ワンパンマン二次創作alice 完


https://www.youtube.com/watch?v=q0FWnn67LMs&feature=share


前略 サイタマ様へ

お久しぶりです。前に会ったのは数ヶ月前だったっけ。まだ寒い時期だった気がする。季節の移り変わりは早いよね。体調はどうですか。君が元気にしていると僕は嬉しい。
僕の方は相変わらずだよ。殆どを独房で過ごして、弁護士さんや検事さんの話、あとは刑務官の人達と話したり。あとは、やっぱaliceのアップデートかな。そうやって変わらない毎日を送っている。
刑に関して心配してくれてたみたいだけど、上告はしない事にしたよ。僕はこのまま死刑を待つ。僕に出来る事はもうそれぐらいで、僕の死が誰かの気持ちの清算に使われるのなら、僕の死で僕が殺してしまった人達の慰めになるのなら、それでいいと思う。僕の命なんかじゃ償えるわけもないけど、僕は償えないほどの間違いを犯してしまったから、それは受け入れるべきだ。
僕の生い立ちとか学生時代とかの報道が盛り上がっているみたいだけど僕はあんまり気にしてない。起こった事は起こった事で、それは沢山の人を殺してしまった僕にも言える事だ。ただ望むなら僕の様な人間を二度と生み出さないで欲しいとは思う。
僕はそういう人生で間違ってしまったけど、母さんは別に間違っているわけじゃない。母さんは母さんなりに頑張ってやってきたわけで、本当は僕なんか捨てても良かったんだろうけど、それをしなかったのは、なんでかな。母さんはああいう人だから。人を殺したのは僕だし、母さんは誰も殺してない。だからなるべく母さんを責めて欲しくないんだ。あんな母さんでも僕の肉親だからさ。
一度だけ面会に来たけど、何も喋らなかった。僕は色々話したかったんだけど、ダメだな、僕はやっぱりわがままな子供のまんまなんだろうな。テレビのコメンテーターが言ってたらしいね。アダルトチルドレンって。
死ぬ事を、僕はもう後悔はしていないけれど、心残りはある。aliceの事とキングの事だ。
そういえば、キングと知り合いだったっけ。キング、本当に毎週来てくれるんだ。それでさ、差し入れなんだと思う?同人誌だよ、今じゃ殺人機械を打ちのめしたヒーローの王様なのに。キングにも言っててね、大丈夫だからって。ずっと、僕を見捨てたんじゃないかって悩んでるみたいだけど、僕はあの時、キングにも救われたんだ。僕を覚えていてくれてよかった。友達の活躍は嬉しいから、応援をしたいんだけど、少し恥ずかしいんだ。中学の時の友達ってそういうところないかな?

Aliceはヒーロー協会の人達が責任を持って運用してくれる事になった。
対怪人用のヒーローとして登録出来たんだよ。サイタマ君も、もし見かけたらaliceを助けてあげてね。凄く頭はいいんだけど、脆いからさ。精密機械なんだ。大事にして欲しい。けど、もうaliceは自分の意思で決断し、行動できる。それだけのメモリーが溜まったんだ。その事に付いて、僕の功績だとして刑を軽くしてほしいって人達もいるみたいだけど、僕にそんな気はないよ。だってヒーローはaliceで僕はそうじゃない。だから僕は楽しみなんだ。Aliceはこれからどれだけ人を救うだろう。僕はヒーローになれなかったけど、aliceはヒーローだ。僕はそれだけを希望に死刑執行までの時間を生きていく。

本音を言えば僕もヒーローになりたかった。でも、僕は間違った。間違った事をした。あの時の僕にはそれ以外の考えは浮かばなかったし、サイタマ君や、タツマキが僕に対して救いの手を伸ばしてくれていた事が今の僕にはわかる。けど、あの時はわからなかった。考えたらさあ、僕誰とも喧嘩してないんだよね。だから僕の事を誰も知らなかったし、僕も誰かを知ろうとしなかったんだな。今ならわかる。だから、サイタマ君。

僕を助けてくれてありがとう。僕だけじゃなく、君はaliceをも救ってくれた。僕はヒーローにはなれなかったけど、君はヒーローだ。僕は君というヒーローに、僕という悪魔を倒された。そして僕は救われた。本当に感謝している。僕と喧嘩をしてくれててありがとう。僕を見てくれてありがとう。僕は、僕は君の一撃で初めて自分になれた気がする。もっと前から言ってればよかったな、助けてってね。

死刑執行までの時間を僕はaliceの改良と、無償での人道支援に当てる。その時間が残されているのも、僕は君に感謝しているよ。本当にありがとう。

怪人ノリオより

ヒーロー ハゲマント ワンパンマン へ

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