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【第2回ひつじが文学賞結果発表】

ひつじが2回目の文学賞、おわりました。

前回同様、3ヶ月(7/1〜9/30)の応募期間とその後1ヶ月(10/1〜10/31)の投票期間は瞬きの合間に過ぎ去り、11月某日営業終了後の静かな店内でひっそりと開票作業を行いました。期間中、ご近所から遠方から様々な方がこの文学賞を話題にあげてくださり、また作品を出したり読んだりを楽しんでくださる方もたくさんいらっしゃって、改めて催してよかったなと昨年以上に喜びを噛みしめています。

そんな喜びを少しでも長く噛み締めていたいと、開票後もだらだらと日を過ごしていましたが、開票したのであればそりゃ大賞も決まるわけで。決まったのであれば発表しなければならないわけで。冒頭に「おわりました」って書いてるけど発表するまでは終わってないわけで。なんてむにゃむにゃしてる間に師走突入してしまったので、そろそろ終わらせようとえいやっとパソコンを開きました。

第2回の雑感

すぐに結果を発表するのも味気ないので、今回も先に雑感を書きます。こちとらそんな与太話にのんびり付き合ってる時間はないぞ、という方のために目次もつけておきますので、お急ぎの方はそちらでビュンと結果にお飛びください。

さて、第2回。後日談ということであれこれ書きますが、実のところ開催するかどうかずっと迷っていました。2020年の春先ごろから世間の様相ががらがらがらと変わってしまい、合わせるように私たちの暮らしも新しい様式に変化せざるを得ない状況になりました。今まで過ごしたことのない世の中で、自身やひつじがという場に何ができるのか、何をしなければならないのか(何をしてはいけないのか)をずっと考え続けていました。

その中で、文学賞は来店を伴わずに全国のどこからでも参加してもらえる試みとしてわりと早い段階で思いついてはいました。外出自粛を余儀亡くされた中で、ご自宅で楽しく過ごす手段のひとつにでもなればと、4月上旬緊急事態宣言が出た頃には今回のテーマ『手紙』も決めて、募集要項も下書きフォルダに格納して。

ただ、その頃の世間の空気は今改めて言葉にしたくないぐらいにどこか重々しく、街中もSNSもやれディスタンスやらやれ不要不急やら断絶を促すような言葉で溢れかえり、それが身を守るためで致し方ないのはわかっていても、どうしてそんな乱暴な言葉の使い方ができるのかと、一時期文字に触れるのすらしんどく感じてしまうような時期がありました。本や言葉を扱う店の人間としては致命傷です。(休業中でよかった……!)

自分の中で言葉に対する迷いがあるのに、その状態で他者に文字を使った『創作』を促すことがどうしてもできずに、下書きフォルダに入れた募集要項は一旦保留にして日々淡々と世間の動向を眺めていました。

5月末、世の中で人の往来が見え始めた頃にお店の営業も再開し、来店してくださったお客さんたちと話をしながら、明るい話題がポツポツと出始めたのを感じ、今ならやる意味もあるのではと下書きの募集要項を公開しました。
(それが偶然去年告知したのと同じ日付で驚き。ちなみに桜桃忌)

今年はこんな状況だったので持参での提出の他に郵送やメールでの投稿も受け付けていましたが、結果的にそちらの方が圧倒的に多かったです。中にはひつじがに行ったことはないけど気になってたという県外遠方の人からも作品をいただき、こんな最中に福岡の最果てにある小さなお店を認識してもらえてるのは有難いなあとただでさえ細い目がより細くなりました。

作品数も前回を若干上回り、なんとかかんとか賞としての体裁を保ててホッと一息。数以上に作品を出していただいた皆様や読んでくださった皆様とお店を介して繋がることができたのが何より嬉しかったです。

今回参加いただいた方へのささやかなお返しとして、読んだ感想のお手紙を現在ちょびちょびと作成していますので、どうぞ気長にお待ちください。

さて、いつになったら大賞の発表があるんだとお思いの方もいるでしょう。わかります。どのタイミングで発表しようと思いながら感想を書いてきました。ここまで根気強くお相手くださった皆様に感謝を述べつつ、いい加減怒られそうなのでそろそろ結果を発表します。

大賞作品発表

お待たせしました。大賞作品を発表します。

選考対象になった作品の中から皆様の投票にて選ばれた

第2回ひつじが文学賞大賞作品は…………

エントリーNo.18

伊東克啓さんの作品『茶やぎさんのおてがみ』が受賞しました!

(添付しますので、ぜひ読まれてみてください)

【提出用】茶やぎゆうびん

今回も力作揃いで票も割れに割れましたが、その差1票という僅差でこちらの作品が大賞に選ばれました。誰もが知ってる童謡をベースに、オリジナルの物語を創作されており、その世界観の美しさは度々店内でも話題にあがりました。

なお早速大賞作品をミッケ!フクオカvol.14でも掲載いただいてます。こちらでは書いてない寸評も載せてますので、どうぞそちらも合わせてご覧ください。

ひつじが特別賞

先述の通り、非常に甲乙がつけがたいほどどの作品も素晴らしかった今回の文学賞。投票された方からもひとつを選べないというお声を沢山いただきました。

かくいう自分も皆さんと同じく1票を投じたのですが、「シモダさんはどの作品に入れたの?」というご質問が多々あったので、今回特別賞として発表させていただきます。(とはいえ全部特別賞にしてしまいたいぐらい素晴らしかったです…)

第2回ひつじが文学賞ひつじが特別賞は

エントリーNo.5

坂本象さんの『忘れられた手紙』です!

作品を添付するかどうかは検討中ですが、気になる方はどうぞ店頭にてご一読ください。

第3回はやるの?やらないの?

まったく決めていません。「次回こそは……」との有難い表明もいくつかいただいており、個人的にも店外で皆様と関われる貴重な機会なので、今後も引き続き開催できたらいいなあという気持ちでいます。

一方で来年の今頃自分やお店がどうなってるのかわからないので、現時点での明言は避けて、また来年頃合いがきたらゆるゆる考えます。それを考えられるように場の存続についても引き続き考えていきます。考えることいっぱいだ。

日々刻々と(しかも劇的に)変容する時代、なるべく長く変わらずに楽しめるものを提供したいなと思いつつ、反面で刻々と変わるからこそ次があると思わずに瞬間瞬間の今を積極的に楽しむのも大切だとも思うので、今後も相変わらずその辺をうろうろします。道中一瞬でもご一緒できればこの上なくうれしいです。

おわりに

最近の個人的な悩みとしてポップな文章が書けないというものがあるのですが、今回も案の定どよーーーんと野暮ったい感じになってしまいました。とほほ。

噛み締め続けてる余韻を手放すのは名残惜しいですが、ここらで飲み込んで次の食事に備えます。長々と駄文にお付き合い頂き感謝カンゲキ雨嵐でございます。

最後に今回の文学賞に関わってくださった方々への感謝をば……

ミッケ!フクオカ様には大賞作品の掲載だけでなく、数回に渡って当文学賞のことをWEBマガジン上で応援発信していただきました。こちとらいかんせん情報発信が苦手なので、度々のご協力有難く頭が上がりません。

同じくシティ情報フクオカ様(次号掲載予定)にも大賞作品の掲載を快く承諾していただき、多くの方に当文学賞を認知してもらえるきっかけができました。雑誌の紙面上で作品を見るのが楽しみです。

主にSNS上での発信しかしていませんでしたが、多くの方が拡散に協力してくださり、そのおかげでこれまでひつじがのことを知らなかった方々のところにこの文学賞やお店のことを知っていただくことができました。本来お一人お一人に感謝せねばならないところをズボラして申し訳ありませんが、この場を借りてお礼申し上げます。

そして最後に、今回当文学賞に作品を投稿いただいた皆様ならびに作品を読みに来店してくださった皆様に何よりの感謝を申し上げます。面白がって関わってくださった皆様のおかげで企画が企画として成立したのはもちろん、それ以上に文学賞を通して皆様との繋がりを感じることができて嬉しかったです。

ありがとうございました!

ブックバーひつじが
シモダヨウヘイ