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まるでオレンジ色のキノコ!?その正体は、マンジュウボヤ!

ホヤってどんな生き物?

 ホヤのなかまは、そのほとんどが岩場などにくっ付いて動かない数ミリ~数10センチの固着生物です。海水の中には有機物と呼ばれる小さな粒子や、プランクトンなどの小さな生き物がたくさん含まれています。そのため動かなくても海水を取り込み、ろ過することで栄養を得て生きることができるのです。

ホヤの体制模式図
ホヤのからだのつくり

マンジュウボヤは群体生物

 今回の主役であるマンジュウボヤはその名の通り、おまんじゅうのような丸いホヤです。磯でも目立つオレンジ色をしているので、磯の観察会でもみんなおそるおそる「これも生き物なの?」と発見してくれます。もちろん生き物です!

 でもちょっと変わっているのは、小さなホヤ(個虫と呼ぶ)が集団で暮らしているということ。おまんじゅうの中にはおよそ数百匹もの個虫がいます。これらはすべて分裂で増えたクローン(遺伝子が同じ個体)です。このように個虫が集まって暮らす生き物を群体生物といいます。ホヤには群体をつくるものと、つくらないもの(単体性のもの)がいます。

マンジュウボヤの画像
手のひらサイズ、本当におまんじゅうのようなマンジュウボヤ

お花のように見えるもの

 単体性のホヤ1個体には海水を取り込む入水口と吐き出す出水口があります。食用にされるマボヤは入水口がプラス()、出水口が()の形をしておりとても分かりやすいです。

マボヤの入水口と出水口
単体性のマボヤ

 ところが群体であるマンジュウボヤは、入水口はそれぞれ1つ持つものの、出水口はいくつかの個虫で共有しています(共同排出孔)。それがお花の形のように見えています。共同生活を快適に、効率良く過ごすための工夫が体につまっているんですね!細かい部分までよく観察してみましょう。穴だらけの生き物だということがよく分かります!

マンジュウボヤの入水口と共同排出孔
群体性のマンジュウボヤ

群体はどこまでも大きくなれる

 10メートルある人間がいないように、1個体が大きくなるには限界があります。しかし群体は環境さえ良ければどんどん分裂して、どんどん大きくなることができます。私はひたちなかの磯でサッカーボールくらいの大きさのマンジュウボヤを見つけたことがあります!

 実は世界一長い生き物マヨイアイオイクラゲという群体性のクラゲで、全長120メートルなんて言われています。シロナガスクジラが最長34メートルですから、びっくりですね!

巨大マンジュウボヤの画像
サッカーボールほどの大きさのマンジュウボヤ。今にも落っこちそう!

ひたちなかの磯で見られるホヤのなかま(尾索動物)

 ここでは茨城県ひたちなかの磯で見られるホヤのなかまをいくつか紹介します。

イタボヤの一種の画像
イタボヤの一種(群体)
イタボヤ科。岩にシート状に広がります。
ウスイタボヤの画像
ウスイタボヤ(群体)
イタボヤ科。群体をつなぐ皮は寒天質で無色透明です。
コバンイタボヤの画像
コバンイタボヤ(群体)
シロボヤ科。個虫が小判のような形をしています。
エボヤの画像
エボヤ(単体)
シロボヤ科。長い柄の先で岩などにつきます。
いろいろなホヤ
ひとつの石の裏側にたくさんの種類のホヤが付着していました!ひたちなかの磯には単体・群体共に多くのホヤが生息しています。オレンジ色のつぶつぶは、コマイハナゴケという群体性のサンゴのなかまです。
この記事は、地球レーベルが毎月発行している地球らいぶ10月号の掲載記事を一部改正したものです。

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