[読書メモ]『君はまだ残業しているのか』(吉越浩一郎)

p13
「残業せずに結果を出す方法」は必ずある

p14
残業というのは、多くの日本人にとっては解決の糸口すら見えないような大きな問題です。しかし、大きいからといって思考停止してはいけない。

p27
「時間内に終わらなければ残業すればいい」という考え方で対処していると、なぜ仕事が終わらないのかという理由がわからず、したがって抜本的な解決も図れないので、常に同じ問題が繰り返し発生し続けることになります。つまり、問題を顕在化し改善する絶好の機会が、残業によって奪われてしまうのです。

pp36-37
残業が常態化している会社の社員は、「与えられた仕事は何時間かかっても仕上げるのが責任ある姿勢だ」と信じていて、最初から、「就業時間内で仕事を終わらせよう」という気持ちなどまったくないのが普通です。/仕事を指示する上司も、「なるべく早く」とか、「できたら持ってこい」というように、期限を厳格に示していないことが多い。

p37
たとえば、これまでは「できるだけ早く企画書をまとめろ」という上司の指示に対し、部下が連日残業して三日後に提出するのが平均的なペースだったとします。これを「明日の会議で全員承認が得られる企画書を準備してくること。ただし残業は認めない」というように改めます。

pp37-38
それまでギリギリの状態で働いていたのならともかく、「どうせ残業すればいいのだから」という、弛緩(しかん)しきった仕事のやり方が身体に染み付いた日本のホワイトカラーは、もともとの仕事の密度が薄いはずですから、[日中の仕事の密度を上げても]心配するには及びません。

p40
過労死の原因は明らかに過度の残業ですが、正規の勤務時間における仕事の密度をいくら濃くしても、それが過労死につながることは絶対にありません。体力とは関係ないのですから、安心してください。

pp42-43
もっとよくなりたい、現実に満足せず、今より上を目指したいという目標や理想を持って働いているならば、問題というのはあって然るべきものです。

pp44-45
問題が起こったとき、最悪なのは、そのまま何もせず放置しておくことです。/時間がないとか、すぐには名案が浮かばないとか、放っておきたい理由はいろいろあるでしょう。でも、問題はおきっぱなしにしておくと、どんどん育ってしまう、という法則があるのです。

p45
問題というのは、単独で存在するように見えても、その実体は複数の小さな問題の集合なのです。しかも、常に周囲の問題を取り込んだり、問題同士がくっついたりを繰り返しているので、その根を絶たないかぎり、問題はからまりあってどんどん大きく複雑になっていく、というわけです。

pp47-48
あるときから、失敗に対して怒ることはやめました。「怒っても意味がない」ということに気がついたのです。/失敗を私に報告にきた時点で、すでに本人は十分反省しています。それをさらに怒ってみたところで、どうにかなるものでもありません。それよりも、怒るひまがあったら、一刻も早く「緊急対策」を考えるべきなのです。

p54
問題の全体像が見えにくいのは、端的にいうと、情報が少ないからです。

p55
天才以外は問題を「小分け」せよ

pp78-79
単に「結論はAだ」と伝えるだけでは、情報共有はできません。/「この問題に対しA、B、C、D、Eという解決策が出され、こういう議論を経てAという結論に至った」という、そこに行き着くまでのプロセスを同じ場で共有することで、ようやく自分もその決定に参加した、という意識が生まれるのです。情報共有にはこの「プロセスの共有」が不可欠なのです。

p93
目的地まで一番速くたどり着くためには、立ち止まらないことです。/A、B、Cのどれとどれを組み合わせたら速いか、などと考えているひまがあったら、最初に目に入ったAから順にどんどん片づけていきます。そのほうが速いし、しかも確実なのです。

p100
デッドラインを厳格に定めると同時に、一切の残業を禁じることを私は提案します。残業などしなくても、五倍のスピードで働けばいいんです。そうすればアウトプットも五倍になるはずです。

p132
大切なことは毎日仕事を終えたあとの三時間あまりを、「自分の人生のために投資する」、と考えることです。

p146
私にいわせれば、「協力が得られない」なんてやる前からわかりきっていることです。うまくいかない責任は部下ではなく、部下の意見に左右されるトップにあるのです。ノー残業デーにしても早朝会議にしても、そのトップが自分の会社に必要だと確信し、本気で導入しようと思うなら、部下の言葉に耳を傾ける必要などありません。「いいからやれ、俺の命令に従え」でいいじゃありませんか。/「そんなやり方は民主的じゃない」と思う人もいるでしょう。/でも、会社は「なかよしクラブ」ではないのです。

p147
組織を変えられるか否かは、ひとえにリーダーの決断にかかっていると思ってください。その際、部下との軋轢(あつれき)を恐れてはいけません。リーダーがやるといったら絶対にやる、それでいいのです。

p158
戦場や市場のように、絶えず予想外のことが起こる状況では、変化に応じて右に行くか左に行くかをとっさに判断し、迅速に行動できることが戦いに勝つための必要条件になります。つまり、大事なのはスピードなのです。

p169
そのよい面を盗み悪い面を学び、自分が将来リーダーになったときになにをするべきかを考える、ということは誰にとっても必要です。

p171
要するに、にぎやかで活気あふれるオフィスというのは、誰も仕事に集中していない状態なのです。それなのに、喧騒(けんそう)のなかにいるというだけで、なぜか自分たちは仕事をした気になってしまっている。こうした「悪い環境」で仕事をしていることも、日本の会社から残業がなくならない大きな要因の一つです。

p175
社員が仕事に集中できないのは、一つの部屋に同じ部署の人間が机を並べて仕事する大部屋形式をとっていることにも原因があります。/理想をいえば、会社は社員一人ひとりに個室を用意し、そこで仕事をさせるべきです。実際にやってみるとわかりますが、誰にも話しかけられず、余計な話し声も聞こえない状態で仕事をすると、騒々しいオフィスでやるより仕事ははるかにはかどります。

p186
もともと日本人というのは、なにか不平や不満があっても、文句をいうよりもじっと耐え忍ぶのが好きな民族ですが、最近はその従順さの度合いがいっそう強まったのではないでしょうか。

p193
自分のキャパシティを知るのは、それほど難しいことではありません。/仕事にデッドラインをつけて、自分を追い込めばいいのです。

p203
仕事というゲームの面白さを本当に味わいたいなら、最終的には独立して自分がトップになることを目指すべきです。

p209
実際に独立するしないはともかく、いずれは独立するぞ、という志をもっている人と、定年までこのままつつがなくいければいい、という人とでは、成長のスピードがまるで違う、これが私の実感です。

p209
組織を最終的に変えるには、トップが決断するか、そうでなければ気概のあるあなたが独立して自分で納得いく組織を作るよりほかありません。

pp242-243
残業は「悪」であり、残業をなくすことは経営にとってバラ色なんですから。

p243
社員にしてみれば「残業はするな。しかし結果は出せ」という無理難題を押しつけられるわけですから、仕事のやり方を根本から考え直すしかありません。

p243
今、多くの企業が抱えているコスト削減とリーダー育成という二つの大きな課題を、残業ゼロで解決できるのです。なぜ経営者が今すぐにでも始めないのか、本当に不思議でなりません。

p267
「良い習慣は才能を超える」

【誤植】
p253
誤:タブロイド端末
正:タブレット端末


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