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猫写真の無い猫日記。ノミダニ予防薬

 今日は月に一度、肩甲骨の間の毛をかき分けて地肌にノミ・ダニ予防薬を垂らす日。
 垂らされて痛いわけでも痒いわけでもないだろうに、我が家の猫先生はこの薬を垂らされるのを好まない。
 薬を垂らすつもりだと察知するなりススススススと素早く移動して人間の手が届かない隙間や箱の中に籠城してしまう。

「薬を垂らすぞ」と考えているこちらの思考を読んで逃げるので、今日は極力べつのことを考えながら、それとなく猫先生に接近した。
 窓辺のカラーボックスの上で日課のご近所ウォッチング中の猫先生。
 その頭を撫でて、うなじを撫でて、肩の間の毛を「肩凝りますか」と声かけしながらかき分けて、「凝ってますね」と引き続き声をかけつつ夫から薬の入った容器を受け取って滴下開始。

 以前処方されていたお薬は量が少なかったから一瞬でカタがついたのだけれど、コロナ禍で容器が入手困難になったとかで切り替えられた現在のお薬はけっこう量があって一、二秒では垂らし終わらない。五、六秒かかる。
 三秒くらい経ったところで猫先生に気づかれた。

(くつろいでたのに!)

 憤然としてカラーボックスを飛び降り廊下へ走り去った猫先生。
 追いかけると、猫先生は椅子の座面にはんてんをかけてかまくらみたいにしてある「祠(『ブレスオブザワイルド』の祠に一見似てるのでそう呼ばれている)」に籠城してしっぽだけ出ていた。
「お薬まだ残ってるから」と、抱っこしようとすると飛び出してカーテンの裏へ。
 それを追うとこたつの下へ。

 猫先生に本気で籠城されては人間にできることは何も無いので、薬の容器に蓋をして、録画しておいた『水星の魔女』最新話を視聴開始。
 たべっこどうぶつを食べながら視聴していたら猫先生がひょっこり出てきた。いつもはまんまるな目が疑いと恨みで半目。
 これを強引に追い回したら一気にへそを曲げて、今度はもっと捕まえにくいところに本気でひきこもられてしまう。
 経験上それが分かっているので、「猫先生もおやつ食べますか」ととっておきの特別おやつ「とろりっち」で接待。
 食べ終わった猫先生は満足しなかったわけでもないふうな顔になって、猫タワーのボックス部分にキュッと詰まって眠り始めた。
 
 その寝顔が可愛くて薬の残りが垂らせなくて今に至る。