滲み

失くしてしまった
あの日の感性

いつからか
大人の顔で
世界を知ったように生きて

良識と狂気の狭間で
かろうじて生き残って

それでも今を生きようと
格好のいい言葉を並べ立て

ありもしない情熱を
愛と言う言葉で囲い

すぐ そこにある本音に蓋をし
常識のレールが
まっすぐと
この先の未来を作る

誰のための優しさなの

死にたいならば死ねばいい

その苦しみは
後に残る人だけが知っている

絶たれたその命の先に救いはなのだろう
安らぎも平穏も
それらはすべて
後に残る人が感じること

その傷に触れてみても
痛いのはわたしじゃない
歪んだ顔に
涙して
ただあなたを愛しく想うだけ

そんなことはわかっている

わたしはあなたにはなれない

それでも

わたしが触れていたいのは
あなたそのもの

その悲しみさえ
その苦しみさえ
あなたの感じるものならば

すべて飲み干して
ただあなたを抱いていたい

月が綺麗だとか
朝陽が清々しいとか
世界の美しさを並べ立てて
みたところで

あなたに敵うものはない

どうか
わたしとともに

生きて、生きて

この想いが砕けたとしても

あなたがいればそれでいい

たとえ
月が消えたとしても

たとえ
朝陽が昇らなくても

あなたのならば
その傷も
その痛みも
すべて飲み込んでしまいたい

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