アルゼンチン共和国杯の予習をします

【極端な血統の偏り】

 東京2500は坂の途中からスタート。東京コース自体アップダウンが多くタフなコースだが、2400mから100m伸びるだけとはいえこの上りスタートがタフさを加速させる。
 同じコースで開催される目黒記念はダービー直後ということで、騎手のメンタル的な影響も大きく極端な展開になることが多く、一定の適性が求められない傾向にあるが、アルゼンチン共和国杯は東京2500らしいレースとなることから、好走馬の血統にもはっきりと傾向が表れる。
 秋の時計が出やすい時期に行われるタフな非根幹距離ということで「時計への対応」と「スタミナ、馬力」そして「非根幹距離、持続力への適性」ここら辺がキーワード。持っていたい血は2つ。
・トニービン(11)
・ロベルト系(12)
 これを持っている馬の好走が目立って多い。()内の数字は過去10年で馬券内に好走した馬の内、父・母父・父母父・母母父までにこの血を持っていた馬の数。2年好走している馬は2で数えているので延べ数字にはあるが、直近30頭の内1/3はこのどちらかの血を持っている。
 この2つを持っていなかったとしても、スタミナを求められる非主流のコースに強いステイゴールド系などの血統が目立つ。
 サンデー系で父母父にトニービンを持つハーツクライ産駒はこのレースにかなり強く、ルーラーシップ×サンデーサイレンスのムイトオブリガードが2年連続の好走。オルフェーヴル×シンボリクリスエスのオーソリティが2連覇していたりというのはかなり好走血統を象徴している。
 今年も登録しており去年も5番人気で2着に好走したハーツイストワールは父ハーツクライで母系にロベルト系が入っており、まさにこのコース向きという血統。
 逆にディープインパクト産駒は苦戦が続いており、近10年というか、アルゼンチン共和国杯で唯一馬券になったのは、このレースと非常に相性の良い六社Sで3着後、56㎏→53㎏減と恵まれた条件での出走となった2017年のソールインパクトただ一頭のみ。
 ここまで偏りがあるのであれば、極力軸は好走血統から狙いたいところ。

【血統以外で気にしておきたいこと】

 気にしたいのは2点、年齢とローテーション。
 流石に時計の出る時期の東京開催ということで、スピードの衰えがある高齢馬では中々好走が難しく、近10年で馬券になっているのは6歳まで、7歳以上は全滅している。もう10年遡ってもその傾向は変わらず、近20年で7歳馬は3着が1回あるのみ。唯一3着に好走した2005年のコイントスは2番人気に支持されており、人気薄で7歳以上となると1頭も来ていない状況。
 もう一つのローテーションは、求められる血統からも分かるようにスタミナや馬力が求められるレース質なので、基本的には距離延長ローテーはマイナス。距離延長でも好走するためには、前走比較で追走を楽にするために斤量減や相手関係の弱化が求められるところ。
 2400からの延長ならばそこまで差が無いので影響は出ていないが、実績を見ても2200からの延長であればG1を目指す馬の出走多くハイレベルになりやすいオールカマーからの出走や、宝塚からの休み明け。それ以外だと条件戦を勝利しての重賞挑戦で斤量減が目立つ。

【以上を踏まえて今回出走馬をチェック】

 除外対象の馬も含めてまず消し要素をチェック。
・7歳以上
 アフリカンゴールド、ハーツイストワール、ヒュミドール、マイネルウィルトス、ユーキャンスマイル
・1F以上の距離延長かつ斤量減なし
 アーティット、グランオフィシエ、ゼッフィーロ、ユーキャンスマイル、フォワードアゲン
・ディープインパクト産駒
 アーティット、ゼッフィーロ、ディアスティマ、レッドバリエンテ

 これで残っている馬は
 アサマノイタズラ、アリストテレス、インプレス、ジャンカズマ、セファーラジエル、チャックネイト、テーオーソラネル、テーオーロイヤル、ニシノレヴナント、ヒートオンビート、プリュムドール
 この時点で残り11頭。更に、7歳以上馬が厳しい=スピードが求められる→斤量が重い馬は厳しいということで考えてみると
・ヒートオンビート
 前走から+1kgで59㎏のトップハンデ
・テーオーロイヤル
 前走から+1.5kgで11か月の休み明け
・ジャンカズマ
 前走かなりタフ馬場でスピードが求められなかった丹頂Sを51㎏の斤量で勝利して今回+3kg
 とこの3頭もかなり厳しい条件となる。更に残っている馬の内、インプレス、ニシノレヴナントは除外対象なので、生き残ったのは
 アサマノイタズラ、アリストテレス、セファーラジエル、チャックネイト、テーオーソラネル、プリュムドールの6頭
 この時点で穴馬だらけの状態であり、既にかなりワクワクするが、これに好走血統を重ねると浮かび上がる激熱馬は次の3頭。

・チャックネイト
 これは人気サイドになるとは思うがあまりにも好走条件が揃った一頭。
 このレースと大変相性の良い六社Sの勝ち馬。
 血統的にもハーツクライ産駒で父系にトニービン有、母父のDynaformerは父がロベルトであり濃い目のロベルト系、更に高速の東京芝での適性を助ける母母父キングマンボとこのレースを好走するために作られたかのような配合。
 鞍上はゼッフィーロがこのまま除外になればモレイラ騎手が回ってくる予定であり、盤石の体勢。
 前走の六社Sも相当のハイレベル戦であり、重馬場ながら2.24.0の走破時計は非常に優秀。レースラップもかなりの持続力戦であり、後半1000mを12.1-12.1-11.9-11.8-11.9と相当スタミナが無ければこなせないレースだった。
 クッション値の高い中京でも2勝しており、クッション値を問わず好走できるのも良く、前走からー2kgの56㎏で走ることが出来るのも文句なし。
 不安要素が無く、かなり軸向きな一頭かと思う。

・テーオーソラネル
 かなりの穴馬にはなるがこの馬もかなり条件が揃っている。
 血統は父シルバーステートということで父母父がシルバーホークなのでロベルト系有り。更に母母父にトニービンを持っており、このレースでの好走を助ける2つの血を両方持っている。
 2走前の七夕賞は通った馬が全滅する内から2列目に吸い込まれるように進路をとってしまい、10着大敗。前走のオクトーバーSは重馬場ながら勝ち馬が1.58.0で逃げ切ってかなり時計優秀。この馬も1.59.0で走破しており、厳しいラップを前受けしてこのタイムは決して評価を下げる内容ではない。
 また、実績としても中京→阪神→阪神と全て良馬場で3連勝しており、適性は確実にクッション値が高く時計の出る馬場にある。今回久々に時計の出る良馬場の東京で走ることが出来れば一変があってもいいかもしれない。
 前走からー2kgの56㎏で走ることが出来るのもかなり良く、逃げ先行馬を見るような中団前目の位置で足を溜めることが出来るような枠並びになれば穴の一撃が合ってもいい条件は揃っている。

・アリストテレス
 全く人気は無いと思うがこの馬もかなり条件が揃っている。
 父はエピファネイアということで分かりやすくロベルト系持ち。母父はディープインパクトだが、母母父にトニービンがあり、好走血統を両方備えている。目黒記念は前走含め2度大敗しているが、アルゼンチン共和国杯は初出走、このコースに適性無しと侮られるならば面白い。
 また、前走から同距離で斤量-1kg、前走の映像を見返してみると外枠からではあったがポジションとりに行って内から2列目に納まり、開催が進んで比較的馬場が荒れ気味ところを通している。であれば今回は斤量減で足元向上とエピファネイア産駒としてはかなりプラスのローテーションになり、前走ポジションを取った分、今回少し控え気味の競馬を選択できた場合は最後まで足をつかうことが出来る可能性はある。
 今回上村厩舎に転厩して調整過程にも変化有、一週前はCWで併せ馬をこなしながら終い11.8-11.2と近走にない鋭い伸びを見せており、日曜日にも坂路で55.9を出すなど一変があってもおかしくない状態。6歳秋と年齢的にもギリギリ、今後これ以上条件が揃うタイミングは無いかもしれない。

【まとめ】

 とりあえず枠順確定前に予習ということでまとめてみました。
 現時点ではこの3頭に注目していますが、チャックネイトはかなり好走の確率高いんじゃないかなと思います。そこにテーオーソラネル、アリストテレスのどっちかでも絡んでくれればその時点でかなりの高配当、消し条件に該当している馬でも、近走内容から抑えたい馬もおり、例年固くおさまりがちなレースではあるが、今年は荒れに期待してもいいんじゃないかなと思っています。今週G1の狭間ではありますが難解な4重賞が並んでおります。なんとか気持ちよく次のエリ女に臨めるよう頑張りたいですね。

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