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明るい人

誕生日がきた。私は夏至うまれであることをとても気に入っていて、小さいころ母に言われた「1年でいちばん陽の長い日に生まれたあなたは明るい人間であれ」という言葉を自分の使命のように思い出している。


私にとって「明るくありたい」はたぶん「人を幸せにしたい」ということだ。
誰かに光をもたらす人。


私の人格そのものはあまり明るくない。まぶしい魅力や朗らかな陽気さを備えるのには向いてないことが歳をとるたびに分かってきて、でも周囲の人に自分との時間を楽しく感じてほしいなとか、好きな人たちに何かしらの救いや希望を与えたいなとか、そんなことをいつも強く思ってしまう。

これは、間違っても何か「ポイントを確実に貯めたい」みたいな行動指針ではない。だから相手の期待に応えようと頑張ることや物欲しそうな人に寄り添ってあげることだけではなく、自分自身がその人をまっすぐ考えた結果として誰かを幸せにできたらいいと思う。
私は今までたくさんの人からそういった飾りのない救いと希望をもらってきて、その喜びがこれからも私を人に向かわせるのだろう。



とは書いてみたものの、しかし私は使命とか目標とか理想とかいうことを考えるのが心の底から苦手、そして目標のある生き方も素敵だけど考えられなくて何が劣るわけでもないやい、と思っている。だから誕生日によせて自分の信念的なものを書こうと試みたところで、明るくあれ、というおまじないを「人を幸せにしたい」とふんわり翻訳するのが精一杯なのだった。