オーストラリアの大学のカリキュラム(Honours 編)
今日は、Honoursという課程について説明したいと思います。
これは、日本の大学にはないものですが、日本の大学の、学部4年目にあたるものとほぼよく似ていると思っていただければわかりやすいと思います。
要は、論文(日本で言う卒業論文)や、それに同等する作品などを作る過程で、フルタイムで1年となります(パートタイムで2年)。
日本の大学は、通常4年制で4年目に卒論に取り組む学生が多いと思います。オーストラリアでは、学部は、多くの場合3年制で、必要な科目を履修して単位を取るというものです。そしてこの3年が終われば卒業できますが、もし、研究(あるいは同等の活動)をして、知識や専門性を高めたいという場合には、このHonoursに進むと言う道があるのです。
しかし、学部生がすべてHonoursに進めるというわけではありません。多くの大学は、Honuorsに進める条件として、それまでの履修科目の平均点が一定以上を超えている事としています。簡単にいうと、成績優秀者ではないと、進めないわけです。基本的には、同じ大学のHonoursに進む学生が多いですが、条件を満たせば、違う大学のHonoursに進むこともできます。またHonoursの課程だけ留学をするというケースもあります。実際、昨年当大学には、日本からの留学生が、Honours課程への留学という形で来ていました。
では、Honoursでは一体どんなことをするのかと言うと、基本は、研究(或いは同等の創作活動等)です。
最初の半年(セメスター1)では、科目の履修も行います。それらの科目は研究方法を学ぶものであったり、研究方法を学びながら、研究のプロポーザルを完成させるというプログラムになっているものが多いです。あとの半年は、論文を書くことに集中する(すなわち履修科目はなく、指導教員とのやり取りで、論文を仕上げていく)期間となります。
そして、論文が仕上がれば、その後審査があり、審査に通れば修了となります。
Honoursの、修了時の成績ですが、その論文の質(審査の結果)と履修科目の成績によって判断され、ランクが数段階に分かれています。
例えば、当大学では、上位から
- First Class: a GPA of at least 6 for the research-related coursework units and an exceptional performance in the thesis (or major final piece) component of their assessment;
- Second Class, Division I: a GPA of at least 5.25 for the research-related coursework units and a very good performance in the thesis (or major final piece) component of their assessment;
- Second Class, Division II: a GPA of at least 4.5 for the research-related coursework units and a good performance in the thesis (or major final piece) component of their assessment;
- Third Class: a GPA of at least 4 for the research-related coursework units and an adequate performance in the thesis (or major final piece) component of their assessment. Third class honours is only available with honours degrees.
GPA とはGrade Point Averageの事です。
となります。これらは、履修科目の成績や、論文の成績によって決められます。
Honoursにも、モデレーションといって、以下の投稿でご説明したように、審査の過程がフェアであるように充分配慮がなされます。
https://note.com/hitomi_nakanishi/n/n892b22d1ddea
Honoursを修了した学生には、就職したり(その時に上位のどのランクかが重要になります)、あるいは、博士課程に進む等の道があります。
私は、今年から、勤務する学部での、Honoursの責任者をしています。例として、課程のホームページをここに貼り付けておきます。もしご興味がありましたらご覧ください。
https://www.canberra.edu.au/course/298JA/1/2022
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