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映画『くるみ割り人形』いちごの王さまからのメッセージ(いちご新聞が見たサンリオ映画①)

『いちご新聞が見たサンリオ映画』シリーズ第一弾は、1979年1月号に掲載された、辻信太郎社長(現・サンリオ名誉会長)による「いちごの王さまからのメッセージ」を紹介いたします。刊行の数ヶ月後に公開を控えたストップモーション映画『くるみ割り人形(中村武雄監督、1979年3月公開。2014年には増田セバスチャン監督によるリメイク版が公開。主人公クララの声を前者では杉田かおる、後者は有村架純が演じている)』について語っておられます。記事の無断転載はご遠慮ください。

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「みんなに、いいことがいっぱいありますように。」

王さまは今年の初め、 まず第一番目にこのようにお祈りしました。 「いいことって、なに?」って、みんなはきいてくるかもしれませんね。いいことってね、楽しいこと、うれしいこと、それから、お友だちと気があうっていうことです。

ひとつ年をとって、みんなもきっと大きくなっただろうな。 少しずつ大人に近づいてきただろうな…って王さまは、考えているんです。大人になると、自分勝手になったり、自分さえよければ他の人はどうでもいいと思ったりする人も多いみたいだけど、みなさんは、大きくなっても、やさしさや思いやりを忘れないでくださいね。すぐにおこったり、うそついたりする人には、ならないでね。

ところで、このページにもあるように、今度王さまは、小さなお人形を使って、「くるみ割り人形」という人形アニメーション映画を作りました。この物語は、今から170年くらい前に、E・T・A・ホフマンという人が書いた「くるみ割り人形とねずみの王様」という本をもとにしています。でも、このお話は、とってもむずかしくて、わかりにくいので、今回、王さまが、わかりやすく、しかも、おもしろいようにと、書きかえてしまいました。だから、もとの物語の作者、ホフマンさんには、しかられてしまうかも知れないけれど、少し違ったお話になっているんですよ。でも、主人公の女の子や、ねずみの王様は、あまり変えないようにしました。

このお話では、まずはじめに、ドロッセルマイヤーおじさんが登場します。このおじさんは、とってもたくさんの人形を作っては、それを次々と、いろいろな人にあげているのですが、いつも、みんなが欲しがるのは、顔や姿の美しい人形ばかり。でも、おじさんは、姿、形でなく、心が美しい人形を、一度でいいから作りたいと思うのです。でも、心の美しい人形を作ろうとすると、何べん作っても、顔や姿が醜い人形になってしまうのです......。

そうです。「くるみ割り人形」、これが、姿、形は醜いけれど、心はとても美しい人形なんです。

「なぜ、心を美しくすると、姿、形が醜くなってしまうのだろうか。」そう思ったドロッセルマイヤーおじさんが、必死で何回も作りかえるのですが、どうしても、美しい人形にはなりません。

「こんな人形じゃあ、だれももらってくれないな。」と、ドロッセルマイヤーおじさんが悲しんでいると、そこへ、この物語の主人公クララがやってきて、「おじさん、このお人形、とっても可愛いいわ。私にちょうだい。」と、ねだるのです。

ねぇ、みなさん、お友だちには、いろいろな人がいるものですね。やさしい人、おもしろい人、意地悪な人、おこりっぽい人、きれいな人......。

王さまは、この「くるみ割り人形」のお話の中で、三つのことをみんなにお話ししたいと考えていますが、そのひとつは、顔や姿でお友だちを選ぶのではなくて、心の美しい人、心のやさしい人を大切にして、ということです。また、それと反対に、みんなも、自分の顔や姿、形を美しく見せようとするばかりではなく、まず、やさしくて美しい心を持つように心がけてほしいのです。

今度、映画が上映される前に、この物語が一冊の本になります。もし、よかったら、ぜひ読んでみてくださいね。

これから、毎日が寒くなります。 かぜをひかないようにね。

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次週は、映画公開直後のいちご新聞に掲載された、映画『くるみ割り人形』のいちご新聞の読者たちによる感想文を掲載いたします。いちごの王さまのメッセージを、いちごメイトの子供たち・思春期の少年少女たちは果たしてどのように受け止めていったのでしょうか……。

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