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進まぬアメリカの銃規制ー英語の授業で生徒に考えさせたいこと

小・中学校の英語の先生のための英語の先生 Teacher Melody です。
先生方、毎日お疲れ様です♡ 子どもたちの笑顔は先生方のおかげです!


 今日は、中学校3年生もしくは高校生向けの教材提案です。

 2022年5月24日、アメリカ南部テキサス州のユバルディにある小学校で、とても悲しい事件が起こりました。それは地元の高校生による銃撃事件です。それによって、児童19人と先生2人の計21人の命が奪われました。

「同じ地球のどこかで、銃により誰かの命が奪われていること」について、冷静にかつ情熱的に、言い換えれば、正しい情報源から多角的な角度で事実をとらえ、さまざまな立場からの気持ちを考慮したうえで、自分自身の意見を強く持ってほしいと、生徒には思っています。そして、最初は日本人の生徒同士で、使用言語は日本語でもいいので、お互いの意見を交換しあう、ということが英語の授業の中でできれば、その生徒本人の人生にも、その生徒が生きていく社会に対しても少なからず影響を与えることができるのではないかと考えます。

 もし明日、同じことが自分の身に起きるとしたら…私たちはいったいどんな感情を抱き、どんな行動をとるでしょうか?

という臨場感を教師自身が持って真剣に取り組みたいものです。

 この授業で最大限に注意することは、教師の意見を決して押しつけないこと、そしてある国は非常に危険だ、その国民も同じことだ、など、だれが悪い、だれが正しいとジャッジしないことです。教師が用意したたった1つの答えに生徒を導こうとするのではありません。いろいろな意見を交換しあい、自分の意見を再構築したり、さらに疑問が浮かんだり、自分自身とのコミュニケーション、他者とのコミュニケーションを深める時間にしたいものです。

では、授業で使えるリソースと具体的なアプローチ方法です。


1.表やグラフから情報を読み取る

 このグラフは、銃の所持数の多い国トップ10を表しています。初めは、グラフのタイトルを見せずに、国名だけ表示し、何のグラフであるかを考えさせるのもいいでしょう。

Top 10 civilian gun-owning countries

 次のグラフは、アメリカにおける子供や若者の死因のトップ2である、銃(青)と交通事故(オレンジ)を比較したものです。日本の子どもの死因と比較してみるのも参考になるかもしれません。

Leading Causes of Death in U.S. Children and Young Adults

 そして以下のグラフは、アメリカにおける銃の生産量です。2020年には2000年の約3倍の銃が製造されており、自動車よりも多くの銃が製造されているのが現実です。このグラフを表示する前に、銃の製造量は減っていると思うか、増えていると思うか、生徒全員に答えてもらうことをお勧めします。

Guns manufactured in the U.S.


2.写真からピクチャー描写・フォトランゲージ

ハフポスト日本版

 How old is this girl?(この女の子は何歳でしょうか?)、What happened with her?(この子に何が起きたのでしょうか?)など、バックグランドの説明をする前に、写真からテーマにせまります。この写真は、首都ワシントンD.C.などアメリカ全土で6月11日、銃規制を求めるデモ "March for Our Lives"「命のための行進」が開催されたときのものです。この女の子は、8歳のシェーナ・ヴィレガスさんで、カリフォルニア州ロサンゼルスで「銃ではなく、私を守って」と書かれたプラカードを持ってこのデモに参加しました。この事実を伝え、予想した内容とどのような違いがあったかを話し合うといいでしょう。


3.動画を観て感想を伝え合う

 アメリカのオレゴン州を拠点とする映像制作会社「Eleven Flims」が、視聴者に銃規制への行動を求める動画を作成しました。動画には、銃乱射事件の映像だけでなく、被害者の親族や大統領、スポーツ選手、芸能人らによる銃社会に対するメッセージも含まれます。そして「私たちの行動だけが私たちの子どもを救うことができる」というメッセージで締めくくられています。
 少し衝撃的なシーンも含まれますので、配慮を要する生徒がクラスにいる場合は、事前にクラス担任の先生や保護者にも配慮の方法を相談しておく必要があります。


4.スピーチから学ぶ

 俳優のマシュー・マコノヒーさんは、銃撃事件が起きたテキサス州ユバルディの出身です。ホワイトハウスで銃規制の強化を訴えました。マコノヒーさんは「政治的な問題を乗り越え、命を守ることができるだろうか」と投げかけ、銃規制に向けて超党派で取り組むよう議会に求めています。
 このスピーチは上級者用なので、穴埋めのスクリプトを作成するなどして、リスニングの助けとなる資料が必要でしょう。


5.リーディング資料から学ぶ

 資料のすべてが教材として適切ではないかもしれませんが、このテーマをディスカッションするときに必要な語彙を知ることができます。また、要約するなどの内容理解からアウトプットへとつなげるステップとなります。

DAAAD…

リーディングリソースはこちらからご覧ください。(CNN Opinion: Three ways to stop school shootings で検索されてもヒットします。)
Opinion: Three ways to stop school shootings - CNN


6.最後に

 私が高校生の時、アメリカに留学していた日本の高校生が、ハロウィーンで訪問する家を間違えてしまったがために、射殺されてしまった事件がありました。同じように海外にあこがれを抱いていた私は、大きな衝撃を受けたものの、何の行動もできずにいました。今もたいしたことはできていませんが、このページがどこかのだれかに届き、心を動かしてくれると、少しずつ心のもやもやが晴れてくる気がします。

最後になりましたが、今回この事件により犠牲になられた12人の子どもたちと2人の先生のご冥福を心よりお祈りいたします。

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 1人でも多くの先生方子どもたちに、英語の楽しさ、人生の素晴らしさが届きますように!最後までお読みいただきありがとうございました!

Thank you so much for reading! I hope to see you again soon! Bye for now!


【英語の先生のためのひとことEnglish】

"Knowledge will give you power, but character give you respect." 
                       - Bruce Lee




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