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優しい涙

仕事上 人生の先輩の話を聞く機会が他の人より多いほうだと思います。
人生の先輩の話は本当に学びが多く、そして後からじわじわと心に響きます。

今日もそんな心に残る話でした。

70代後半の彼女は、2年半前に大腸がんと診断されました。彼女の説明では背中のポチポチした影がよくないもので、手術はできないと医師から言われたそうです。
抗がん剤の治療しかなく、ひと月に一度病院を受診し抗がん剤を続けています。

初めて会った時からとても肝が据わっている印象で、いつも自分の病状を説明してくれる時もどこか達観しているような、覚悟しているような、そんな風にも見えました。

抗がん剤の強い副作用で、3日間起きることができずにいても、「やっと起きれるようになったの」とニコッと笑って話す彼女を見ていて、(自分だったらきっと不安で不安で考えこんじゃうかもな、、)と尊敬せずにはいられませんでした。

そんな彼女が、「私は痛いところがないから、こうして過ごせると思うの。死んだ主人もがんだったんだけど、痛くて痛くて、つらくてつらくてかわいそうだった」とポツリポツリをご主人の事を話し出しました。

話しながら、ポロポロと涙がこぼれます。

「最後までここで看取ったの、一度はつらくて飛び降りそうになったこともあったのよ。でも、飛び降りても死ねないかもよって言ったら、わかったってやめてくれたの、、、
でも最後はね、痛みもなくなってすーっと亡くなったの。」

ああ、彼女は今まで十分戦ってきたんだ。

ご主人と一緒に痛みを感じて、つらさを感じてきたんだ。

優しい優しい涙を見て、そう思いました。

かけがえのない人とはいつか別れが必ずきます。
それは、もしかしたら自分が死ぬことよりつらいことなのかもしれません。

彼女は今ここで一人、どんな思いで過ごしているのだろう。
すっきりと整理された部屋を見て、考えていました。

今を大事に生きよう。周りの人を大事にしよう。
彼女の言葉をしっかり心に刻もう。
そんなことを思いながら過ごした一日でした。

#涙  

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