大相撲は改革を怖れない
4月4日に行なわれた京都府舞鶴市の地方巡業中に起きて、いろいろ物議を醸した事件。
京都府舞鶴市で開催された大相撲春巡業で、あいさつ中の多々見良三市長(67)がくも膜下出血で倒れた際、救命措置のため土俵に上がった女性に対し、日本相撲協会が土俵を下りるようアナウンスしたことで批判が起きた。人命よりも土俵の「女人禁制」という伝統を重視したような対応に非難が集中した。(産経ニュースより)
最初に、この件に関する私の感想を述べておこう。
めったにない非常事態に際して混乱した中、パニック状態で発されたアナウンスをとらえて、一気に「人命軽視」とか「女性差別」とかいった話にまで拡大してしまうのは、なんとも気持ち悪い。現場で救命活動していた女性を引きずり出したとかならともかく、そんな事実もない。そこまで大騒ぎする問題ではないと思うが。
そのへんは人それぞれに感じ方があると思うので、深入りはしないけど。
まあ、巡業部や相撲協会の対応に瑕疵がなかったとは言えないし、そもそも巡業などでの緊急時の医療体制などの危機管理が万全だったかどうかなどの問題があったのは確かだ。そのへんは協会上層部の今後の対応を待てばよろしい。
で、問題にされたのが「女人禁制」というやつ。
厳密には「土俵上は女人禁制」であって、実際に日本相撲協会には女性職員もいるし、各部屋やマスコミをはじめ、相撲関係者に女性はたくさんいる。年寄株を握っている親方未亡人だっているし。そもそも相撲場にはたくさんの女性観客がいるではないか。べつに「相撲が女人禁制」ではないのだ。
じつのところ、「女人禁制」なのは土俵上だけではない。力士の締め込みや化粧まわしに女性が触れるのも、たしかタブーである(むかし福祉大相撲のステージで化粧まわしが披露されたときに、出演していたキャンディーズの面々が「触っちゃダメなのよ」と自粛していたことを覚えている)
私個人は、そのことにさほどの違和感は持っていない。
世の中には、性による区別は普通に存在しているからだし、たいていの場合はそれが必要だからだ。だから、トイレや更衣室や浴場が男女別になっているのだ。もっといえば、高校野球に女子選手が認められないとか、宝塚歌劇に男性が出演できないとか、いやいや世の中には男子校や女子校が普通にあるのだから、相撲の土俵上なんて小さな問題だ。
なので、相撲協会は「女人禁制」を保持しているから「女性差別」というのは、まったく当たらないと思う。別にそうしたければ、土俵上をどう運営するかなんてのは、相撲協会の勝手でいいだろう。
ということを踏まえたうえで、ひとつ提案。
「女人禁制」なんて、やめちまえ。
それが、たとえ相撲開闢以来の伝統だとしても(けっしてそうではないが)、やめてしまえばいいのだ。
近代以降の大相撲の歴史を見てみたまえ。
番付最高位だった大関のうえにホイッと横綱という地位を作り、場所ごとの優勝制度なんてのを発明し、東西対抗→一門別総当たり→部屋別総当たりと競技形態も変化させ、引き分けを廃止し、優勝決定戦制度を開始し、テレビ中継にあわせて四本柱をなくし、ビデオ判定を導入し……これら全部明治以降の大相撲改革なのだ。考えてみりゃ、土俵のサイズすらちょくちょく変更してる。
大相撲って、野球やサッカーみたいな他のプロスポーツに比べても、圧倒的に柔軟かつダイナミックに、改革を行なってるんだよね。
「女人禁制」をやめるなんて、軽い軽い(笑)
八角理事長が「女人禁制はやめます」と言うだけで、とくに手続きも何もいらないし、費用が発生するわけでもないんだから。
ぜひとも「女人禁制」なんてやめるべきである。
それで世間も納得するだろうしね。
いやそれどころか、そうすれば、相撲人気のさらなる上昇のチャンスができるのだから、なんとしてもやればいい。
そのチャンスのこと、聞きたい?
本場所の土俵上に、女性を上げるのだ。
いや、さすがに力士は無理ですよ。これは、格闘技でコンタクトスポーツである以上しかたがない。
だが、土俵の進行役、行司や呼び出しならどうだ?
もちろん明日からすぐに、というわけにはいかない。今日入門して明日から土俵に上がれるほど甘いポジションではないのだから。
だが、各部屋に行司や呼び出し、床山などの志願者を入門させるときに、女性も受け入れればいいのだ。現在、ダメっていう明文化された規定があるかどうかは知らんが(志願者がいるかどうかはまた別問題だが、いるんじゃないかな)
その後の修行はもちろん、昇進や待遇は男性とまったく同じ条件で行なう。そもそも特別あつかいしては意味がない。
だから、この制度が定着し実効を発揮するには、長い時間がかかるだろう。当然最初は軋轢もあるだろうし、挫折する志願者も多く出よう。それは避けられないことだ。
でも、その先、人々の視線が集まる幕内・十両の土俵に、女性の行司、女性の呼び出しが上がるようになったら、どうだ?
土俵の華やかさは増すし、話題になり注目を集めることは間違いない。もちろん好感度は増し、人気上昇に一役買えるだろう。
木村小百合とか、式守美喜子とか、呼び出しの花子とか、名前だけでも派手で華麗だ(木村庄之助、式守伊之助と名前が決まっている立行司だけがどうにも困るだろうが、まあそれはその時考えりゃいい)
「美人すぎる行司」とか「マドンナ呼び出し」とか出現するだろうし、力士を上回る人気のアイドル行司とか誕生するのではないか。
人気沸騰まちがいなし!
どうだろう、いまちょっと決断すれば、将来に大きな財産を残せるかもしれないぞ。
理事長、ご決断を(笑)
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