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新宿駅南口でナンパされて、私はフリーランスになった

Googleドライブで過去資料を探していたら、
5年前の写真を見つけた。
人生で一番髪が長かった時期。
伸ばしてたわけではなく、
単純にお金がなくて美容院にいけなかった。


この時期の月の目標には
「必要なメイク道具が買えるようになる」
と書いていた。
アイブロウでアイラインまでひいていた
あの時の切実さを思い出して、思わず苦笑いする。


服を作る仕事に就いていた頃。
25歳の時。
隠すことでもないので思い切って書くと
ブラックすぎる仕事から
逃れたくて逃れたくてしょうがなかった。
お金もなかったし、
メンタルぼろぼろで憔悴しきっていた。
家に盗聴器がついていると本気で思っていたせいで
自分の部屋でさえ、
思ったことを口に出すことができなかった。
どこにいても閉じ込められているみたいだった。


そんな状況から一刻も早く逃れたいのに
安月給で引っ越し資金が捻出できなかった。
八方塞がり。
お金がないって、選択肢を失うことなんだろうな。


その当時、根っからの恋愛体質だったわたしが
出した答え。
それが「まずは彼氏を探そう」だった。
一人暮らしの彼氏を見つけて、
そこに転がりこめたら仕事も辞められる。
なんとも腐ったパラサイト思考だけど
決めた目標は必ず達成する執念で
私は週に一度しかない休日の全てを、
合コンやら街コンやら出会いの予定で埋めていった。


だからこそちょうどその時期、
ふらふらと新宿の街を歩いていた時に
なれなれしく声をかけてきた人に対して
私は無視なんてせず
むしろ半ば食い気味に返事をした。


話してみるとなかなかテンポが合う。
「なんの仕事してるの」と彼に聞くと、
「自営業」と答えた。
私はそれを聞いて八百屋さんを思い浮かべた。
田舎の商店街系かな。
となると実家暮らしか……

すごく好きな雰囲気だけど
そんなにうまくはいかないかあ、
とちょっと落ち込んだ辺りで
「アプリって知ってる?それを作ってる」
と続けた。

あ、八百屋さんではないのか、とホッとする私。
と同時にアフィリエイト系か?と微妙に怪しくなる。
一般教養が恐ろしく欠落している私は、
25歳になって彼と出会うまで
フリーランスとか自営業、個人事業主といった
類の言葉を一度も聞いたことがなかった。
彼は続ける。
「会社に所属せずに
一人で仕事をすることだよ」
一人で……そんな働き方があるのか、、?

そして大事なことに思い当たる。
一人暮らしかどうかが問題だ。
「ねえ一人暮らし?」
「どこに住んでるの?」
どっちがナンパした側だ、と自分で自分に
呆れ突っ込みたい気持ちを抑えつつ
笑顔で質問をまくしたてる。

彼は新宿からほど近い駅の名前を言い、
一人暮らしだと言った。
私は1秒で決めた。
「ここだ!!!!」
この人と一緒に住もう。
この人と住めたら仕事がやめられる。
神様、ありがとう、、
私たちは、出逢ったその日に付き合った。
そしてその1ヶ月後にはもう、一緒に住み始めていた。


私がフリーランスという働き方をスタートできたのは、
紛れもなく彼の存在があったからだ。
フリーランスとして生きるための細やかなノウハウを
彼が惜しみなく教えてくれたからだった。
ずっと忘れた振りをして押し殺していた
「自分のブランドを持ちたい」という私の夢を
彼は真剣な顔で真っ直ぐに、
「ひとみなら絶対できるよ」
と強く断言してくれたからだった。


あの人がいなかったら
私は今、こうしてブランドができてないと思う。
彼に出会わなかった人生があったとして、
たとえ私が後の未来でフリーランスという
言葉を知ったとしても、
私にはできないものだと思っていたように思う。


今はもう別れてしまったけれど、
その彼とは2年強、一緒に暮らした。
別れてから始めた一人暮らしも、もう3年目になる。


フリーランスになりたての頃、
美容院に行くお金さえ稼げなかった私は
ちゃんと、
自分の稼ぎだけで生活ができるようになり
引っ越したいときに引っ越せるようになって、
好きな時に海外に行くことができるようになった。

人生の中でいろんなセレンディピティがあったけれど
彼が新宿駅南口で私に声をかけてくれたあの日の出来事は
間違いなく人生の中の、トップクラスに大きな幸運のひとつだ。

私は自分の名前で働く生き方を心から気に入っていて
生まれ変わっても同じように生きたいと思ってるよ。
本当にありがとう。
今度はわたしが、誰かのためのこんな存在になりたいな。
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昨日読んだ本の中で、願いを叶えるために「早すぎる自伝」を書く、というのを見つけて面白いなと思い早速やってみました。
過去の出来事や重要な局面での選択を、客観的に確認しフィードバックを行うことは自分自身がより見えてくるな、と思います。どんなことをしたかったか。どんなことを諦めたか。どんなことを選んだか。その時々で、どんなセレンディピティがあったか。忘れていた「本当の願い」を洗い出すことは、これからやりたいことを見つけるのにも役立ちそうですよね。

本のタイトルは #書く習慣で脳は本気になる
面白かったので気になる方はぜひ☺️


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