見出し画像

12月7日、「豚組しゃぶ庵β」が始まります

豚組オーナーの中村です。
以前このエントリーでもご報告したとおり、豚組しゃぶ庵は当初予定していた閉店時期を一年延期し、2021年末まで営業を続けることとなりました。そこでこれを期に営業内容をリニューアルし、「豚組しゃぶ庵β」という新たなコンセプトで展開します。(コンセプトとして『β』としていますが、正式な店舗名は『豚組しゃぶ庵』のままです)

その新コンセプトに基づいた「豚組しゃぶ庵β」ですが、いよいよ12月7日(月)から営業を再開することとなりました。10月末の一時休業から1ヶ月強。お待たせしました。ようやく再始動です。
今回のリニューアルの目的は、「コロナに最適化した店舗に生まれ変わる」ことです。お店の営業方針やオペレーションなどを根本から見直し、これからの新しい環境に最適化させるための実験の場として、1年という期間限定の挑戦を行います。
本記事では、豚組しゃぶ庵βがどのような考え方でどう生まれ変わるのかについてご紹介します。

豚組しゃぶ庵βのコンセプト

新型コロナウィルスによって外食にもたらされる変化は、一言でいうと「パラダイムシフト」です。すなわち、これまでの常識が非常識となり、非常識が常識となること。これこそがコロナウィルスによって起きた変化の本質です。そこで私たちはコロナに最適化されたお店を目指すのであれば、従来の店舗のあり方をゼロから見直し、新しい常識に正面から向き合うことが不可欠だと考えました。
その視点で改めて飲食店の「当たり前」を見つめ直したとき、これまでの飲食店の常識が世間ではいかに非常識であることに気づいたのです。

そこで、豚組しゃぶ庵のリニューアルにおいては「飲食店の常識を疑う」ことをテーマにしました。飲食店にとって当たり前だったことをすべて見直し、必要であれば全部変えていきます。
ただし、豚組しゃぶ庵の培ってきたお料理や味、そして空間としての価値はしっかり守っていきます。豚組しゃぶ庵の料理や世界観は守りながら、店舗としてのあり方を思い切って見直す。これが今回のリニューアルの狙いです。
では、具体的に何をどう変えるのか。それを以下で順を追ってご説明します。

リニューアルで変えること

1)全席個室とします

画像1

コロナへの最適化を考えた時、まず最初にすべきだと思ったのはこれです。すべての座席を個室のみとして、感染リスクを気にせずに安心して過ごせるお店にすること。全席が個室になれば、お客様は感染リスクを気にせず、食事を楽しむことができるはず。今回のリニューアルの最大の目的と言っても過言ではありません。
豚組しゃぶ庵は大広間エリアを閉鎖し、個室エリアのみで営業を継続します。

2)お客様が席を選べるようにします
これまでの飲食店予約では、お客さまが席を選ぶことはできませんでした。お客さまがどの席に座るかは、お店が決める。それが今までの飲食店の当たり前でした。もちろん「個室がいい」というレベルのリクエストは可能でしたが、しかしどの個室がいいかまで指定できるお店はほとんどありません。(それができるのは、一部のお店の一部の上顧客だけでしょう)
もちろんこれには理由があります。お客さまの座る場所が偏ってしまうとサービス提供にバラツキが出るなど、お店側のオペレーションの事情から、お客さまの座る場所はある程度お店側がコントロールしたほうが良いのも事実です。

しかしコロナによって事情は一変しました。今や、飲食店がどのくらい混雑しているのか、そして飲食店においてどの席に座るかは、感染リスクと直結しています。コロナにおいては、お客さまは自分で席を選ぶことが感染リスクのコントロールに繋がるのです。
一方で、飲食業の外に目を向ければ、映画館でも、エアラインでも、席の埋まり具合を確認しながら自分で席を選べるのはもはや当たり前の体験です。
ならば、飲食店だってその方向に向かうべきなのではないでしょうか。
お客さまはみな、自分で座る席を選びたいという潜在的なニーズを持っているはずです。だとしたら、コロナをきっかけにして、飲食店の予約の当たり前が一気に変わる可能性は少なくないと思いました。
そこで、豚組しゃぶ庵のリニューアルにおいては、店舗レイアウトを表示して、予約の埋まり具合などを確認しながら、お客様が自分で好みの席を選べるようにしようと考えました。

3)予約はオンラインのみでの受付とします
とはいえ、お客様が自分で席を選べるようにするには、予約の取り方から変えていく必要があります。たとえば、電話予約のままでは、席を選んでもらうのは非常に困難です。

そこでリニューアルした豚組しゃぶ庵においては、電話予約から脱却、オンライン予約での受付をメインとしていきたいと考えています。新しくご用意したオンラインの予約ページにアクセスするとお店の平面図が表示され、予約の埋まり具合を確認しながら、どの個室を使うかをお選び頂けるようにしました。

もちろん、誕生日のケーキを相談したいなど、電話でないと難しいニーズがあることは理解していますので、電話での対応もしばらくは継続します。しかし、今後の豚組しゃぶ庵の予約はオンラインのほうが圧倒的に便利になるはずです。
お客様は、こちら から予約画面にアクセスし、席を指定してご予約ください。オンライン予約は、本日からスタートです!限られた時間の中での開発でしたので、デザインなどやりきれていないところがたくさんありますが、まずは「席指定予約」という新しい体験を是非お試しください!(画面はスマホに最適化されています。できればスマホでご覧ください)

4)時間制限は設けません
感染対策の観点では、豚組しゃぶ庵βにはもう一つの試みがあります。それは、「テーブルの時間制限を撤廃する」というポリシーの導入です。
テーブルの時間制限とは、よく飲み放題などとセットで運用されているので経験のある方も多いと思いますが、飲食店で着席したとき、お店のスタッフさんから「本日はご来店ありがとうございます。本日、こちらのお席は2時間制となっておりますのでよろしくお願い致します」と言われる、アレのことです。

飲食店の売上は、「客数」✕「単価」で決まります。店舗には座席数を超えてお客さまを入れることはできませんから、その制約の中で売上を最大化しようとしたら、お客さまの入れ替えを行って回転を上げるしかありません。こうして飲食店では「テーブルの時間制限」という考え方が生まれました。
席を回転させることによって飲食店の収益が改善すれば、それによって価格を下げることもできるでしょうし、「満席です」と断られるお客様も減らせますので、時間制限はお客様にとってもメリットがあり、これまで広く一般的な制度として受け要られてきました。

しかし一方で、コロナの感染症対策を考えると、お客さまの入れ替えについても見直しが必要だと思いました。一日の営業時間内でお客さまが頻繁に入れ替わるなら、お店としては都度丁寧な消毒が欠かせません。しかしお客さまの入れ替えの時間が重なったりすると、現場のスタッフはバタバタと追い立てられることになります。結果、清掃や消毒が不十分なまま次のお客さまをお迎えすることになってしまうかもしれません。

だったらいっそ、豚組しゃぶ庵βでは、テーブルの回転を最初から放棄してみようと思いました。丁寧かつ確実な消毒作業を行うため、そしてお客さまに安心してお過ごしいただくためにも、豚組しゃぶ庵βでは座席の時間制限を撤廃し、お客さまは閉店時間まで何時間でも自由に滞在できるようにします。各テーブルの消毒は、閉店後にしっかりやります。

これは、僕がお客さまの立場になって考えても歓迎すべき変化だと思いました。そもそも僕は席に時間制限があると、時間ばかり気にしてゆっくり過ごせないことが多いのですね。これまでは「そんなもんだよね」と思っていましたが、しかしこれだってコロナをきっかけに変わる可能性があります。
豚組しゃぶ庵βでは、お客様が選ばれた個室は、その日一日は完全にお客様のものです。回転させませんから、もはや来店時間も自由です(一応準備などの段取りがあるので、目安の来店時間はお聞きしますが)。何時に来店して、何時に帰っても自由です。遅れて来る方がいても、気にする必要はありません。
なんかすごく自由になる気がしませんか?

5)オーダーは非接触型に変えていきます
もう一つ、大きく変えるのが料理の注文まわりです。
コロナにおいては、飲食店も可能な限り「非接触」にしていかねばなりません。だとすると、お店のスタッフとお客様のFace to Faceのやり取りも可能な限り減らす必要があります。
しかし、完全な非接触になってしまったら、それはそれで飲食店としての魅力を失ってしまうのも事実。つまり僕らは、改めてお客様との接点を棚卸しして、大切にすべき接点と、感染対策のために思い切って廃止する接点を取捨選択しなければならないのです。

そこで僕らは、「注文の非接触化」を進めることにしました。つまり、お客さまにはデジタルのメニューをご覧いただき、そのままオンラインでご注文いただくことになります。
一方で、お料理のサーブやご説明、あるいはしゃぶしゃぶを作って差し上げたり、締めのスープや麺などを丁寧にお作りするなどの、お料理を通じた接点はこれまで以上に大切にすることとしました。
なぜなら、僕らのこだわりが一番お客様に伝わるのは、実際に召し上がるタイミングだと思ったから。その瞬間を徹底的にリッチにするためにも、思い切って注文まわりの対応はシンプルにしてしまおうと思いました。
紙のメニューブックもそれを介して感染に繋がるリスクがありますので廃止します。
お客様はご自身のスマホでメニューをご覧いただき、そのままご注文ください。

6)メニューも最適化します
お客様ご自身で注文いただくには、メニューも可能な限りシンプルでわかりやすくなっていなければなりません。これまでのような、店舗スタッフが直接ご説明することを前提とした複雑なメニュー体系ではお客さまにとってわかりづらく、もしかしたら不安にさせてしまうかもしれません。メニューは極限までわかりやすいものであるべきと考えました。そして幸いなことに、豚しゃぶという業態はメニューをシンプルにしやすいという特徴があります。

画像3

そこで、メニュー構成も徹底的にシンプルにしました。
まず料金については、お一人様6,400円(税込み)の定額制とします。この価格には、前菜、豚しゃぶ、麺やデザートなどのお料理はすべて含まれており、豚しゃぶは「食べ放題」。ドリンクも「飲み放題」で付帯しています。銘柄豚でもお野菜でも、あるいはビールやハイボール、焼酎や日本酒などのお飲み物でも、値段を気にせず好きなだけお召し上がりいただけます。しかもこの飲み放題・食べ放題は、テーブルのご利用と同じく「時間無制限」です。無限豚しゃぶ。無限ビール。いい響きですね。
もちろん、食べ放題だからといって、お料理は一切手抜きなしです。これまでの豚組しゃぶ庵のクオリティはそのまま、お肉も魅力的な銘柄豚を複数ご用意し、食べ比べも今まで通り楽しめるようにします。タレや出汁だって、今まで通り厨房で丁寧に仕込みます。

なお、「もうちょっと特別な体験をしたい」という方にはアップグレードもご用意しました。追加料金をいただくことで、貴重な銘柄豚へのアップグレードやプレミアムなドリンクをお楽しみいただくことも可能です。

7)まずはキャッシュレス、そしてその先の「お会計レス」へ
豚組しゃぶ庵βでは、お支払いもコロナに最適化します。まずはキャッシュレス。現金のお会計は基本的に廃止とし、カードまたはQRコードなどの決済のみとさせていただきます。
さらにその先には、店内でのお会計という行為そのものを無くしていく予定です。今回は予約から来店、注文までがデジタルで仕組み化されていますが、今後はそのままお客様のスマホの上で支払いまでが自動的に完了できるように、機能強化を進めていきます。

8)豚組オンライン会員の皆様への特典も
現状ではまだ実装が間に合っていないのですが、今後の機能強化の中で豚組オンライン会員様限定の特典もご用意していきます。たとえば会員様専用の個室を用意したり、会員様限定の優先予約、あるいは会員様限定のメニューなど。
せっかくクラウドファンディングでご支援いただき、応援いただいた皆様ですので、オンラインだけではなく店舗の中でも特別な体験ができるように、サービスを充実させていきます!!

豚組としてのメリット

今回のリニューアルで、僕らは「お店の握っていた権利をお客さまに手放す」ことを決意しました。どの席に座るかも、何時に来店されて何時にお帰りになるかも、何をどのくらい食べるのかも、全てはお客さまに委ねていきます。自由になった空間をどのようにお使いになるかも、全てお客さま次第です。この方針を最初に考えたときは、僕自身もすごく不安になりました。しかし考えれば考えるほど、むしろこれが当たり前の姿なのではないかと感じるようになったのも事実です。まだまだ今はお客さまにとってもお店にとっても違和感のあるシステムかもしれませんが、しかし、これが今後のスタンダードになりうるという可能性を感じています。

そしてお客さまの目線に立って「新しい当たり前」を再定義したとき、実は僕らお店の側にも大きなメリットがあることに気づきました。
それは、店舗運営の圧倒的な効率化です。
たとえば、お客様が自ら席を選び、そして時間無制限でご利用いただくと決めた瞬間、お店側の「配席業務」は全く不要となりました。もはや、テーブルを回転させるための高度なテーブルマネジメントのシステムは不要なのです。
あるいは、オンライン予約がメインになれば、電話応対の業務負荷も大幅に解消されます。メニューをシンプルにしてセルフオーダーにしたら、オーダーテイクという業務だって不要になりました。
その分、店舗のスタッフは、お料理のプレゼンテーション力を高め、豚組のこだわりをしっかり伝え、そして美味しく召し上がっていただくお手伝いに全力投球できるようになります。もしかしたら、お客さまと雑談できる時間だって増やせるかもしれません。
これは、今まで僕ら豚組がやりたくてもやりきれなかったことに全力で挑戦できることを意味しています。つまり、僕らはより顧客価値の高いところにフォーカスできるようになるのです。

おそらく、これからの豚組しゃぶ庵においては、スタッフに求められるスキルも変わっていきます。たとえば、これから大切なのはメニューを覚える暗記力よりも、目の前のお客様の気持を察するホスピタリティ力のほうが重要になっていくでしょう。
僕らは、これからの1年のテスト営業の中で、そんな新しいお店のあり方を模索していきたいと思っています。1年後に豚組しゃぶ庵がどんな姿になっているか、全く予想は付きません。このシステムをお客さまは受け容れてくれるんだろうか。このシステムで、お店は本当に利益が出るのだろうか。それもやってみなければ分かりません。1年後にこの実験がどんな結果をもたらしているのか、僕もそれを楽しみにしながら挑戦していきたいと思っています。

トレタの代表として

画像2

今回の豚組しゃぶ庵のリニューアルについては、トレタが全面的に支援をして実現しています。予約やメニューなど、店舗で利用している様々なツールは、トレタのエンジニアとデザイナーが本プロジェクト用にゼロから開発したものです。

しかし一方で、配席業務がなくなり、電話応対もなくなりますので、実はトレタの予約台帳は使っていません。これはある意味、既存のトレタの否定と受け止められてもおかしくない、そんなプロジェクトなのです。なのに、なぜトレタがこのプロジェクトを支援したのか。それは、このプロジェクトはトレタにとっても「次世代の予約」ひいては「次世代の飲食店」の可能性を試す貴重な実験の場であり、ここからトレタの新しいサービスの種が生まれてくる可能性があると期待しているからです。そもそも、今のトレタが生まれたのも「実験場としての豚組」があったからこそで、それは今回も同じです。豚組を再び実験場として、飲食店の未来に繋がる新しい何かが生まれることを、僕は心から期待しています。

トレタを超えるのはトレタであってほしい。予約業務が不要になり、予約台帳そのものが不要な世界がやってくるなら、それはトレタ自身が実現しなければならないと思うのです。僕らの使命は予約業務を守ることではなく、飲食店を進化させていくことなのですから。

そんなわけで、オープンまで時間が限られた中で、僕の突拍子もないリクエストに柔軟に対応し期日までに仕上げてくれた開発やデザインのメンバーには、改めて深く感謝の気持を伝えたいと思います。本当にありがとう。とはいえブラッシュアップやエンハンスはこれからが本番なので、引き続きよろしくお願いします!

現時点では、予約の仕組みも、オーダーの仕組みも、あるいは店内のオペレーションだって、まだまだ荒削りです。本当に最低限の骨格ができているだけで、肉付けはまだまだこれから。しかし、この取組から新しい可能性を感じてくれる人が1人でも多く現れて、一緒に挑戦してくれる人が(社内・社外の両方で)増えてくれたらと願っています。

最後に。
今回の豚組の取り組みを「面白い」と感じ、そこに可能性を見出してくれる飲食店の方がいらっしゃいましたら、是非トレタまでお声がけください。この挑戦は、豚組の中だけで閉じて終わりにするつもりはありません。豚組しゃぶ庵βで得るであろうノウハウや知見はより多くのお店の皆さんと共有し、次世代型の新しい飲食店を作り上げる礎としていきます。未来を作るという「志」を同じくする皆さん、ぜひ一緒に挑戦していきましょう!!
そして、もちろん社員として、あるいは業務委託や外部パートナーとしてチームにジョインして一緒に挑戦してくれる人も募集しています!

新しい飲食店のあり方を模索するこの挑戦に、是非これを読む皆さんもご参加いただけたら幸いです!とりあえず食べにきて、感想聞かせてください(笑)

画像4



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?