[読書メモ][Kindle]『「学歴エリート」は暴走する』

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大半は出世の望みを断たれ、定年退職までを中間管理職に毛の生えたような「○長補佐」「△長代理」として過ごすしか道はないのです。

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「東大話法」とは、かいつまんで言いますと、わざと物事をややこしく、論点を難しくして問題をうやむやにし、状況を自分に有利なほうに誘導しつつ、相手を煙にまいて自らの責任を回避する話術です。

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今の日本にもっとも必要なのは、「自らの社会を覆う欺瞞を認め、事実を受け入れる」ということだと思っています。

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世間一般では、「東大卒」はその社会的地位（と周囲が認めたがるもの）の高さや、高収入などにひかれて高級官僚や銀行員という「エリートコース」を歩んでいると思われがちですが、実はそうとは言い切れません。「東大卒」というのは、他の道を選んでも成功する望みが少ないので、〝お役所系〟の「エリートコース」のみしか歩くことができないと言うほうが正しいのです。

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それは「学歴エリート」という人たちは、「事務仕事にはメチャクチャ向いている」からです。

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「自分を見失わなければ、何も恐れることはないんだよ」

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ともあれ、驚いた私は東大出身の研究者たちの言動を調べてみました。すると、さらに驚くことに、このように「立場」を明確にして、それから持論を述べるというスタイルがあちらこちらで散見されたのです。

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初めに「立場」ありきで議論を進めていくので、どうしても論理展開に無理が生じてしまうのです。

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我々は多かれ少なかれ、みな「立場」の「奴隷」であるということです。

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「役立たず」という扱いは、日本人にとって死刑宣告にも等しいものです。そこでみな必死になって「役」を果たしたわけです。こうして、「役」を果たすためにはなんでもしないといけないし、そのためならなにをしてもいいという日本独特の倫理観が誕生して、これは現在までなんら変わることなく続いています。

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半藤一利 著『日本型リーダーはなぜ失敗するのか』（文春新書）

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「立場を守るためならどんなことをしても許される」

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国会前でヤクザと右翼が一体となって若者たちと衝突するような光景を目の当たりにして、「明日はきっと今日よりも素晴らしい」なんて能天気な思考をもてる人ばかりだったとは到底考えられません。

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この考えに拍車をかけたのが当時、一九六〇年代に急速に広まった「三歳児神話」です。「子どもは三歳までは、常時家庭において母親の手で育てないと、子どものその後の成長に悪影響を及ぼす」というもので、この「三歳児神話」がさらに「専業主婦」を増やしたともいわれています。

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毎週月曜日になると、全校生徒が校庭に集まっておこなわれる「朝礼」から「運動会」というものまで、すべて「軍事教練」という名の軍隊式教育の名残なのです。

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つまり、別の見方をすれば、「自由すぎる教育」だったからこそ、飛び抜けた「エリート」たちを輩出することができたということでもあります。

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そんなことでジャーナリズムが成り立つはずがありません。

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人間を弾として扱っていたのです。「経済戦争」を主導する都市銀行のなかで、新たに補充する兵力を、「人間」ではなく「弾」として呼んでいるというのは、実に象徴的なことではないでしょうか。自分自身が結局のところ鉄砲玉にすぎないことを、よくわかっていたのです。

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立場の素材であることをやめて、自分自身の喜びを、自分自身の悲しみを、ありのままに感じ取って、それを言葉にし、行動する。そのような変革を一人ひとりが自分自身に対して実行するしかありません。／会社の立場、友達同士での立場、家庭内での夫としての、妻としての、息子としての、娘としての、兄弟としての、親戚としての立場。ご近所での立場。ネット上の立場、などなど。こんなものに自分を売り渡している限り、自分の人生は失われ、その結果、社会は暴走するのです。

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あなた自身を「あなたの立場」から取り戻すことこそが、変革なのです。

「学歴エリート」は暴走する　「東大話法」が蝕む日本人の魂 (講談社＋α新書)