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謎の古代文字

古代日本は謎に包まれている。だから面白い。

ご存じのように、古代日本で書かれた文字記録は存在しません。

日本に文字が伝来したのは正確にいつごろかは不明ですが、日本で最初の歴史書である「古事記」「日本書紀」が編纂されたのは6世紀のこと。

それ以前の日本の様子を知ることができる文献資料は、中国の歴史書しかないんです。有名なのが、みなさんよくご存じの「魏志倭人伝」ですね。卑弥呼と邪馬台国について記された、たぶん世界で最初に日本に関する記述が書かれているこの書は、3世紀のものと伝えられます。

してみると、古代に何らかの統一国家らしきものが出来てから、400年近くも日本には文字がなかったということになりますね。

これが学界の定説。

しかし、これちょっと考えにくいですねえ。

諸説ありますが、およそ文明というものがある集団で、その伝承や管理をするためには文字(のようなもの)は必須だったはず。コミュニケーションの手段としても不可欠でしょう。世界の古代文明をざっと見ても、それがないところはありません(たぶん)

なのに古代日本だけには、文字がなかった?

これはけっこう学者さんを悩ませる問題のようです。

かつて1970年代に大場弘道が『銅鐸の謎』という本で、銅鐸の表面に彫られた画は、じつは象形文字だと主張してセンセーションを巻き起こしたことがあります。それはそれで一理ありそうにも見えますが,そこから導かれた「解釈」がかなりのものだったので、今ではトンデモ説に分類されています。

でも、この問題、けっこう面白いんですよ。そこで私もひとつ、トンデモ説を考えました。

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私は古墳が大好きなので、もちろん家の近所の古墳(けっこうあります)も見て歩いてますし、ガイドや研究書(もちろんそんなに専門的でないやつです)も良く買ったりします。

その古墳、最大の謎は何かというと、ほとんど被葬者がわからないということです。

「天皇陵とされる巨大古墳がじつはその天皇のお墓ではない」という話は、たぶん聞いたことがおありでは?

私たちが子供のころに学校で習ったのは、「世界最大の古墳は堺市にある仁徳天皇陵」でしたが、今日の研究ではこれが仁徳天皇のお墓ではないというのが定説。なので最近の教科書には「大仙古墳」と記されているようです。

その他の小さな古墳でも、誰のお墓なのかはっきりしているものは、じつはいくつもありません。

その最大の理由は、古墳はお墓なのに、まったく「墓誌」というものがないからなのです。

これはかなり奇妙ですよね。いまどこのお墓を見ても、あるいはエジプトのピラミッドなどの古代からの墓所を見ても、この墓は誰それの墓であると記した墓誌がないなんて、非常に特異です。ところが日本の古墳は、ほとんどそのすべてが「墓誌なし」なんです。

で、その理由が「古代日本には文字がなかったから墓誌の作りようがなかった」

なるほど、と納得しては面白くありません。だいたい為政者というものは自己顕示欲が強いもの。そうした人物が自分の名前を誇示しないなんて考えられませんね(現代の政治家を見て見てください)

さて、お話変わって。

仕事柄、よくミステリ小説をあつかうんですが、先日、コナン・ドイルの「シャーロック・ホームズ」の一編について調べていて、電撃的にひらめきました。

作品は「踊る人形」(『シャーロック・ホームズの復活』に収録)

不気味な落書きのような絵にまつわる脅迫と殺人の謎に名探偵ホームズが挑むという作品ですが、そのなかに出てくる、ホームズが暗号だとにらむ絵がでてきます。

こんなやつ↓

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はい、もうわかりますね。これと同じようなものが、巨大古墳に、もれなくついているのを。

埴輪です。

埴輪というのは、古墳の周りから発掘される素焼きの人形。それこそ歴史の教科書には必ず出てくるアイテムです。

時代によって若干変わりますが、さまざまなポーズをとった人や、なかには馬や家など古代人の生活を表現した(といわれている)ものなど、種類も豊富です。

古墳が出来た当時は、多数の埴輪これらが墳丘の周囲をぐるりと囲んでいた、というのが近年の考古学研究で明らかになっています。しかし、その後の年月で、盗まれたり、埋もれたり、壊れたりして、築造当時のままのものは発見されていません(今後もまず無理)

それにしても、たいへんな数の埴輪が古墳周囲に飾られていたのは間違いありません。単なる記念品や装飾品にしては多過ぎると思いませんか? だって周囲何百メートルもある古墳の周りに、数百体にものぼる埴輪がずらっと並べられていたんですから。

どう見ても過剰でしょう。いかに古代人がヒマだったとはいえ、これだけの手間や費用はバカにならなかったはず。

ほかに何らかの目的があったのは、明白です。

ね、もうおわかりでしょう。

埴輪とその配列こそが、古墳の「墓誌」だったんですよ。これが誰それの墓であることを記録し誇示したものですね。

そして、埴輪はその墓誌を記す文字、つまり立体版の「踊る人形」だったんです。つまり、これこそが「古代日本の文字」だったんですね。うん、間違いない。

もしも古墳築造当時の埴輪の種類やその配列が完全にわかれば、暗号を解読できるはずですし、それが墓誌であることはまず間違いないので、被葬者問題まで一気に解決できるに違いないです。

はにわ(12)

どうですか、「埴輪=古代文字説」 なんか一冊本が書けそうな説ではありませんか。

1970年代に、前記した『銅鐸の謎』はベストセラーになっています。うむ、いっちょ狙ってみようかな(笑)

しかもこの説が非常に優れた点が、ひとつあります。

古墳築造当時の状況はまず再現不可能なので、検証不可能。誰もこれが間違いだとはいえないんですよね。

これ、トンデモ説を唱えるときのコツです。

まいったか(笑)

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