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無料から始める歌モノDTM(第8回)【作曲編③フレーズからの作曲・前編】

はじめに

はじめましての方ははじめまして。ご存知の方はいらっしゃいませ。
ノートPCとフリー(無料)ツールで歌モノDTM曲を制作しております、

金田ひとみ

と申します。

前回はちょっとブレイクということで、スピードアップ法を一部紹介しました。
制作に取り掛かったけどなかなか進まない、という時に読み返していただければなと思います。
その1、とあったようにシリーズとして今後もアイデアを紹介していこうと思っています。
私もどんどん工夫を探していきます。

で、今回は具体的な作曲の中でも一番の花形と思われる、
フレーズから
の作曲について書きたいと思います。
なぜ「から」まで含めているかというと、
今までの記事で述べてきたように、
作曲は、フレーズ、構成、アレンジが、
コンセプトのもと噛み合っていると上手くいく、
と現時点で私が考えているからです。
(ひょっとしたらその内この考えもアップデートされるかもしれません。)
他の要素を考慮しない「フレーズだけ」を作り込んでも、それは作曲ではなくてただの音の羅列にしかならないと思います。
コンセプトに合わせて構成をしっかり組んでないと駄メロディーを量産するだけです。
私がそうなので。
ストックしておいてのちのち他の曲に活かしますけどね。駄メロディーを輝かせるのもPのお仕事です。

さらにフレーズはコンセプトや構成だけでなく、歌モノのもう一つの主役である
歌詞
とも密接に絡んできます。
詞先/曲先関わらずです。
第5回【作曲編①】の結びで挙げた
「だるまさんがころんだ」
がわかりやすいです。
本来は10の数え唄、無理矢理に当てはめるなら10拍子1小節なのに、言葉に引っ張られて3拍子4小節に感じてしまう。
「だるま/さんが/ころん/だ・・」です。
逆に言えば3拍子4小節のフレーズを作れば、「だるまさんがころんだ」という歌詞が自然と馴染みます。
ところが
「だーるまさんがーこーろんだー」
と長音記号のところを伸ばすと不思議、4拍子4小節に。(2拍子にも取れます。)
「だーるま/さんがー/こーろん/だー・・」です。
拍子だけなら「ゆーやけこやけでひがくれてー」と同じです。「かきねのかきねのまがりかどー」もイケそうです。歌詞が交換可能ってことです。
反対にこの2つはそのままでは3拍子に変えにくい。字数がオーバーしています。
詞先で3拍子曲にするにはフレーズの工夫がいりますし、曲先でフレーズを先に作ったなら歌詞の工夫がいります。
歌詞との絡みがちょっと感じられたでしょうか?
今回は歌詞についてはこれ以上触れませんが、フレーズひとつ取っても他の要素との絡みや噛み合いがあります。
コンセプトやら構成やらは直接目に見えたり耳に聞こえたりするものではないので、どう関係しているのか気づきにくいだけです。

そうは言ってもやっぱりフレーズは実際に耳に聞こえる歌モノ曲の主役ですから、フレーズを作らないことには作曲している気分にはならないと思います。
「ダールマサンガーコーロンダー」とロボットっぽく発声するのではなく、(ロボットの名前っぽいけど)
「だ→るまさんがぁこぉろん⤵だ⤴」
と抑揚やアクセントを付けるとちょっと歌モノっぽくなります。
フレーズと歌詞という2大主役がいて、それを支える監督や脚本家や構成作家さん(構成)、化粧や衣装などアレンジメントを施すスタイリストさん(アレンジ)、舞台やコンセプトを立ち上げるプロデューサー=Pがいて初めて一つの作品の制作に取り掛かれます。
そしてカッコいい/可愛い主役がいないと舞台の幕は上がらない。
というわけでまずはカッコいい/可愛いフレーズを探しにいきましょう。

(タイトルに前編とあるように2回に分ける予定。予定……。ホントか?)

フレーズの素

前編ということで基礎知識です。
音楽理論を知っている方はこの項目は飛ばしてもらっても良いです。
それに理論的な知識を知らなくても自然とフレーズを作れる人もいます。オリジナルの鼻歌をつい歌ってしまう人は無意識的にフレーズを作っています。たしかに私もそのタイプ。
でも知らないでテキトーに作るより、知った上で作ったほうが幅は広がりますし、しっくり来ないときの理論的な手助けにもなります。
義務教育だとちゃんと教わった記憶がないので(私が真面目に授業を受けてなかっただけの可能性もありますが)、再確認したい方はどうぞ。

録音した鼻歌を忘れる原因

まずフレーズから作曲すると言っても、そもそもフレーズが何で出来上がっているのかその素となる要素をざっくり掴めていないと、初めて作曲に挑戦する人はつまづく可能性があります。
ある程度作曲はできるし鼻歌でフレーズを作れるという感覚派の方でもこんな経験はないですか?

「神曲を思いついた!と思って鼻歌を録音しておいたのに、家に帰って聞き直したらどんな曲だったのかまったく思い出せない!」

あるある。
その原因は、鼻歌がフレーズの素の一部でしかないからです。

このnoteが対象にしている音楽の要素には
リズム
メロディー
ハーモニー

の3要素があると以前少し紹介しました。
これがフレーズの元になる3要素です。
鼻歌はこの内、おおよそのリズムとメロディーしか作れません。
ちゃんとしたリズムと残りのハーモニーが抜けているのです。
だから録音を聞き直した時に謎のうなり声にしか感じられない。
ちなみに私は録音する時、いきなりメロディーの鼻歌は入れません。
結びでちょっとコツをご紹介します。

ということで、この記事は初心者向けも兼ねていますので、リズム、メロディー、ハーモニーそれぞれの最低限の解説は必要かなと思いましたので長々と解説します。
本当に飛ばしてOKな方は飛ばしてください。
私も飛ばしたかったけど書いてしまった。

リズムとは?

まずリズムですが、音楽用語のリズムの意味と、拍子テンポって結構ごっちゃになってるとこがあります。
リズムに乗ってる!とか
リズム感がある!とか
速いリズムの曲!とか。
私も一通り調べ直してみましたが、うん、ごっちゃになってる。

音楽用語でのリズムを先の「だるまさんが~」で表してみます。
3拍子で「だるま/さんが/ころん/だー・」は

単純。

4拍子で「だーるま/さんがー/こーろん/だー・・」は

おっ?ちょっとパターンが違う。
(2分休符を4分休符2つで表示してます)

こんな感じで音符と休符で表せます。
この音符や休符のまとまったパターンが音楽用語でのリズムです。
4拍子のほうがわかりやすい。
「タンタタ/タタタン/タンタタ/タン・・」
と口ずさめます。
「タタタン/タンタタ/タタンタ/ターン・」
に変えると
「だるーま/さーんが/ころーん/だーぁ」
と違うリズムになります。
(※次に出てくる拍や拍子の考え方で、何分の何拍子何小節として数えるかによって音符/休符の長さは8分や16分にも変わってきますが、ここでは4分の4拍子として進めていきます。例えば、8分の6拍子2小節で「だるまさんが/ころんだー・」と考えると下図のようになります。)

だ  る  ま さ  ん  が / こ  ろ  ん だ ー  ・


2つめ、は英語でビート(Beat)と言います。
心臓の鼓動が一定の間隔で打つペースのことを心拍と言いますが、英語だとハートビート(Heart Beat)。まんま心臓の拍です。
誰もが一度は耳にしたことのあるイギリスの伝説的4人組バンド、ビートルズ(The Beatles)の由来は、ビートとビートル(Beetle=カブトムシなど硬い外殻をもった昆虫)を掛けた造語です。いかにも音楽バンドっぽい名前。

で、拍とは一定のペースで刻む脈拍や歩調、手拍子なんかの1つずつの時間感覚です。メトロノームが刻んでくれるやつですね。

普通は急激にペースが速くなったり遅くなったり、ランダムな間隔では刻みません。規則性が感じられないと拍とは言えないからです。(不整脈か!?)
この時間感覚が鋭いと、リズム感があると言えるようです。
楽器でいうとリズムパート、主にドラムスが担当する曲の土台となる部分です。バスドラム、スネアドラム、ハイハットシンバルなどが一定のペースを刻んで規則性を生み出しています。
複数の楽器で演奏する時は、お互いが拍を揃えないとバラバラでまとまりの無い演奏になってしまいます。
ただ基本的には一定のペースを刻みますが、タメハシリと言われる、ごく短い時間だけ拍を遅らせたり早めたりして感情やノリを表現する場合もあります。
また意図的でなくても現実ではコンマ何秒のズレも無く機械のような正確さで演奏することは難しいですし、むしろその聞こえるか聞こえないかのズレがリアルな生音感を醸し出します。
DAWの打ち込みでこのナチュラルなズレを表現するのは結構難しい。機械なので正確過ぎるのです。前回のギター打ち込みが難しいと言ったのはこの点にあります。

拍と拍の間隔が一時的ではなくある程度の時間を通して伸び縮みすると、曲全体が遅くなったり速くなったりする4つ目のテンポに影響します。

3つめ、拍子はリズムの区切り毎に何拍あるかです。
何拍でリズムを区切るかとも言えます。

「だるま/さんが/ころん/だ・・」
 ①②③/①②③/①②③/①②③

区切りごとに3拍あります。なので3拍子。

「だーるま/さんがー/こーろん/だー・・」
 ①②③④/①②③④/①②③④/①②③④

文字数や音符数でないことに注意です。
区切りごとに4拍の4拍子です。

上の3拍子だと①の所は強く感じやすいです。
下の4拍子だと①が強く③が普通かやや強め、②と④は弱く感じます。
強い拍を強拍、弱い拍を弱拍と言って、強弱が繰り返すことで拍子の区切りが感じられます。
感じる、ということなので必ずしも強く発声するというわけではないです。
これが感じにくいと、つまり拍を感じにくいということなので、リズムにノリにくいです。個人差があると思います。
「だるまさん~」は各単語の発音の区切りがちょうど①の強拍に揃っているので自然と感じやすいんですね。

ところで4拍子の②と④をわざと逆に強めに発声してみると何だかノリが良くなります。発声しにくいなら、手拍子を②と④に合わせてみるとわかりやすくなります。
感じにくい、掴みにくいという人もいるようです。特に日本人はちょっと苦手っぽい。
これが裏拍ってヤツです。
裏拍が掴みにくくてもそこまで問題ではないと思います。
おそらくこのnoteを読んでくださる方が対象にしている視聴者も基本的に日本人ですので、日本人が心地良く感じる曲が作れたほうが結局は良いんじゃないかなと思います。ヘタに全部ノリノリ裏拍で作っても視聴者置いてけぼりなら聞いてもらえません。
作曲の幅を広げるために個人的に習得するのはもちろんOKです。洋楽がすっかり馴染んだ若い方ならすんなり受け入れられるかもしれません。
裏拍から歌が始まる曲はポップな跳ねる感覚があってノリが良く感じます。それを知っていればフレーズを作るときに意図的なアプローチもできます。

最後、テンポは曲の速さです。
そして速さは1拍の時間の長さによって決まります。拍と拍との間隔とも言えます。
1拍毎の時間が短い=拍と拍の間隔が短ければ速い曲になります。
単位はBPM=Beat Per Minuteで表されます。直訳すると「1分当たりの拍」、つまり1分間で何拍刻むかということです。
一般的に4分音符が打つ回数で表されます。
BPM=60なら時計の秒針と同じ速さ、4分音符が1分間に60回。
4分の4拍子の1小節は4分音符4つ分ですので、60拍÷4つ=15小節分になります。
(4分の3拍子だと1小節が4分音符3つ分なので4なのやら3なのやらこんがらがります。このへんがちょっとややこしくなるので、今のところ4分の4拍子として考えておいてください。ほんと、リズムの解説だけで一記事になるわ。)

人間の心拍数はBPM=60~70くらい、運動したりするとBPM=100くらいまで上がります。DAWの初期設定がBPM=120になっているのは、心拍の1倍のBPM=60、1.5倍のBPM=90、2倍のBPM=120くらいの曲が心地よく感じるからではないかとの研究もあります。スピード感のあるロックソングなんかだとBPM=150以上とかになります。
歳を取ると心拍数が落ちてくるからか(泣)、ゆっくりな曲が好みになる傾向があって、逆に若い方は速めの曲を好む傾向があるかもしれません。実際ヒットしている最近のボカロ曲の平均的なBPMは160~170との話もあります。
あくまで好みや傾向なので、ご自身の心地よいテンポの曲の制作から始めてください。自分がノレない曲は作りにくい。
私も自作品でテンポを決める時、心拍に合わせたり歩調に合わせたりします。歩いている時ってなぜかフレーズが思いつきやすいのはそれもあるのかなと思います。散歩はいいぞ。(健康のためにも。)
あと、朝一で音楽を聞いた時にやたら速く感じるのは、まだ心拍がゆっくりだからなのかな~とか考えています。
(ほんとリズムの話だけでキリがない。)

メロディーとは?

次がメロディーです。
メロディーの意味もちょっとごっちゃになってます。
音楽全体や曲そのものを指していたり、AメロBメロのメロもメロディーの略ですが、大抵はボーカルの旋律のことを言うことが多いです。
カラオケの採点機能でDAWのノートみたいなのが出てきて、それに合わせて歌うやつです。
(あれ、ご本人が歌っても必ずしも100点になるわけではなくて、カラオケの機械側が指定したメロディーに合ってないとダメみたいです。)
そして鼻歌で録音できるのはほぼこのメロディーだけです。
先のリズム要素の内、音符の組み合わせパターンのリズムと、速さを決めるテンポはある程度録音できますが、何分の何拍子だったかのか、とか強拍弱拍や裏拍が録音できない。休符も録音できないので拍子がズレたりしている。で結局、あとで謎のうなり声に聞こえます。

メロディーとはリズムに乗っかった音の高さ=音程も含めた音の1本の流れです。
まず、リズムに乗っかってないとメロディーではなくてただ一個一個の高さの違う音がバラバラと並んでいるだけです。規則性がありません。
そして1本ということは、同時に違う音程の音は鳴らないということです。
同時に2つ以上の音が鳴ると次で解説するハーモニーになります。

短い間に大きく音程が上がったり下がったりするとメロディアスな曲に感じます。
私の曲がメロディアスになりがちなのは、一気にオクターブ上がったかと思えばなだらかに低音域までグッと下がったり、といったポイントが多いからですね。DAWのメロディーライン全体を通して見ると大きな波がいくつもあります。
これは無意識に鼻歌で作っている時もあれば、意図的に上げ下げしている時もあります。
個人的なこの話はまた次回以降に。

リズムに乗っかているということは、リズムの項で挙げた
「だるーま/さーんが/ころーん/だーぁ・」
だと、もし同じ音程を乗っけたとしてもリズムが違うので違うメロディーになります。
当り前じゃんと思うでしょうが、長い音符と短い音符を使うポイントを変えたり、拍の違うポイントから始めたりすることで(それこそ裏拍とか)、全然違うメロディーを生み出せます。同じ音程でも意図的にいろんなメロディーを生み出せるということです。
同様に同じリズムであっても音程を変えることで意図的に違うメロディーを生み出せます。
メロディー作りは才能が強く影響するとも言われますが、才能がある人しか作り出せないというわけではないと思います。
違うリズム、違う音程に意図的に変化させることができるので、作るだけなら理解していれば誰でもできます。今までに何度か紹介したサイコロでもできる。
その中から多くの人が良いと感じるものを無意識に選べるのが感覚派、ウケパターンや効果的な配置を分析して理解したうえで選べるのが理論派ではないかなと思います。
そして「選ぶ」というところにその人その人のオリジナリティーが出ます。

それからメロディーを作ること=作曲、と思ってらっしゃる方もいるかもしれませんが、実は違います。
のちほど自作品でそれを証明します。

ハーモニーとは?

ハーモニーは2つ以上の音を同時に鳴らしたり歌ったりした組み合わせと、その組み合わせの流れです。
ボーカルのハモハモるというのは、メインボーカルの旋律つまり主旋律にハーモニーを付けるということです。

音の組み合わせのことを和音と言います。
ド・ミ・ソの3つを組み合わせるとCメジャーという和音になります。
(和音やコード、コード進行のお話はまた別の回で。)
ギターピアノは同時に複数の音を鳴らせますので、この和音への理解が早く深まります。サックスやフルートだと一度に1音ずつしか鳴らせないので別に勉強する必要が出てきます。
作曲に取り組むならギターかピアノに少し触れて基本的な和音の組み合わせは知っておいたほうが良いかとは思います。耳だけでなく、目で見て和音の仕組みがわかりますので。可視化です。ハープでも……いや、横からだと見にくいよ?
上手に弾けるに越したことはないですが超絶技巧までは必要ないです。演奏はDAWがやってくれます。このnoteの対象の方はギタリストやピアニストではなくDTMerなので、DAWを上手く使えるようになってください。DAWもある意味楽器です。

リズムの主な担当がドラムスだと書きましたが、ハーモニーを担当するのが伴奏の楽器たちです。
伴奏と言えば上に挙げたピアノやギターがその役であることが多いですが、
ロックやポップスなどポピュラーミュージックでは特にベースギターが大きな役割を果たします。低音域がしっかり鳴ることで、耳だけでなく身体で音楽を感じられます。音は一定の周波数をもった波なので、低音域になると耳に聞こえる音だけでなく身体を震わせる振動として伝わってきます。
リズム担当のドラムスとハーモニー担当のベースギターが土台となって、それにメロディー担当のボーカルが揃うと、それだけで曲の骨格がほぼ出来上がります。
さらにそこにピアノやギターなどの和音を響かせる楽器が乗って曲を肉付けしていき、その他の楽器たちが印象的なメロディーを奏でることで彩りを与えます。ドラムスとベースギター以外の楽器を上物ウワモノ)なんて呼んだりします。土台の上に乗っかてるからですね。
ドラムスやベースギターが無い曲ではピアノやギターが土台の役割をすることもあります。低音域から高音域まで幅広く鳴らせるからです。
また、単体では和音を奏でられないサックスやフルートなどの吹奏楽器(ブラス)も複数で和音を奏でたり、初めから高音から低音まで担当の分かれたバイオリン・ビオラ・チェロ・コントラバスなどのストリングスたちが伴奏の役割を持つ時もあります。
ボーカルが同じであっても、使用する楽器によって曲の雰囲気が大きく変わります。これがアレンジに繋がります。時には曲のジャンルさえ違うものに感じられます。
同じ曲をグランドピアノやアコースティックギターだけで演奏したものをアコースティックバージョンと呼んだり、ブラスやストリングスで演奏したものをオーケストラバージョンなんて呼んだりしますね。オルゴールバージョンなんてのもあります。ジブリアニメの曲でありがちなやつ。

流れと書いたのは、曲はその一音のハーモニーだけでなくその後に続く別のハーモニーによっても、曲自体が違うものになるからです。
ずっと同じハーモニー、例えば和音のCメジャーだけが鳴り続ける曲なんてのは普通は無いです。どんなに少なくとも2つか3つの和音の流れがあります。その流れの組み合わせをコード進行と呼びます。

録音した鼻歌がうなり声にしか聞こえないのは、メロディーの他は先のリズムの一部しか録音できないことと、このハーモニーがまったく録音できないことに原因があります。
メロディーは1本の音の流れ。対してハーモニーは複数の音の流れ。
普通の人間は同時に2つ以上の音程を発声できません。
(モンゴルあたりに「ホーミー」という歌唱法があって、同時に2つの音程を出せるそうです。喉にめちゃくちゃ負担かけるらしいので練習は自己責任で。それと2つの音程と聞いて想像するような、美しいハーモニーみたいなのが出せるかというと……う~ん。また違う種類のうなり声としか……。)

メロディー作り=作曲ではない

というわけで、長々と理論的な解説が終わったところで、
メロディー作り=作曲ではない証明をします。
読み飛ばした方はここで言うメロディーは、リズム・メロディー・ハーモニーの3要素のうちのメロディーのことだと確認してください。音楽全般のことではないですよ。
実例を挙げます。

同じメロディーでハーモニーだけ変えられる

自作品でたびたび使っている作曲方法なのですが、まったく同じメロディーでハーモニーだけを変化させることで曲の流れを作り出せます。この作り方の曲、個人的に好きなのです。(照)
多分この曲が一番わかりやすい。↓

サビ(1:18〜)のメインボーカルのメロディーだけを取り出すと、
[ファー/ラ♯/ラー/ラ♯ー/ファー/レ/レ♯/ファー]
を前半で3回繰り返しています。
後半でさらにもう1回と同じリズムの音程違いでもう1回。
同時にバックのやや右側で鳴っているギター。
[シ/ラ♯/ファ/シ/ラ♯/ファ/シ/ラ♯/ファ/シ/ラ♯/ファ/シ/ラ♯/ファー]
をサビ全体の3分の2くらいまで弾き続けています。ちょうど上のメインボーカルの繰り返し部分と同じところまで。

バックのギターもアレンジにおけるメロディーと考えるなら、
リズム
メロディー
アレンジのメロディー
が同じ。
ベースギターともう1本のコード弾きギターだけが動いてハーモニーを作り出しています。
たまたまこうなったのではなく意図的にそう作っています。

この曲のコンセプトはタイトルに現れています。
『Paddle to the Town』
「街へ漕ぎだす」ってことです。
水泳のクロールで両手で漕いで泳ぐ時って右→左→右→左→……と両腕を交互に動かして同じ繰り返しで前に進んでいきますね。
それを表現するためリズムやメロディーやアレンジも意図的に同じものを繰り返しています。
サビだけでなくイントロ、Aメロ、Bメロもそれぞれ、同じような繰り返しをボーカルにもギターアレンジにも散りばめています。
細かいことを言い始めると動画にも表現しています。
タイトル文字の両側、ちょうどずん子の背中で公式ロゴの枝豆マークが羽根のように開いて水車や風車のようにちょっとだけズレてクルクル回っています。羽根が開いて前に進んで行けそうです。
ここまでコンセプトを固める段階ですでに決めていました。
マジかよと思うかもしれませんがマジです。
これほどまでカチッと決めていると制作に一切の迷いが無いです。
カバー曲を除く自作品としては最速の2週間で制作できています。

メロディー作りだけ=作曲ではないと感じていただけたでしょうか?
わずか数音のまったく同じ短いメロディーだけでも、重ねるベース音やコード進行を変えるだけでハーモニーを作り出せて、それがフレーズになります。
ということは逆もあるということです。
ベース音やコード進行で同じものを繰り返し使ったとしても……つまり同じハーモニーでも、リズムだけを変える、メロディーだけを変える、といったことができるということです。

同じハーモニーでメロディーだけを変えられる

同じハーモニーでメロディーだけを変えるパターンは実はすでに紹介しています。
【作曲編①】で紹介した『re-style』です。メイキング風ムービーを再掲しておきます。

サビの前半と後半でほぼ同じベースラインです。バックの電子ピアノも同じです。つまり同じハーモニーの流れ。ボーカルのメロディーだけが完全に別物に変わっています。
説明はムービー中にあるので割愛します。

リズムだけを変えると?

ここまでくると、じゃあリズムを変えるとどうなるの?と思いますよね。
ただメロディーってリズムに乗っかってるものなので、そりゃ変わるでしょって話で面白くはないです。4分音符と8分音符が入れ替われば2倍も長さが違うので別のメロディーになるのは明白です。
なので4分と8分の2倍も差が無いわずかなリズム差でどうなるのか、自作品で試しに変えてみます。
初投稿1周年で発表したコチラの曲でやってみます。↓

さすがにすべて作り直すのは時間がかかり過ぎて無理があるので、メインボーカルのサビのメロディーのみリズムを変えたものを作ってみました。↓

いかがですか?(おまけまで作ってしまった。)
音程は同じなのに何だかノリが全然違いますね。
原曲は3連符を多用してノリを生み出しています。スウィングとか言いますね。跳ねるようなリズムがスローテンポと合わさることで、ゆったり揺れるような感覚を生み出しています。優しい曲調に合っています。
対して8分音符や16分音符に変更したものは、音程は同じで、伸ばすポイントもおおよそ合わせているのに違う曲のようです。
おまけのテンポを上げたミディアムロック調のほうがまだしっくりきます。

フレーズを作る時に初めに考えること

ここまで見てきた通り、リズム、メロディー、ハーモニーの3要素は密接に関係していて、どれか一つを変えるだけでフレーズどころか曲全体にまで影響を及ぼすことを感じていただけたかと思います。
特に今回の話だとリズムの要素を変える影響はかなり大きい。
場合によってはジャンルごと変わってしまいます。
ということでフレーズを作る時に
最初に考慮したほうが良いのはリズム、拍、拍子、テンポなどリズム要素
だと私は思っています。
入門書的なものだとパパッと飛ばされているような気がします。
どうもコード進行などハーモニーの話のほうが皆さん興味あるみたい。
まだ解説はしませんが、長調短調の違いによる曲の明るさや暗さ、エモい雰囲気やここぞといった聞かせ所はハーモニーによる部分が大きな役割を果たします。
しかし和音の仕組みを身に着けるにはそれなりに勉強や練習がいる。ちょっとやそっとピアノやギターが弾けたところで、上手く使いこなせるには時間もかかるしセンスも磨いていかないといけない。
初心者向けも兼ねているこの記事でいきなり突っ込むには重たいテーマです。
ということで私はまずはリズムから考えることをオススメします。

「だるまさん」にリズムとメロディーを付けてみる

はじめに、で例に挙げた
「だーるま/さんがー/こーろん/だー・・」
「ゆーやけ/こやけで/ひがくれ/てー・・」
「かきねの/かきねの/まがりか/どー・・」
が交換可能なように感じるのは、各音符の長さ=リズムは違っても、拍子が同じだからです。
下2つが3拍子に変えにくいのは、もちろん文字数もありますが、その文字1個1個を4分音符中心のリズムで置き換えようとすると、そのままでは3拍子に収まらないからです。
4拍子または2拍子の『たき火』を3拍子に変えようとすると、例えば
「かーきーねの/かーきーねの/まーがーりか/どーーー・・」
 ① ② ③ /① ② ③ /① ② ③ /① ② ③

かーきーねの/かーきーねの/まーがーりか/どーーー・・

のようにリズムを変える必要があります。
4分音符だけでなく、うまく8分音符や2分音符に割り当てて、音によっては付点(音符の半分の長さを追加する)を付けるなどの長さ調節がいります。調節の仕方によっては
「かきねーのー/かきねーのー/まーーがりか/どーーー・・」
など、メロディーそのものが変わってきます。

か き ね ー の ー / か き ね ー の ー / ま ー ー が り か / ど ー ー ー ・ ・

そこで反対に抑揚やアクセントがあまり無い、つまりメロディーが無い「だるまさん」を4拍子や2拍子に変えると、『たき火』の音程をメロディーとして取り込むことができます。
下楽譜ではリズムは「だーるま/さんがー/こーろん/だー・・」のほうに合わせて、メロディーは『たき火』を乗せています。↓

新曲「たき火だるま」!
物騒なタイトル。

良かったら↓聞いてみてください。お歌は東北きりたん。

もう歌モノのメロディーがひとつ完成です。
パクリ?
使っている音符の長さが違うのでそこはごにょごにょ……。
……ではなくて、メロディーって結局有限の組み合わせなので、オリジナルができた!と思っても探せばどこかに何となく似たメロディーがあるのです。

リズムもメロディーも図らずとも既存曲と似てしまうことがある

私が作曲するときに大量の情報を集めると以前書きました。
するとオリジナルフレーズだと思って鼻歌で歌っていたものが、実は誰しもが聞いたことのあるヒット曲の一部分と同じだったなんてことはザラにあります。
今ではむしろその曲を参考にしています。
その曲をその曲らしくしている可能性が高いからです。特にサビや歌い出し。

例えば作りたい曲が、懐かしくてスッと心に馴染むような曲だったとします。パッと思い付いたのが、ポップなフォークソングっぽい曲。
そこでフォークソングでよく使われるスリーフィンガーという奏法でアコースティックギターを鳴らしてみようと思ったとします。
で、作曲したのがこの曲です。↓
【ツール編②歌声ツール】で紹介しました。

最初はチューリップ財津和夫さんの『サボテンの花』っぽい雰囲気でポップにした感じの曲を考えていました。個人的にチューリップ好きなのです。懐かしくて誰しも知っていますからね。
(以前、構成の記事の時に『切手のないおくりもの』を例に出した通り。)

アコースティックな雰囲気が良いですね~。
誰が聞いても懐かしくて耳に馴染むと思います。

でもある程度メロディーが出来上がってきた頃、『サボテンの花』じゃない、なんか聞いたことある別のポップな曲の要素が入っているな、と。
そして気づいてしまった!

『世界に一つだけの花』ですね。(一応槇原さんバージョンで上がっていたものを。引用だし解散したと言えどジャ〇ーズはちょっと怖い。)
それぞれAメロの歌い出しの楽譜。↓

『Lump of Sugar』(めろう)のAメロ歌い出し
耳コピしたみた。

に、似てる……。歌いだしのリズムが完全に一致。なんならメロディーも似てる。
直接パクったわけではありません。
パクったとツッコまれたらどうしようもないですが。(汗)
懐かしくて耳に馴染むメロディーとして頭の片隅にあったんでしょうね。
思い付いたときはオリジナルだと思っていたら、同じリズム、似たようなメロディー……。

実はこのほかにもリズムやテンポは違えどメロディーラインとして、松田聖子さん『赤いスイートピー』とか、奥華子さん『ガーネット』とかのAメロにちょっと似ています。

多分探し始めたらキリがないくらい、なんか似てるなって曲があります。

さらにハーモニーはお決まりパターンがある

ということで、うまいこと神曲になりそうなメロディーを思いついたとしても、それが完全なオリジナルフレーズになる可能性は低いです。
リズムやメロディーは似ているものがどこかにあります。組み合わせでしかないからです。
むしろ、ヒットソングがヒットソングなのは、そのリズムやメロディーの運びが、多くの人に心地よく感じて自然と馴染むものだからです。
そして、そのメロディーが乗っかっているハーモニー、つまりコード進行はある程度のヒットパターンがあることが知られています。
そのパターンの組み合わせ以外は心地良く感じなかったり受け入れられなかったりします。こちらも組み合わせ次第でいくらでも広がりはしますが、選べる選択肢は一音一音変えられるリズムやメロディーよりもさらに幅が狭い。

有名なのはカノン進行というやつです。

上の有名なパッヘルベルの『カノン』はコード進行が
D→A→Bm→F#m→G→D→G→A
となっています。
音楽理論的な表記で書くと、
Ⅰ→Ⅴ→Ⅵm→Ⅲm→Ⅳ→Ⅰ→Ⅳ→Ⅴ
となります。今はスルーしといて良いです。

同じ進行を使っている曲としてこちらのサビとか↓

あいみょんの『マリーゴールド』。
すごく耳に馴染みやすくて個人的にも好きです。

めっちゃ古い?最初期の初音ミク曲だと、こちらのサビもカノン進行で始まって、途中から別のコード進行を組み合わせています。↓

『恋するボーカロイド』。
アップテンポで明るい曲調ですね。

自分の曲だとコレとかカノン進行。↓

6曲目『I/O』(めろう)。
同じカノン進行なのに切なく物悲しい雰囲気です。

それぞれリズムもメロディーも違って、雰囲気やジャンルすらも違うように感じますが、ハーモニーとしては全部同じものやそれに少し手を加えたものを使っています。
ハーモニーやコード進行のお話はまた改めて何度か取り上げることになると思いますので、今回はこのへんで。

結び

というわけで、フレーズからの作曲・前編をまとめていきたいと思います。

まず、メロディーはリズムに乗っかっているということ。
そして、リズムとメロディーとハーモニーは密接に関係していて、どれか1つを変更するだけでも違うフレーズの流れが作れるということ。
つまり、メロディー作りだけ=フレーズ作りではないし、=作曲でもないということ。
特に、リズムを考慮しないと乗っかっているメロディーだけでなくジャンルすら変わる場合もあること。
しかし、そうやって作ったフレーズもどこかに似たものがすでにあるかもしれないこと。
なんなら、ハーモニーはお決まりパターンがあってリズムやメロディーが違っても同じハーモニーにハマってしまうこと。

もうここまで来ると、
「まったく新しい曲なんて実は作れなくて、結局みんな誰かのパクりなんじゃね?」
と思うかもしれません。
そうなんです。否定はできません。
リズム、メロディー、ハーモニーというフレーズの素のどれか一つどころか、3つすべてがどこかで聞いたことのある曲とそっくりになることは回避するほうが難しいくらいです。気づいてしまったらパクリに思われないようにどれか一つでも変えてみようと苦心することもあります。
「だったら誰も試したことの無い、極端なリズムやメロディーラインやコード進行を試せばいいんじゃね?」
というと、おそらくそれは曲になりません。
なったとしてもまず受け入れられません。
極端に崩した規則性が無い曲に心地良さは生じないからです。ただの音の羅列です。
可能性はゼロではないですし、本当にそこから新しい曲やジャンルが生み出されたり受け入れられたりすることもあります。
音楽の歴史をさかのぼってみれば、何百年、何千年もかけて、作曲家たちは新しい音楽に挑戦してきました。そして人々に受け入れられ心地良いと感じさせるものが現代に生き残ってきた音楽たちです。
過去には感覚的にも理論的にもNGとされていた組み合わせが、時代とともに受け入れられ、多くの人に心地良いと感じさせ理論にまで昇華されてきたものもあります。
クラシックなんかだと19世紀後半~20世紀初頭の印象派(印象主義音楽)と呼ばれるグループは、それまでのクラシック界からすれば理論的に破綻しているような音の組み合わせを使っているのに、現代ではすっかり心地良いクラシックの代表みたいな扱いになっています。

ドビュッシー『月の光』。めっちゃ落ち着く。
ドビュッシー本人は印象派と呼ばれるのを嫌がったそうです。
以前紹介したラヴェル(『ボレロ』)も同時期の方です。
現代のポップスやロックにも大きな影響を与えていて、彼らがいなければ生まれなかった名曲も数多いかもしれません。
(そういえばわたくし事ですが、先日偶然にも本業のお仕事中に辻井伸行さんご本人をお見掛けしました。さすがにお話とかできませんでしたが。)

鼻歌録音のコツ

さて、最後に鼻歌の録音のコツを紹介すると書いていました。
このながーい記事をしっかり読んでいただいた方は何となく気づいているかもしれません。
感覚派の方しかなかなか上手く使えない方法ですが、鼻歌を自然と口ずさめる方はたいてい感覚派なので参考になれば。

記事中で解説した通り、鼻歌は主にメロディーしか録音できません。
ということはリズムとハーモニーも一緒に録音してやれば良いということです。なんのことはない。
まず良さげなフレーズを思いついたら何回か頭の中でメロディーを繰り返してしっかり覚えておきます。覚えられる範囲なので曲全体とかは無理ですよ。人間の脳の短期記憶の限界を越えます。サビとかのフレーズ一部です。
準備ができたらスマホとかの録音ボタンをポチッ。

例えば4拍子の曲なら、まず「ワン、トゥー、スリー、フォー」から始めます。これでテンポと拍子が記録できます。
そのままの流れでドラムスを入れます。バスドラムは「ド」や「ドン」、スネアは「タ」や「タン」で口ずさみます。「ド」の代わりに「ず」、「タ」の代わりに「だ」でも良いです。
ずんずんだ・ずんずんだ・ずんだ・、ずんずんだ・ずんずんだ・ずんだ・」……
みたいな感じです。
(バスドラムとスネアが主ですが、ドラムスが印象的な曲ならハイハットなどシンバルも「ツッツッチーチ」や「シャーン」などで、タムタム類も「ダカダカダン」などで入れておきます。ただ同時に重ねるのは無理なのでフレーズの区切り箇所や印象的なポイントだけです。)

次に曲のキー(調)を決めるベース音を録音します。キーを決定する一音程だけでも「デーン」や「ボンボンボンボン」と録音しておきます。メロディーの最初の音とハーモニーであるベース音が必ずしも同じ音程で始まるわけではないからです。
キーとは違うベース音で始まるフレーズでも、キーから始めるかキーで終わるかして、必ずキー音を録音しておいてください。
これが感覚派の方や理論が身に付いている方でないと難しいところ。(泣)
(理論的には例えばCメジャー(キー=ド)の曲で主に使うメロディーの音は「ド、レ、ミ、ソ、ラ」の5音の内どれかであることが多いのですが(ペンタトニックスケールと言います)、そこから逆にベース音を探るのはちょっと難しい。わからなければベース録音は飛ばしておいて、あとでDAWに打ち込むなどして理論から逆算するのもありです。)
できるなら4拍子の曲ならテンポに合わせて「デンデン、デンデン、デンデン、デンデン、……」と4or8拍分を繰り返しておけばあとで思い出しやすいです。
ベースラインが感覚的にわかる方やベース自体がメロディアスな場合なら別個に録音しておいても良いですが、ドラムスとベースが鳴るポイントは同じことが多いですので、手前のドラムスの段階で音程も一緒に「ずんずんだ……」に入れておいてくのも手です。

そしてここからやっとメロディーの鼻歌を録音します。
頭の中にドラムスとベース音が鳴っている状態、つまりリズムとハーモニーが揃った状態でメロディーの録音開始です。
テンポや拍子を忘れそうなら手拍子や指パッチンも一緒に録音すると確実性が増します。

ちょっと時間がかかります。連続で録音しにくい環境なら断片的に各要素を何回かに分けて録音します。
分けた場合は録音したデータに名前を付けておきます。
「ずんだドラム」「ずんだベース」「ずんだボーカル」とかです。
ギターアレンジとかまで思い付いていたなら「ずんだギター」とかも。
(こんなとき絶対音感持ちは強いんだろうなと思います。私は持ってません。最初から「シ/ラ♯/ファ/シ/ラ♯/ファ/シ/ラ♯/ファ/シ/ラ♯/ファ/シ/ラ♯/ファー」とか分かればなぁ。)

もうお気づきですか?
なんとなーくこの例の鼻歌がわかってきましたでしょうか。

「ずんだの歌」! もとい『Paddle to the Town』

この曲、最初に思い付いたのはイントロのリズムパターンとベースライン。それに乗っかったギターのメロディーです。
ずんずんだ・ずんずんだ・ずんだ・、ずんずんだ・ずんずんだ・ずんだ・
デンデン、デンデン、デンデン、デンデン
とぅんとぅとぅーん、・とぅるるとぅるるとぅる
みたいなイントロの鼻歌がスマホに残っています。
そのあとに他のパートを作り始めました。先に挙げたサビ部分はこの時点ではカケラすらありませんでした。
東北ずん子に歌わせることは決めていましたので、イントロのフレーズから膨らませて「東北のいなか街から都会に出てきたずん子が、同じような繰り返しでも勇気を持ってちょっとずつ前に進んでいく」というコンセプトを固めていきました。
ずん子は「ずんだ餅」(枝豆で作った東北地方の郷土料理)が大好きな設定なので、リズムの鼻歌も「ずんだ」になったのはご愛敬。(笑)
コンセプトが固まってしまえば膨らませるのも速い。
AメロBメロサビも繰り返しを多用する前提があるのでアレコレ手を出さなくて良い。
歌詞は多少の修正はあったもののほぼ1日で完成。「パドル」「パズル」「ラビリンス」などの単語も、韻を踏むだけでなく似たものの繰り返しというコンセプトに合わせて選んでいます。2番で「春夏秋冬」が登場するのも季節の繰り返しです。

フレーズからの作曲といっても何もボーカルのメロディーからでなくても良いのです。リズムやハーモニーもフレーズの要素ですから。

あと途中でこの曲も何かに似てるなと気づいていました。
そして見つけました。

Melee『Built To Last』。
ピアノやギターも似ていますね。なんならなぜかタイトルも。
印象的な曲はどこか頭の片隅に残っているものです。
この曲日本では結構ヒットしたのに、本場アメリカではそんなウケなかったみたいです。ウケるウケないと良曲であるかどうかは別ですね。
『Paddle to the Town』を作ってから、私はこの曲が大好きになりました。

次回予告

次回の『七転八起☆ダールマサンガー✕コーロンダー』は!?
ついに姿を現したリズム!メロディー!ハーモニー!!
3つの力がそろう時
フレーズが悠久の眠りから覚醒めるッ!!
「第二話☆燃え上がるたき火は月の光に照らされて」
立ち止まるな!ダールマサンガー!!
立ち上がれ!コーロンダー!!
カウント・テンのその先に
神曲たちが待っているッ!!
次回もお楽しみに!ぜってー見てくれよな!!



……なに言ってんだ。
(こういう下らないネタ考えるの大好き。)

と、今回も長くなってしまいました。
次回はフレーズからの作曲・後編として、印象的なフレーズを印象的たらしめる他の要素との絡みを書ければと思います。
(中編にならないように気をつけねば……。)

では改めて、次回もお楽しみに。

Thank you for reading!

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