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ロマンティックあびるよ

この世界観大好き!理想!夢!
イケメンと旅して、こんな四季過ごしたい!
数十年ぶりに図書館でイラスト集を借りて歓喜してしまった。

たまたまNHKでやってたんです、確か8月頃。
静止画をベースにちょこっとエフェクトかけて動かしてる程度の5分アニメなんですけど、もう目が釘付け。
え?何この世界観?
何とも懐かしく、センチメンタルな気持ちになって。
絵のタッチは淡白なのに、凄い勢いで物語に引き込むんです。
どこかで聞いた様な儚くも温かいロマンチックが凝縮された物語。

気づいた時には、ほとんど放送を見逃して悔しくて慌ててインスタフォローしたけど、放送予定は今のところ無さそうです…

昔、ぴあの雑誌カバーとかコンビニで目にしてたはずなんだけど、今になってやたらグっときちゃって。

MEMORIES 98’S Sigh-Romance

ワタセさんは連載コミックを描く際、
必ず柱となる小説を読破するそうです。

片岡義男さん、村上春樹さんがハートカクテルやニール・サイモンだったら、「菜」の場合は向田邦子さん。

菜の時、ワタセさんは鎌倉に住みたかったみたい。
でも住んじゃダメらしい。
あくまでも理想郷として夢想しながら描かなきゃいけないんだと。

現実が見えた途端に冷めちゃうのわかるぅー

だから住まない代わりに、鎌倉までお茶を習いに行ってて。
そうやって非日常に入っていくと頭の中に空間の「白紙」ができて、
その行き帰りにまた小説を読んで描きたい世界観を広げていくのだそう。

菜「夢小舟」

うまいバランスで非日常を取り入れつつ、他の感性を借りて自分の創作意欲を刺激する。
一流はこうやって己の感受性を育むんですね〜

ワタセさん、最初の頃はサラリーマンと二足のワラジだったそうで、激務の間を縫って「ハートカクテル」を描いていたんだとか。
よくあんな世界が描けるねって言われてたみたいだけど、厳しい現実があるから描けたんだと。実際にそんな世界で生活してたら描けませんって。
次の様に語っています。

ハートカクテルの根にあるのはみんな“孤独”。
でもその孤独に屈しないで、みんな人生を楽しんでいる。
自分もそうだし、トレンディードラマなんかも孤独の叙事詩だと思う。
みんな孤独だからああいう世界にスッと入れて、そうだ、そうだよ、と共感できるわけでしょう。

SEIZO ROMANCE わたせせいぞうイラストレーションズ ロングインタビューより
MELODIES 99’S By the Seaside

確かに若い時は全く興味無かった。
これらのイラストが今やたら眩しく見えるのは
多分自分がババアになって孤独が身に染みてるからだな。
孤独を、人生の厳しさを痛感してるからこそ、
ワタセさんのロマンチック力にありがとう〜!って。
不安とか恐怖に打ちひしがれていないで世界を楽しもうって誘ってくれてはる(泣)

MELODIES 2006 Classical Roman

ウチのそばに拓榴坂っていうのがあるんですけど、
そこを女性が傘を持って自転車で通り過ぎる。
その傘が真っ黒の大きな傘で、またある時は目前を走る真黒いサニーを素敵な女性が運転していた。
そういう光景を覚えていて、あの傘は彼氏の傘なのか、お父さんの傘なのかとか、想像を膨らませるんです。
雑誌を見ていても、動物柄の傘を見ただけでパッとストーリーが浮かんできたり。物に感動出来るかどうかは大事ですよ。

SEIZO ROMANCE わたせせいぞうイラストレーションズ ロングインタビューより

普段の何気ない景色を、どういう情景に変換するか。
それが人それぞれの個性ですよね。
ミステリアスだったり、ファンタジックだったり、ユニークだったり…
あたしゃ、やっぱりロマンティックが好きだな〜

でもって何でこんなにピュアなエネルギーを届けてくれるかって、やっぱりご本人が本当に好きで描いているからなんですよね。

ピュアな想いは伝わる!

しかも彼、なんと毎朝感動しちゃってるらしいの、一日中絵が描ける事に。
サラリーマン時代、どちらの仕事も同じくらい好きだから相当悩んで、絵に臨む時間が足りなくて歯痒かったみたい。

毎朝仕事場のデスクの前に立つと、「絵が描けるんだ」という思いで、微笑んでしまう。
朝日の中、静かに佇むデスクは大いに意欲をかき立ててくれるし、曇りや雨の朝でもデスクのスタンドを点けると、デスクはスポットライトを浴びたステージになり、音楽を流すと「絵を描くのに最高」の環境となる。実に感動的だ。
会社を辞して30余年になるが、毎朝この気持ちは変わらない。
そして毎朝感動している。

SEIZO ROMANCE わたせせいぞうイラストレーションズ ロングインタビューより

すごない?
いや〜 ワタセ様、自分のデスクがステージに見えた事は一度も無ぇ
なんか知らんけど、とりあえずデスク周りトキメかしとこってなる。
どっぷりワタセワールドに浸かったせいか、図書館へ返却しに行った帰り、いつもの地元の景色が一瞬ポップに見えたわよ!

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