【新型コロナウィルスの感染拡大の影響に係るひとり親家庭への支援拡充を求める要望書を作成しました】

 私共、ひとり親家庭支援のための地方議員ネットワークは、独自のインターネットによるアンケート調査やオンライン座談会によるヒアリングの結果を踏まえ、「新型コロナウィルスの影響に係るひとり親家庭への支援充実を求める要望書」を作成し、ネットワーク所属議員により、各自治体に提出するほか、現在開催中の6月議会において、一般質問や委員会の質疑等で、取り組み状況や今後の方向性を問い、支援の充実を求めています。 

 新型コロナウィルスの影響を直に受けやすいことが世論としても高まり、国の二次補正では、児童扶養手当世帯への現金給付の予算が計上されました。また、国では養育費の取り決めに向けた法整備の必要性が議論されはじめています。

  緊急事態宣言解除後も、まだ今後もひとり親家庭において、就労状況等、経済環境や子育て環境で影響があることが懸念されます。 私共ネットワークは、自治体に要望書を提出したことを契機に、自治体の支援状況を継続して注視し、新型コロナの影響のみならず、中・長期の包括的な支援も求めていきたいと考えています。       

新型コロナウィルスの影響に係るひとり親家庭への支援充実を求める要望書

        「ひとり親家庭支援のための地方議員ネットワーク」  
              発起人 田畑 直子(千葉県千葉市議)
              発起人 ゆざまさ子(東京都昭島市議)
              発起人 岩永ひさか(東京都多摩市議)
                五十嵐千代(神奈川県相模原市議)
                  太田あゆみ(香川県高松市議)
                小幡さおり(神奈川県横須賀市議)
                  川瀬さなえ(東京都豊島区議)
                 小暮えりこ(群馬県伊勢崎市議)
                  ひび美咲(愛知県名古屋市議)
                  山口かずさ(北海道札幌市議)
                  渡辺さとみ(三重県桑名市議)
            ひとり親であることを非公表のため匿名1名

 昨年11月、中国武漢市から発生したとされる新型コロナウィルスの感染は、今年に入り、国内で確認され、その後、国内全域に感染が拡大しました。政府は、国内での感染を抑制するため、3月2日から、全国の小中高、特別支援学校において臨時休校を要請、4月7日には首都圏等、感染者の多い都市部を中心に、緊急事態宣言を発出、休業要請や学校休校期間の延長、外出の自粛を要請し、その後、緊急事態宣言の対象を日本全域にまで広げました。さらに今月には5月末まで、緊急事態宣言の期間を延長し、現在では、感染者数の状況に応じて、都道府県ごとに段階的に解除する対応がとられています。

 この間の緊急事態宣言下における就労環境の悪化等による経済的な打撃や、学校の一斉臨時休校 、保育所・学童等の利用自粛による子育ての負担増加は、世帯主として、家計を支えながら、子育てもひとりで担っていかなければならない「ひとり親家庭 」では、より影響を受けやすく、既に生活困窮や育児不安へのストレスの増加により、家庭状況が今まで以上に深刻に、困難に陥っていることが指摘されています。

 私共、ひとり親当事者で構成される「ひとり親家庭支援のための地方議員ネットワーク」は、こうした状況を踏まえ、「ひとり親家庭」の実態把握と支援の充実に取り組むため、発足し、新型コロナウィルスへの緊急対応として、インターネットによるアンケートを実施するとともに、オンライン座談会によるヒアリングを行いました。
 今回、その調査結果とともに、要望書をとりまとめましたので提出いたします。
 新型コロナウイルスについては、第2波、第3波の到来が予測される中、今後も予断を許さず、継続した支援、対応が必要だと考えます。新型コロナにより、改めて鮮明となった「ひとり親家庭」の抱えている生活不安に対する支援策を迅速かつ継続的に講じていただきますようお願い申し上げます。


1 収入減・就労の確保について
休業要請や学校の休校等に伴い就労状況の変更を余儀なくされる、また、元配偶者の収入減少に伴う養育費の停止等収入が減少し、さらに、学校休校に伴う生活費増が家計の悪化につながり、経済困窮に陥る家庭が増えている。その実態を的確に掴み、必要な生活支援の実施を求めます。

①児童扶養手当・就学援助対象世帯への現金給付を実施すること。また、一時的な支援にとどまらず、新型コロナウイルスによる経済活動の停滞に鑑み、継続的な現金の上乗せ給付を行うこと。
②緊急小口資金貸付事業について、貸付要件の緩和や貸付上限額の拡大の必要性があるものの、自治体には裁量がないことから、自治体独自の生活資金貸付事業の創設すること。
③失業した保護者への緊急措置として、会計年度任用職員採用時への優遇他、安定収入の確保につなげるための雇用の開拓を行い、就労支援を実施すること。
④就学援助の準要保護世帯に対しては、給食費相当の費用を給付することを検討するとともに、食の提供を行う民間や地域団体等と連携し、公共施設の貸与や必要とする家庭へ情報を届けるなど、支援を実施すること。


2 情報提供の充実について
新型コロナウイルス感染症関連の各種支援制度も含め、ひとり親家庭への支援制度は多岐に渡り、複雑なことから、情報の一元化を工夫し、よりわかりやすく周知していくことを求めます。

① 児童扶養手当の現況届申請書類の送付時などに合わせ、積極的な情報提供を実施すること。
また、紙媒体だけでなく、SNS等も積極的に活用し、必要な情報を得やすい状況にすること。
② ワンストップ窓口の導入など、利便性向上を図ること。

3 相談体制の強化
保育園・学童等の利用自粛、学校の一斉休校により、子育ての負担が保護者ひとりに集中している状態なうえに、感染のリスクがあるため、ファミサポや保育所の一時預かり等、行政支援に頼れず、子育てが孤立しています。さらに収入減少などに伴う生活困窮や困難が、育児不安・ストレスが高まりに拍車をかけているため、相談支援体制の強化とともに、こどもの預け先の方策を求めます。

① 「待つ相談」だけでなく、積極的なアウトリーチ活動を実施するなど、ひとり親家庭の現状を把握することにも努め、必要な支援策へとつなげていくこと。


4 保護者の罹患
 今後、保護者が新型コロナウイルスに罹患した場合の対応に不安の声が広がっており、早急に対策を検討し、周知することを求めます。

① 保護者が感染した場合の子どもの預かり先など、子育てサポート事業の活用も含めて検討し、生活支援策を明確に示すこと。


5 子ども・教育への支援
学校の休校に伴うオンライン教育導入が加速的に進んでいますが、オンライン学習環境が整っていないひとり親世帯は多く、また、自宅学習に不十分にしか取組めない状況にある家庭があることへの考慮した対応が必要です。家庭環境の差異により、子どもたちに不利益が生じないように最大限の配慮を求めます。また、子どもたちの悩みを受け止め相談できる体制の確保を行い、必要な支援を講ずることを求めます。

①オンライン学習を可能にするネットワーク環境及びICT端末を有しない子どもたちに対する機材の提供等環境整備を早急に行うこと。
② 家計状況の急変などにより、学習計画の変更を余儀なくされた小・中学生や高校生への支援を強化し、生活困窮世帯に向けた学習支援事業等の対象条件の緩和や、定員拡充について検討を行うこと。
③保護者の収入の変化などの家庭環境や、学校の休校など、子どもたちの悩みを直接受け止める居場所の提供、子どもが直接相談できるSNS等を活用した相談体制の創設を検討すること。


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