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今年一番になりそうなビッグニュース

ありえない!
こんな経験は二度とないに違いない。
思い出すだけで、あの臭い匂いがよみがえってくる。

ことの始まりは、車に乗った時のおかしな匂い。
嗅いだことのない、奇妙な匂い。
エアコンから?
でも乗った瞬間から車内に漂っている。

数日して、知り合いの整備士さんに、仕事終わりに立ち寄ってもらった。
「何の匂いかねぇ」
首を傾げながら、ボンネットをあけた。
苦虫をかんだような顔をして、私に話しかけてきた。
「おばちゃん、猫とか得意?俺だめなんやけど」
「何かいる?」
想像もつかない私は、困った顔をする彼の向こうに行って、ボンネットの中をのぞいた。
「なんか死んでるみたいやで」
「はぁ?」
言われて中をぐるりと眺めてみると・・・
右端に何か黒い塊がある。

よーく見ると、羽根が生えているみたい。
「とらなあかんな」
家の中に入って、ごみ集めに使うカニバサミと大きなごみ袋を持ってきた。
「俺だめやから、おばちゃん取って」
しゃあないなと思って、カミバサミで黒い物体をさわる。
カラスにしては大きくない。
若鳥のようだ。
しかし、この辺りにカラスは珍しい。
山に鷹などがいるから、ハトもいない。
なんで?
息子のバイト先で入り込んだのかもしれない。
入り込んだのはいいが、挟まって出られなくなったに違いない。

カミバサミで持ち上げようとしても、張り付いたようになっていて、重い。
ちょうど、隣のご主人が何事かと覗きにきたので、手伝ってもらうことにした。
さっと、カミバサミを手渡し、私はごみ袋の口を広げて待機。
さすが力のある男、カラスを持ち上げて袋の中に投げ込んでくれた。
「ありがとう!」
すぐにごみ置き場に運んだ私。

整備士のお兄ちゃんは、車をガソリンスタンドに持っていって、ボンネットの中を洗浄してもらってきてくれた。

みなさん、お騒がせしました。
匂いが消えました。

あの臭いは、生き物の腐った臭い。
忘れることができない。

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