー 根岸S(東京1400)、差追込
・ドゥラエレーデ 東京大賞典(大井2000)、逃先行
・ドンフランキー 東京盃(大井1200)、逃
・ペプチドナイル 東海S(京都1800)、逃先行
・ミックファイア 東京大賞典(大井2000)、先行差
・レッドルゼル 武蔵野S(東京1600)、差追込
 登録馬で賞金順だとジャスティンカフェ、シャマルは出走可能ですが、ジャスティンカフェは回避、シャマルはかきつばた記念予定のようですので、サンライズホークとアルファマムを現時点の想定としておきます。(もう一頭回避するとオメガギネスまで出走なので、どれかが回避してオメガギネスが出てきそうな気もしますが…)
 かなり色々なローテーションを経て各馬出走してくるわけですが、注目したいのはイグナイター、ドンフランキー、サンライズホークの単距離から出てくる逃げ先行の3頭。3頭ともが重賞で連続好走しながら出走してくる実力馬ということもあり、がしっかり前に行って流れを作る可能性が高い。
 そうなると、これだけ色々なメンバーが出てきていますが、基本的には「スプリント質のテンのスピードに対応できるだけの追走力」これが求められると考えて良いでしょう。
 その中でもハナへのこだわりが強いドンフランキーがどんなラップを刻むか参考値で行くとプロキオンSが稍重でハイペースを刻んで12.0-10.8-11.1-11.6-12.2-12.5-12.8で前半3Fが33.9とかなり早い。良馬場のレースでも34秒前半で行くことが目立っているので、今回マイルへの距離延長で多少慎重に行ったとしても34.5前後で行って前半半マイルが46秒前半くらい、番手につけそうな2頭も距離延長でペースはできるだけ流したくないであろうということを考えるともしかしたら最初の2Fだけが早くてそこからはスローで流れるかもしれない。中距離質の馬が多いが故にテンのスピード差が思わぬスロー展開を招く可能性があるということは一つ頭に入れておきたい。
 スローになった場合は今年の根岸Sのように後方待機の馬が全く届かないし、仮にスプリンターたちがスピードに任せてハイペースに持ち込んだ場合は中距離で差してきた馬たちは追走で足を使わされてしまうので勝負所で更に加速するというのは非常に困難。そうなった場合は距離短縮でも前目のポジションをとれるだけのスピードがある中距離の先行馬、あるいはハイペースでも足を溜めることが出来る距離延長の差馬に展開が向く可能性が高い。
 この3頭がすんなり隊列を確定させやすい枠並びになるかどうかは注目したいポイント。

【チャンピオンズCとは求められる適性が違う】

 昨年のチャンピオンズCを予想したときも触れましたが、チャンピオンズSは血統的にはサンデー系を持っている馬が非常に良績を残しやすいレース。昨年の結果も含めて良馬場で行われた直近10年で馬券になった30頭の内23頭が父か母父にサンデー系を持っている。
 タフなスタミナと直線での伸びが重要なのがチャンピオンズCだとすると、スタートからのダッシュ力とそのスピードをゴールまで何とか持続させる力が求められるのがフェブラリーS。
 良馬場で行われた直近10年での血統を見た時に、サンデー系というくくりで見ると父か母父に入っている馬は結構数がいるものの、ゴールドアリュール産駒がかなり多く、ダートG1を勝っていないサンデー系を父か母父に持っている馬でカウントすると30頭中8頭まで少なくなり、一方でチャンピオンズCの方では劣勢だった本場米国系のダート血統を持つ馬の割合が増えてくる。
 また、馬体重にも傾向が表れており、チャンピオンズCだと520㎏を超えるような大型馬は比較的苦戦する傾向にあるが、フェブラリーSでは去年こそレモンポップが518㎏でギリギリ届いていないものの、大抵の年で520㎏を超す大型馬が1頭以上は走ってくる
 今回のメンバーは中距離で活躍してきた馬も多いため、比較的馬体重が軽い馬も多く、前走の馬体重が520㎏を超えている馬は
・カラテ 540㎏
・タガノビューティー 520㎏
・ドンフランキー 588㎏
・ペプチドナイル 534㎏
 の4頭しかいない。この4頭の内、フェブラリーSで好走の多い米国系の血統を持っているのはカラテ、タガノビューティー、ドンフランキーの3頭、特に父母父にサンデー系を持っていないカラテはこのレースに適性を持っていてもおかしくなさそう。
 逆に、人気サイドになりそうなチャンピオンズCで好走してきたウィルソンテソーロ、ドゥラエレーデは芝質の血統であり馬体重も足りておらずフェブラリーSでは苦戦傾向のタイプ。違う適性を求められるフェブラリーSでは通用しないという可能性も十分あるだろう。

【現時点でのまとめと注目馬】

 予想のポイントとして注目しているのは上記の2点ですが、今回のメンバーだとかなり絞れる。
 まず、展開面で恵まれない可能性が非常に高そうな「中距離から参戦してくる差馬」
・キングズソード
・スピーディキック
・ミックファイア
 キングズソードは人気サイドになるかと思いますが、鞍上も決め打ちでスタートから手綱を動かして自分からポジションを取りに行くタイプでもないので、ちょっと恵まれないポジションに納まってしまいそうであり、今のところは軽視したい気持ちが強い。
 次に、あっさり隊列が確定してスローで流れてしまった場合に展開面で不利が大きそうな追い込み馬
・アルファマム
・レッドルゼル
・タガノビューティー
 3頭とも単距離で活躍しているので追走スピードこそ問題なさそうだが、スタートからの二の足の遅さが追い込みにならざるを得ない理由なので、中距離馬が多いこのメンバー構成でも最後方付近の位置取りになる可能性は高い。そうなった時に外に持ち出して追い込むのはロスも大きそうで、なかなか恵まれる展開は想定しづらい。
 次にチャンピオンズC好走組
・ウィルソンテソーロ
・ドゥラエレーデ
 前述のとおり求められる適性がかなり違うチャンピオンズCの好走はフェブラリーSにあたってはむしろマイナス。(それだけにレモンポップの強さは際立つところだが…)血統的にも逆風であり、ここは疑ってみても良さそう。
 そして初ダート
・ガイアフォース
・シャンパンカラー
 流石にダートG1なので、これまでに一回もダートを走ったことが無いというのは厳しい。ガイアフォースは芝でもG1に手が届きうる能力を持っているとうことである程度人気をしそうではあるものの、G1じゃなくて重賞でも初ダートではほぼ好走例が無い中でいきなり好走というのはかなり厳しいと思う。(カラテは一応2歳未勝利時に2回使ったことがあるので全くの初ダートという訳ではない。)
 ここまでで既に10頭に疑いたい理由があって残るは
・イグナイター
・カラテ
・サンライズホーク
・セキフウ
・ドンフランキー
・ペプチドナイル
 の6頭。

 この中で注目したい3頭について書いていきます。
・イグナイター
 まずは人気サイドになるとは思うがこの馬から。
 JBCスプリントでリメイクを撃破、離されたものの南部杯ではレモンポップと真っ向勝負しても沈まずに粘り切っての2着、タガノビューティー、カフェファラオやノットゥルノ等実力馬を下している。他にも交流重賞を複数勝利している実績があり、メンバー内でも上位の実績を持っている。
 血統的にはこのレースと相性のいい米国系の血統構成ではないものの、父はエスポワールシチーでありフェブラリーSの勝ち馬。産駒がフェブラリーSで良績を多く残しているゴールドアリュールの血を今回のメンバーで唯一持っているというのは面白い。
 脚質的にもドンフランキー、サンライズホークに近い位置で競馬をできそうで、距離に不安のある2頭が前で苦しくなった時には最も恵まれるポジション取りが叶いそう。
 鞍上は西村騎手、出走を決めたタイミングの関係だとは思うがガイアフォースではなくこちらに騎乗してくるというのはかなり魅力的。先行力の高い馬との相性もいいので手は合いそう。
 ドバイにも招待されている地方の王が、レモンポップ不在の中央G1で君臨する可能性も十分期待できる。

・ペプチドナイル
 今回のメンバーでは数少ない馬体重520㎏超の大型馬。
 前走の東海Sでは2走前のイメージを引きずってスタートから控えてしまい、かなり行きたがっており追走での消耗が大きかった。せっかく内で溜めていたのに、早い段階から外3.4頭目あたりを回して前を躱そうとしており、只でさえ溜まっていない足を早々に使い切ってしまった。それでもしぶとく差の無い6着に残したのは地力と素のスピード能力の高さ。
 気性的にはマイルの速いスピードで追走できた方が自分に合ったペースで楽に走ることが出来そう。
 今回初の58㎏を背負う馬がそこそこいる中で59㎏を背負って勝利した経験があるというのも大きい。
 脚質的にも中距離であれば(前走のように無理に抑えなければ)確実に前に行けるだけのテンの速さはあり、今回のメンバーであれば楽に逃げ先行を見る位置につけることは叶いそう。
 足が溜まれば35秒台の上りを使うことが出来るだけの脚力もあり、ポジションと展開次第では十分にチャンスがありそう。
 昨年の北海道で見せたパフォーマンスは過去のG1馬に匹敵するレベル。その後は中々恵まれない競馬が続いているが、メンバー手薄な今回東京でその素質が開花sる可能性は十分にあり得る。
 血統的には相性のいい米国系ではないが、米国系が入っていない好走馬のパターンでは数が多い父キングカメハメハ×サンデー系の組み合わせ。
 馬体としても”トモのボリュームがある””足長体系で前後のバランスよい””飛節が立気味で一歩が大きい”などフェブラリーSの好走馬によくみられる条件を満たしている。
 かなり色々と噛み合いそうな今回、かなりの人気薄で買えるならば狙ってみたい。

・カラテ
 前述のとおり血統と馬体重は好走傾向に一致。
 トモのボリュームこそちょっと物足りないが、ペプチドナイルと同様に馬体のつくりもかなり東京マイルに適性が合いそう。
 芝でも重賞勝ちは東京新聞杯、新潟記念、新潟大賞典と左回りのワンターンコースのみ。ダートにはなるが同じく左回りのワンターンコースで適性を見せる可能性はあり得る。
 東京新聞杯を2年連続で好走しているという実績も面白く、早い流れに対応して好位からしぶとく末脚を求められる東京新聞杯への適性は足元は違えど今回のレースで求められる適性に近い。
 鞍上も長く手綱を取り続けている菅原騎手が継続騎乗。穴の差馬に乗っているときほど怖い時は無い騎手。パワフルに追えるので東京ダートの差馬でも活躍が目立っている。
 ローテーションとしても、年齢を重ねて芝のマイルのようなスピード帯でい以前のようなパフォーマンスが望みにくくなった故の中距離延長だったが、ダートに変わって末脚のトップスピードが求められないのであれば対応は可能かと思う。
 前走が不良馬場の中山2200というかなりスタミナを要する舞台だったこともあり、いきなりの距離短縮、条件替わりで爆発的なパフォーマンスを発揮するということは条件戦では珍しいことではない。G1ということでそれを理由に極端に嫌われるのであれば、これだけの実力馬。馬券の端に入れておいて損はないのではないだろうか。

【終わりに】

 もちろん、今回割り引いた馬も、調教の動きなどで評価をあげる場合はありますが現時点では、前目の馬を中心に狙っていきたいなと思っています。
 このままオメガギネスが除外になった場合、なんとルメール&川田が不在のG1になりそうで、道中で流れが緩んだとしても敏感に察知して動いてくれる騎手がいない。距離延長の慎重逃げで前が楽な展開になれば大荒れに期待できそうです。
 本命不在の大混戦。仕留めたいですね。

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