稽留流産の診断後、待機的療法を選択するまで

妊娠がわかってからというもの、「妊娠」という未知の体験についてあまりに知識がなかったので、とにかくいろいろ検索して調べまくりました。

その過程でYouTubeで助産師HISAKOさんの動画をよく見ていました。11人の子供がいて、さらに12人目妊娠中の助産師という、妊娠のプロ!という言葉がぴったりなHISAKOさんの動画は医学的な専門知識とご自身の経験、さらに助産師としての経験を交えてとてもわかりやすく妊娠、出産、子育てについて語っておられました。

そのHISAKOさんの動画で、稽留流産から待機的療法を選択して自然排出に至った方の話がありました。その動画を見た当時はまだ自身がそうなるとは知りませんでしたが、選択肢としてそういう方法があるのだということを初めて知りました。

9w0dに心拍が見えないと言われた時、9週の壁という言葉があるということも知っていたし、流産率50%ってこういうことか。。という妙に冷静な気持ちも持ちつつ、たまたま角度が悪くて見えなかっただけ、次の検診でまた見えるようになる。。と思いたい気持ちも心の片隅にありました。

診察後すぐに心拍が確認できなかったと胎児の父親に報告しましたが、その後改めて「9週、心拍が見えない」などのワードで検索。その結果、一度の検査で断定しないという配慮に基づいた次回再確認という手順を踏んでいるに過ぎないことを認識しました。

※それでも奇跡が起きて、次の検査で心拍見えて、なーんだ、こんなこともあるんだ!って笑っているイメージをゼロにすることはできませんでしたが。。

その夜は悲しい辛い気持ちもありつつ、困惑しているという方が合っているような精神状態でした。ただ変なバランスをとりつつも心が不安定で、胎児の父親に何か美味しい物食べさせてとお願いしました。

妊婦だからと気をつけていた生モノももう気にせず食べられると、好物の海鮮丼を食しました。でもビールは飲む気になれず。。生モノはリステリア菌やアニサキスが気になるので妊婦は注意が必要と言われているようですが、100%食べてはだめというわけではないようだし、そもそもそれらがいない物ならば問題ないのだろうという自己判断。でも、アルコールは胎児に影響が大きそうだから万が一次の検査で心拍見えた場合、今飲んだら絶対後悔すると思ったからでした。

冷静なようでも、まだ現実を受け入れることができていなかったんだと思います。

その後2日かけて稽留流産後の手術や自然排出について検索して、そのメリット、デメリットを自分なりに考えました。

私は(婦人科系の手術ではありませんが)入院しての手術というのを2回経験していて、手術に対して恐怖心というのはほとんどありませんでした。むしろ麻酔の効きがいい方なので、痛くないのは手術の方なのだろうと思っていました。ただ、性器を通して器具を入れられて、胎児を引っ張り出される(そして胎児はぐちゃぐちゃにされるのだろう)というのが心理的に受け入れ難かったです。

私は大学で発生学を学んだのですが、発生の過程で生物が大きく形を変えていく過程は興味深く、その過程にある自分の胎児をこの目で見たいという欲求も強かったです。そして世の中の少なくない女性が胎児を自然排出する流れを経験していることを知ったので、私もできるならそうしたいと思いました。

幸い職場の上司は理解があり、妊娠してからは特に仕事のペースを私に任せてくれていたので、体調を見ながら自然排出が近そうならば休みをもらうというのも可能な状況でした。また、急な出血があってもすぐに早退でき、尚且つ自宅も近く、対処しやすい環境であることも自然排出を待ちたいという気持ちを後押ししていました。

そして迎えた9w3dでの再検査の日。やはり心拍は見えず、残念だけど今回はだめみたいね、と、その日の担当医に言われました。

医師はすぐに手術の日を決めましょうと言いましたが、私はHISAKOさんの動画で知った「自然に出てくるのを待ちたいです」という言葉を口にしていました。

「たまにそういう選択をする方はいるようだけど、突然大量に出血して救急車で運ばれるという状況にもなりうるのよ?物凄い痛みになるわよ?それに次の妊娠のことを考えたら、早く子宮をきれいにしてあげた方がいいのよ?」と、年配の女性医師は手術以外の選択肢はないという勢いで畳みかけてきましたが、それでも私は「待ちたいです」。

「年齢的にも次の妊娠は考えていないので、この妊娠が最初で最後になると思うので、最後まで自分で見届けたいです」と言葉が出ていました。当初そこまで強い意思で待機を選択したいと思っていたわけではありませんでした。手術の予定を2週間後くらいにして、それまでに自然に出てきてくれたらいいなぁ。。くらいの気持ちでこの日を迎えていました。でもいざ自然排出を待つという選択肢すら示されなかったこの状況に立って、なぜか私の反骨精神のような物がむくむくと湧き上がり、はっきりと待ちたい意思が固まりました。

とりあえず1週間後に再診ということで診察室を出ました。

お会計を待っていると10分くらいしてから先ほどの診察室から名前を呼ばれました。緊急で手術となった場合に検査からやっていると大変だから、事前にできる検査は今のうちにしておきましょうとのこと。具体的には感染症などの有無を調べる血液検査とのことでしたので、それはこの日に受けていくことにして、採血してもらいました。


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