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映画で英会話#20 ヒート Heat (1995)

アル・パチーノvsロバート・デ・ニーロ 「ゴッドファーザー」以来の競演


熟練強盗とLAPDの熱い男の戦い

冒頭に書いてある通り、この映画は公開当時アル・パチーノとロバート・デ・ニーロというハリウッドを代表する名優が共演するということでかなり話題になりました。そして、「ダークナイト」などで有名な監督クリストファー・ノーランや、「マイティ・ソー」などのロキ役で知られるトム・ヒドルストンが公に大好きだと言う位、映画の歴史上でもかなり評価の高い名作です。

物語は、ロバート・デ・ニーロ演じる強盗、ニールが救急車にさりげなく乗るところから始まります。ニールは信頼できる強盗仲間と現金輸送車を襲撃し、裏社会で暗躍するある男の無記名証券を盗みます。手際よく盗みをしたニール一味でしたが、ここでトラブルが発生します。

トラブルの原因は今回初めて組むことになったウェイングローです。彼は無抵抗の警備員を射殺してしまい、目撃者を残すリスクを負いたくないニールたちは、残りの警備員二人も射殺します。したくもない殺人をすることになったニールは、ウェイングローを始末しようとしますが、わずかな隙を突かれ、ウェイングローは逃げてしまいます。

強盗殺人事件を担当することになったのが、アル・パチーノ演じるLA市警察のヴィンセント警部補。ヴィンセントの犯罪者を追いかける執念はすさまじく、そのせいで彼は2度も結婚を失敗しています。3人目の奥さんとはうまくいっているように見えますが、物語が進むにつれて、やはりヴィンセントの仕事への執念に奥さんが耐えられなくなっていきます。

ウェイングローを逃がしてしまいましたが、強盗の仕事は無事終えたニールたちに、新たな仕事の話が舞い込みます。それは、銀行強盗。

ニールを追っていくうちに、彼の仕事へのプロ意識に尊敬の念すら抱くようになったヴィンセント。
プロの強盗として、深い人間関係を築かなかったのに、偶然出会った女性に恋してしまうニール。

そこに絡んでくる悪人ウェイングロー。

お互い自分の仕事に徹底的であるがゆえに似たような悩みを抱える2人はそれでも任務を遂行するために、頭脳戦を繰り広げていき、映画史に残る銃撃戦からの怒涛のラストへと向かい、観客は時間を忘れて映画に没頭すること間違いなしです。

超豪華キャスティング

中身が素晴らしいだけでなく、この映画の魅力は超絶豪華なキャスティングです。日本の大河ドラマ並にハリウッドの実力派俳優が揃っているので紹介します。

ニール→ロバート・デ・ニーロ 個人的にはこの映画のデ・ニーロが一番かっこよくて好きです。

ヴィンセント→アル・パチーノ こちらも言わずもがなの名優。

クリス(ニールの仲間)→ヴァル・キルマー この映画のヴァルは強さと脆さを併せ持つ繊細なキャラクターで、とても上手に表現していました。

マイケル(ニールの仲間)→トム・サイズモア 残念ながら亡くなってしまいましたが、私は「プライベート・ライアン」のホーヴァス軍曹を演じた彼が好きでした。

シャーリーン(クリスの妻)→アシュレイ・ジャッド 90年代はたくさんの映画に引っ張りだこだった、美人なだけでなく演技力もある女優でしたが、最近見なくなったな、と思っていたら、あのハーヴェイ・ワインスタインの被害者であったことが判明。「SHE SAID」で本人役で出ています。

ネイト(ニールの仲間)→ジョン・ヴォイト 今ではアンジェリーナ・ジョリーの父としても有名ですが、「チャンプ」など数々の名作に出ている名優の一人。

ローレン(ヴィンセントの妻の連れ子)→ナタリー・ポートマン 公開当時、彼女が出ることも話題になってました。出演シーンはあまり多くないですが、後半とても大事なシーンに出てきます。

他にも、「アルマゲドン」でも有名なウィリアム・フィクナーや名脇役ハンク・アザリアも出ています。


有名なダイナーのシーンについて

ロバート・デ・ニーロとアル・パチーノの競演で話題になった「ヒート」ですが、2人の共演シーンは実は少しだけなんです。
その一つが知る人ぞ知る、ダイナーでのワンシーンです。

銀行強盗の前にヴィンセントはニールをダイナーに誘います。
そこで二人はお互いの生い立ちや思想、仕事の流儀などについて淡々と語ります。そして二人は真逆の世界に住んでいながらお互いに似ていることに気づくのですが、このシーンは2人の演技が熱すぎて、何度見ても興奮します。

前述したトム・ヒドルストンがこのシーンの物まねをイギリスのトークショーで披露しています。

本人を前に物まねできるトムの度胸が凄いです。
個人的にはオーウェン・ウィルソンの物まねが一番似てると思いますが、、、。(どこで物まねしてるか分かりましたか?)

ニールが使うflatの意味

この映画でニックは何度もあるセリフを言っています。
それが、
"allow nothing to be in your life that you cannot walk out on in 30 secondes flat if you spot the heat around the corner."
です。

allow nothing to be in your life 
あなたの人生に何(何者)も入れることを許すな
that you cannot walk out on
あなたが逃げ出せないもの
つまり、恋人のような簡単に離れられないものを持つリスクを避けろ、ということです。

in 30 secondes flat
このflatは時間を表す俗語的な表現で、「その時間ぴったり、もしくはその時間以内に」という意味です。
この場合は「30秒以内で」手放せないような物は持つな、ということです。

if you spot the heat around the corner
この文のheatは「熱さ」ではなく、「危険やトラブル」を意味し、
around the cornerは「角を曲がったところに」つまり、「すぐ近くで」という意味です。

つまりニールは
「警察に捕まりそうなときなど危ない状況になったときにすぐに逃げられるように、周りの人間と近しい関係を築くな」
を信条に強盗をしているのです。

が、ここにきて好きな人が出来てしまったニールは、最後どのような決断をするのか。
そこもこの映画の見どころです。

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