007記念週間 ボンド氏世界を行く

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『007号世界を行く』という本がある。現在邦訳版は古書でしか入手できないが、かつてはだいぶ売れたらしい。

著者は007シリーズの原作者イアン・フレミングで、彼が世界各地を取材や旅行で回ったときのことを書いたエッセイ。だから別にジェイムズ・ボンドが世界各地で活躍するお話しではない。だがこれはこれでけっこう当時の旅行記としてはおもしろく、日本滞在記の章もあるので、興味をお持ちの方は図書館か古書店でお探しください。

とはいえ、原作でのボンド氏は、じつはそんなに海外に頻繁に出かけてはいない。作品の舞台も、イギリス以外ではフランス、トルコ、スイス、日本くらいで、圧倒的に多いのはフレミング自身が別荘を持っていたカリブ海地域。意外と出不精なのだ。まあ長篇12冊、短篇8作しかないからねえ。

ところが、映画版のボンド氏は、プロデューサーの要請もあって(?)世界各地を飛び回る。海外出張族なのだ。

そこでボンドが映画で訪問した国や地域を列挙してみよう。

だいたい作品順で列記してみたが、どこがどの作品の舞台かは、ご自分でチェックをどうぞ。抜けがあったらゴメン(笑)

ジャマイカ、トルコ、イタリア、アメリカ、スイス、バハマ、香港、日本、オランダ、マカオ、タイ、オーストリア、エジプト、ブラジル、スペイン、ギリシャ、インド、ドイツ、フランス、チェコ、モロッコ、アフガニスタン、ロシア、キューバ、ベトナム、北朝鮮、アイスランド、マダガスカル、モンテネグロ、ボリビア、中国などなど。

このほかにも、架空の土地や位置不明の某所などもあり、北極、さらには宇宙空間にも飛んでいる。

あれ、オーストラリアって行ってないのかな。南極も、まだだね。

かつては、海外情報部に属するボンドらしく、イギリス国内では情報部の本部(ロンドンらしい)のシーン以外、イギリス国内がストーリー主要部での舞台になることはほとんどなかった。「サンダーボール作戦」の前半に出てくる療養所くらいかな。小説では盛んに登場するボンドの自宅も、映画では第8作の「死ぬのは奴らだ」まで出てこない。

そのころのイギリス国内は安全だったからだろうか。だが、近年は国内治安に不安が大きくなったのを反映して(?)イギリス国内でのアクションシーンも多くなっている。

日本へは「007は二度死ぬ」で東京、姫路城、黒島(九州、実際のロケ地は新燃岳)などを訪れ、ずっと後年、「スカイフォール」で軍艦島に降り立っている(設定上の舞台は別)。「二度死ぬ」のなかで明言していたように、ボンド氏は日本語が達者(そうは見えんが)なはずなので、もっと来日してくれてもいいような気がするが。

そういえば、レイモンド・ベンソンが書いた続編小説シリーズの1冊『007/赤い刺青の男』は日本が主舞台で、瀬戸内海の直島がクライマックスの舞台となった。そのため地元では、これを映画化して直島でのロケを実現してもらおうという運動があって、ニュースにもなったっけ。まあ、さすがに実現不可能だったようだが。

しかし、2020年のオリンピックも決まったことだし、いま一度日本でのロケを目指してもいいのかもしれない。思えば『007は二度死ぬ』も、1964年の東京オリンピックで世界の耳目を集めた年に原作が発表され、映画化もその3年後に公開されたもんだ。都知事さん、どうかね?

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