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高校生クイズ決勝 大谷問題易しい解説

とても答えが気になる問題だったが、放送では前提条件が一瞬で消えてしまい、さらに解説も一切なし、ふーんくらいで終わってしまった。どういう計算方法で飛距離が求められるのか気になった方も多いのではないだろうか?そんな方のための易しい解説です。どうぞ!

まずは計算の見通し

計算を始める前にざっくりゴールを思い描いてみよう。

バットで打ったボールは放物線を描いてホームランとなる。物体が放物線を描いて飛んだときの飛距離の求め方は高校物理で習った。(たしか1年生で習ったような。)下記を見て高一物理を思い出してみよう。斜方投射における物体の飛距離は初速v0と角度θが決まれば一意に定まる。角度θは前提条件で定義されているので、どうやら下図でいうボールの初速v0を求めればOKそうだということが見通しとして立てられる。

斜方投射

後はどうやって初速v0を求めるかどうかだ。

消えた前提条件

前提条件

上記が番組内で一瞬だけ映り、忽然と姿を消してしまった計算の前提条件。ボールがバットに接する時間大谷がボールに加えた力が定義されていることから力積や運動量を使ってボールの初速v0を求めるんだろうなという方向性が感じとれる。文章を見ていても解けなさそうなので、下記のように簡単なモデルで表してみよう。

頑張って作った図

だいぶ状況を整理することができた。ここまで状況を整理できればあとは何とか計算できそう。これも高校で習った力積と運動量の関係を思い出しながら解いてみよう。

解答

まずは解答例を下記に示す。

頑張って書いた式

これをテレビの前というプレッシャー、決勝までの疲労感、制限時間の中でこの細かい計算はかなりしんどいと思われる。計算式を立てることに関してはとんでもなく難易度が高いわけではないが、計算ミスせずに正確な解答を出すのは至難だったと思う。

補足

ボールの水平移動距離Lと初速v0、仰角θの以下の関係式がやや唐突だったと思うので補足したい。

ボールの水平移動距離

まず斜方投射の運動について下記図を参考にしていただきたい。考え方の基本は水平方向の運動と鉛直方向の運動を分解して考えること。下図のように水平方向の運動は等速直線運動、鉛直方向の運動は鉛直投げ上げの運動となる。ここで求めたいのは水平方向の移動距離Lなので等速直線運動に基づいて、L=v₀·cosθ×t···①でOK。つまり移動時間tが分かればLが求まることがわかる。移動時間tは鉛直投げ上げ運動から求めていく。

斜方投射のイメージ図

さて高校で習った鉛直投げ上げの公式を思い出してみよう。下の表懐かしいですね。鉛直投げ上げの公式は一番右です。
ボールが距離L移動する際の鉛直方向の運動を考えると、高さ0から高さ0まで帰ってくる。この時かかる時間を下記公式で求めよう。高さと時間の公式のy=0を代入してtを求めると、t=0、2v₀/gの2つが導出される。もちろん今回の答えとしては後者の2v₀/g。今回初速度はv₀·sinθなのでt=2v₀·sinθ/g···②となる。

懐かしの公式たち

よって①②よりL=v₀·cosθ·2v₀·sinθ/g=2v₀²·sinθ·cosθ/gとなる。
以上、お疲れさまでした!


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