500円映画劇場「コモドvsキングコブラ」

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ホームセンターの隅によくある、DVDの安売りワゴン。そこは、ここでしか見つからないような「迷画」の宝庫だ。ワンコインで手に入るが誰も買わない、そんな映画を見てみたんだが……

はい、「コモドvsキングコブラ」。このタイトルを見ただけで、この映画が安直そのものの怪獣対決ものに見えたアナタ、正解です(笑)

動物園に遊びにきた子供たちが間違って大温室に閉じ込められ、そこに檻から逃げだした毒蛇が迫る……ってサスペンス映画じゃないです。それは「コドモVSキングコブラ」(笑)あ、こっちのほうが面白そうか。

謎の孤島に巨大な生物が跋扈しており、そこに来合わせた人々が恐怖に直面するという、ヒネリも何もない展開。巨大化の原因は軍の秘密研究という、こう書いてもネタバレのダメージは一切ないような平凡さ。まあ、こんなもんだな。

ダメ映画の典型的なダメポイントに、タメのなさが上げられる。およそサスペンスやホラー映画で、いきなりポンと恐怖の対象が出てきてしまうのは、たいがいダメ映画。出るぞ出るぞと思わせて、でもなかなか出なくて、タメにタメて、ついに現われてこその「恐怖」でしょ。サスペンスの基本ですよね。もちろん、やり過ぎはそれはそれでダメなんですが。

怪獣映画でも、その点は同様です。かの「ゴジラ」(昭和版)を例に挙げるまでもないでしょう。おなじゴジラでも、最初のゴジラは見事にこれを具現してましたが、のちのお子さまモノに堕した昭和ゴジラでは、たいがいゴジラが最初からポンと出てきますね。

ということで、この「コモドvsキングコブラ」、期待をハズしません。開巻いきなり、角を曲がってニューっと現われる、巨大コモドドラゴン。まさに「もう出てきちゃったのかよ」。おまけに、しょぼいCGだし。

怪獣(この場合は、厳密には巨大化生物)同士が組み打ちするってコンセプトだけで、すでに安い映画なのは約束されているも同然なんですが、このCGのしょぼさが輪をかけています。ただ、昔からこのジャンルは、こういうしょぼさもお約束のうち。CG以前には、ホンモノの虫とか動物を縮小セットに押し込んで接写で撮影した超安物が多かったんですから、その点は致命傷ではないですね。

問題はやはり、「ニューっと」でしょう。演出の問題ですね。さすがはロジャー・コーマン門下の三文監督ジム・ウィノースキー、ここらも期待をハズしませんねえ。

そもそもこの映画は、「コモド」(1999年)、「コモド・リターンズ」(2003年)の続編にあたる、シリーズ第3作(本作は2005年製作)で、しかもTVムービーだと思えば、同情の余地がないわけではありません。豊かならざる予算を考えれば、むしろ善戦かも。しかし、やはり作り手の志の低さは、覆うべくもないですね。あの「ニューっと」を見ちゃっただけで。

まあ、すべての映画が高級品である必要はまったくないのですが、たとえ安物映画でも、せめて作り手の志だけは、高く持ってもらいたいもんですよ(笑)

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