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アトランティスはどこにある?

またまた昔話でスミマセンが、私が子供のころには、超古代の伝説の大陸が、3つありました。大西洋のアトランティス大陸、太平洋のムー大陸、それにインド洋のレムリア大陸。いずれも超古代に海に没し、そこに栄えていた文明も生命もすべて滅び去り、すっかりその存在を忘れられてしまった、とまあこんな筋書。

そのうち、インド洋のレムリア大陸の実在根拠とされたのは、遠く離れたインド洋の東西で、けっこう同種の生物が存在すること。レムリア大陸の名の由来も、そうしたメガネザルかなんかの名前から取ったそうな。

いうまでもなくこれは、ウェゲナーの大陸移動説が認められる以前の論で、今日ではインド洋はそもそも巨大大陸が分裂した際にできたものだと判明しているので、同種生物の存在はむしろ当たり前、幻の大陸を想定する必要はなくなりました。

太平洋のムー大陸のほうは、広大な太平洋に点在する島々なのに、その言語や風俗、人種などが奇妙に多く一致するのはなぜか? という話から、もともとは大きな大陸にその人々の祖先がいて、大陸が沈んだ時に、高地だった島々に取り残されたんだ、という説が発端。

これも、古代人類の航海技術が予想以上にすぐれていたことが判明して、すたれてしまいました。いまでは彼らが、太平洋をものともせずに船で押し渡っていたことがわかっていますので、ムー大陸の存在論拠もなくなっているわけですね。

残るはアトランティスですが、こちらはまだ実在の可能性を残しています。ほかのふたつとは違って、こちらは古代ギリシャの哲学者プラトンの文献に言及があったりするので、まだ全面否定とはいきません。まあプラトンのこれも、伝聞証言に過ぎないんだけど。

とはいっても、人類の科学と技術の進歩はめざましく、すでに大西洋海底の地質調査はほぼ終わってしまっていて、かつて大陸が存在していた可能性はまったくと言っていいほど否定されてしまっています(これはムーやレムリアも同じですが)

なので、現在のところ優勢なのは、「大陸というほど大きなものではなく、島レベルのものだった」「沈没したわけではなく、火山噴火や津波で破壊されただけ」「そもそも内陸にあったのが滅亡して忘れ去られた」などの説で、なんか幻の大陸にくらべるとスケールダウン著しい感じですねえ。

この傾向に思いっきり逆らったのが、グラハム・ハンコックが著書『神々の指紋』で書いた「アトランティス=××大陸」説です。ネタバレっぽいので詳しくは書きませんが、なかなか大胆な発想です。そう、地球上には人類が踏査していない広大な陸地がまだあったんですね。ハンコックの書き方はなかなか血沸き肉躍るような名調子なので、ちょっとばかり説得されそうになります。1995年の刊行直後は、ブームっぽい感じにもなりました。

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ただしこの本では、アトランティスの超古代文明がその××大陸にあったという直接の証拠はひとつも提示されていません。超古代文明はどこかにあったに違いない→地球上のどこにもそんな痕跡がない→調べられていない場所があるのに気づいた→ここにあったに違いない、とこんなぐあいで、きっちり立証できたようでできていない。「超古代文明は、そもそも最初からなかったかもしれない」という可能性が無視されているんですよ。これじゃダメだね、ハンコックさん。

まあそんなわけで、この説も風前の灯っぽい気もしますが。それくらい、人類の地球上の踏査は進んで、もはや地球上には『秘密』なんてものは存在しえないのかも知れませんね。それはそれで、ちょっと寂しいね

 超常現象なんか信じない 目次

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