駐車場に停めた車に乗り込んだが慌てて降りたことがある。同じような位置に停められた同型同色で、あろうことか鍵穴まで一致する他人の車であることに気づいたから。

廊下を歩いていると不意に違和感を覚える。自分ではない何かが歩いているような感覚。右、左、右、左。足が歩いている。なぜここを歩いているのだろう。歩いてどこへ行くのだろう。

月日を重ねて今に至る。遠い記憶。海。花火。風。歌。旅。笑い、泣いた日々。
しかしあれは本当に自分だったのか。本当の自分はどこにいたのか。

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