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私と私だけの約束、治療として

人と会った後に涙がでる私は、どこかおかしいのだろうかとずっと思っていた。
その涙がどういう感情のあらわれなのかもわかっていなかった。心配されるから、帰り道では1人になった時に泣くようにしていた。

そんな私は最近、BTSを好きになった。
私が彼らから受け取ったメッセージは「自分を愛することは難しいけれど、それは権利ではなく義務なんだ」「あなたがあなたを愛するためにBTSを使ってください」というものだった。今まで触れたことのない胸の奥深くまで、その強い断定的なメッセージは底知れない優しさをくれた。

今まで、自分の生き方や人との向き合い方を疑ったことなどなかったし、今でも過去の自分を責めようとも思わないし思えない。そんな自分も確かに自分だったし、よく頑張ってくれたなぁと思う。そちらの方が都合がよかったんだよね。その場はうまくいくのよね、その場だけは。

私は、相手のことを読み取るのが得意みたいで、(というと性格が悪く聞こえるのだけど、これ以上の言葉をまだ持てない。)もともとの強い感受性に加えてHSPという性質があるおかげらしい。
誰かと一緒にいると、その相手の気持ちやその時のテンションを無意識のうちに読み取ってしまう。(誤解しないでほしいのは、相手は何も悪くない。勝手に私が読み取って疲れているだけ。)
悩み相談や聞いてほしい話を聞くことは昔から多かった。なんで私に相談するんだろうと思っていたけど、最近やっとわかってきた。相手のどんな発言も、言葉の意味やそこにある気持ち、感覚に(ほとんどの場合)心の底から共感してしまうからだと。そこに私の本当の気持ち(相手に全く影響を受けない、元からあった私の純粋な本心のようなもの)は介在しない。自分を消して、というより、自分の中にあるいろんな自分の引き出しを引っ張り出して、相手が思う正解に近づけることができる。できるというより、無意識でしてしまう。相手が今どんなことを言えば喜ぶか、想像することがあまり苦ではない。

だから、自分という人間がどんな人間なのか、たまに忘れてしまう。人と会った後に、言いたかったこととかその人への気持ちが出てきて、涙に変わる。相手のいる時に私の本当の気持ちをじっくり考える時間があればよいが、ほとんどの人付き合いでそんな時間はない。何回もいうけれど、これは相手が悪いのではない。自分の思考や言動にまで、勝手に他人の影響を受けてしまう私に原因がある。

今までの人生ずっと、その無意識の共感とでもいうような性質を、自分の優しさだと疑わなかった。だけど、その優しさで、私は私を壊してしまった。

そいつは徐々にやってきた。楽しみにしていたはずの予定の前に過呼吸で倒れたり、大好きな甘いものの味覚がなくなったり、全て手放してふっと世界から消えたくなったり。生活の節々にサインが出始めた。精神状態は体力の低下とともに悪くなり、心が元気ではないと外にも出られず、ますます体力が落ちていくという悪循環にむしばまれはじめた。
消えたくなった自分からふと我に帰った時、さすがにこのままではいけないと思った。

原因を探った。そこで、上に書いたような自分の性質がわかってきた。自分を好きにはなれないまでも、認知はできるようになった。

加えて、好きになったBTSのコンテンツに触れる日々で、私は自分で自分を抑圧していたんだな、そんな私も許してあげようと思うようになった。喜びや楽しみだけではなくて自分の怒りやもやもやは怒りやもやもやとして大切にすべき感情なのだと知った。そんなの当たり前だと言われるようなことも、私にとっては目から鱗だった。自分を愛するってどういうことなのか、小学校から学び直している感じがした。
私が私を抑圧していた原因は完全に私だけにあるのか、社会にもあるのか、たぶんそれは両義的で曖昧な境界線なんだろうと思う。それはわからなくていいしわかりたくないとも思う。

そんな日々で、他人を勝手に受容しすぎた私の心はじっくりと新しく芽吹きはじめている。

好きなものを好きだといい、自分の気持ちや感情を、他人に左右されずにインスタグラムの小さなアカウントではあるが好きなだけぶちまけている。春休みは会いたい人に会いに行ったし、感覚を共有できる友ともいっぱい話した。それらの行為はすべて私が私を愛せるようになるための治療であり、今のところ、日々の生きる意味になっている。
この先私がどうなるかはわからないし、この治療がどれだけ時間のかかることなのかもわからない。春休みが終われば強制的に人と会う機会が増えるし、いつまた昔の私に戻って、相手を受容しすぎてしまうかわからない。
だけど、一度心が壊れた今の方が、壊れかけていることにすら気づかない昔よりはずっといいと思えている。こんなnoteを書いてでしか自分を出せない私を恥ずかしく思うけれど、言葉にできていることを認めてあげたいと思う。

最後に、大好きなBTSの歌詞を引用させてください。好きなものについて語ることが、私について語ることになるから。

自分を卑下するな
周りの人間に合わせたりするな
君は十分美しい 
心配はいらない 
君は美しい
21世紀少女 / BTS


私へ。

約束だよ、この世界から消えたくなっても、あなたはこの世界にいるべきだから。彼らが教えてくれた愛を投げ出さないこと。どんな自分も愛するべきだからね。愛したいと思えなくても、愛するべきなの。自分の正義で、自分を守るんだよ。

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