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Mikiki連載更新/ガールズ・バンド

昨日9/28に、Mikikiの連載が更新になりました。

【西山瞳の鋼鉄のジャズ女】第44回 LOVEBITES、Mary's Blood――日本で最も重要な女性メタルバンドの新作が同日発売!!

基本的に毎月20日更新ですが、CD発売日に合わせて少し後ろにずれました。

この2組の新譜、傑作だと思います。
サブスクで気軽に聴けることですし、普段ロック系など聴かないジャズリスナーも、騙されたと思って聴いて下さい。

記事にも書いていますが、ガールズ・バンドは昔からありますけれど、ここ最近のガールズ・バンドのポジティブなエネルギーは本当に凄くて、充実したシーンになっていると思います。
これ、おそらく時代の空気が変わって風通しが良くなっていることが影響していると思います。

思いっきりやっている感じが聴いていて本当に気持ち良いし、ヴィジュアル面でも、言ってしまえば〈男性社会への忖度でそれを選んだ感〉が、昔に比べて大きく減っていると思います。

なんでそんなこと思うかといえば、私が前時代にわりと大きな会社でデビューさせてもらって、今振り返れば男性社会への忖度で物事が動いていたことが多かったなと思うから。
ロックやポップスほどマーケットの広いジャンルではない音楽ですが、若い女性がデビューするならば購買層は完全に男性がターゲット、清楚であれセクシーであれ、男性から見た理想の女性アーティスト像を、周りの沢山の人間で作っていくんですよね。
プロデューサーとか、誰か特定の人のせいじゃないんですよ、気付いたらそうなっていく。女性スタッフや自分自身もそれに参加してしまっていて、結局自分がしんどい、ということになって。

今でこそ〈女流〉とか〈女性〉とかあまり付けられなくなりましたけど、男性が「男女平等って言って、ガールズ・バンドって名乗るのはどうなの?」と書いてらっしゃるのを時々SNSなどで見かけます。

根本的に大事なことなので書いておきますが、「主体的な行動として選択できているかどうか」を見て下さい。
本人がその呼称を選択できている=OK
本人の意思に反して他人に呼称を付けられている、選択できる状況にない=NG

連載記事の中に、ジャズ界で水着で演奏が話題になったときの話を書きましたが、これ、当時顕著に反応が分かれており、「けしからん」という反応は95%ぐらい男性でしたよ。私の周りの女性プレイヤーは、ほぼ100%「良いぞ〜もっとやれ!」「おもしろい!」「いえーい!」でした。
私もニュースを最初に見た時「いえーい!」でしたし、めっちゃ楽しいことだと思いました。彼女が選んだことですもの、好きな格好して弾いたらいいし、行動して選択できる幅を広げ、これも選択して良いと思える価値観を広げた彼女は立派だと思いました。もちろん色んなリスクはあると思いますよ、でも、それも込みで選択したこと。

女性ミュージシャンが「いいぞーもっとやれ!」と言っていたのは少し背景があって、これまで有名ジャズレーベルの中には、演奏者に全く関係ない女性の水着姿、ヌードに近いようなものをジャケットに使用する会社が多々あり、それを演奏者本人が自らやるという文脈のひっくり返し、〈やってやった感〉が多少なりともあったからだと思います。今まで、女性的なイメージは、男性購買層に売るために使われてきた。それを、女性のミュージシャンは意識せずともなんとなく押し付けられていて、その圧迫感は感じていたのだと思います。

ジャズという少し畏まった音楽の中で水着は、けしからん、不快、と言っている方は、なぜそう思うのか、〈ジャズはこうあるべきだ〉という像の中に〈演奏者本人が水着〉ということが入っていなかったのは、旧来の男性中心の社会的規範にそぐわなかったからで、変わってもいいんじゃないの?と思いますよ。撃って出た彼女は本当に凄いと思います。


少し前に、TV番組「マツコの知らない世界」でガールズ・バンド特集をしていた時、寺田恵子さんとSAKIさん(from Mary's Blood)が出演していて、私も見ました。
寺田恵子姉さんは「使えるものは何でも使う」とおっしゃっており、流石の貫禄でした。
SAKIさんも言ってたけど、〈SHOW-YAがいたから私たちがある〉って、本当そういうことですよね。先輩が選択してきたことが、私たちのレールになっているし、私たちが選択していくことが、後輩のレールになる。

とりあえず、LOVEBITESとMary's Bloodは応援の気持ちしかないです。音楽も演奏も最高だし、ぜひ記事を読んで、聴いて下さいませ。


【西山瞳の鋼鉄のジャズ女】第44回 LOVEBITES、Mary's Blood――日本で最も重要な女性メタルバンドの新作が同日発売!!



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