007記念週間 ジェイムズ・ボンド列伝

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007ことジェイムズ・ボンドがミステリ史上、シャーロック・ホームズと並ぶ有名キャラのナンバーワンであることには、異論を許さない。誕生以来半世紀以上を経たいまでも「スパイ」の代名詞であり、新聞雑誌などで普通名詞さながらに使われているのが、その証拠。「阪神007 巨人キャンプを偵察」みたいな新聞の見出し、よく見るでしょう?

そのボンド氏、シャーロック君に比べると、著作権上のこともあってか、映像化は圧倒的に少ない。したがって、正統ジェイムズ・ボンドを演じた俳優の系譜をたどるのは、さほどむずかしくない。

そこで、英国イオン・プロ製作の正統007シリーズでジェイムズ・ボンドを演じた6人の俳優、ショーン・コネリー、ジョージ・レイゼンビー、ロジャー・ムーア、ティモシー・ダルトン、ピアース・ブロスナン、ダニエル・クレイグを調べみた。いや調べるってほど難しいことではないけど。

出演作品数ナンバーワンは、「死ぬのは奴らだ」から「美しき獲物たち」まで7作品でボンドを演じたロジャー・ムーア。

次いで、「ドクラー・ノオ」から「007は二度死ぬ」まで、そして「ダイヤモンドは永遠に」の初代ボンド、ショーン・コネリーが6作品。

「ゴールデンアイ」から「ダイ・アナザー・デイ」までつとめたピアース・ブロスナンが、意外に多くて4作品。

「カジノ・ロワイヤル」「慰めの報酬」「スカイフォール」と、現役のダニエル・クレイグは主演3作品だが、すでに新作である第24作への出演が決まっているのでもうじき4作品でブロスナンに並ぶわけだ。

「リビング・デイライツ」と「消されたライセンス」のティモシー・ダルトンは2作品、そして「女王陛下の007」のみのジョージ・レイゼンビーが1作品だけ。

その時代、時代で、それぞれのボンド像を作られているので、世代によってどのボンドが「正統」かは違うだろう。私はショーン・コネリーからロジャー・ムーアへの移行期からのファンなので、どうしても初代のイメージから抜け切れません。

ところで、これを調べているうちに、ふと気づいたことがある。

ジェイムズ・ボンドは(原作でははっきりとは書かれていないが)イメージ的には、完全なイングランド人。

ところが歴代俳優のうちイングランド人なのは、ロジャー・ムーアとダニエル・クレイグだけなのだ。他の4人の出身地はというと……

 ショーン・コネリーはスコットランド。

 ジョージ・レイゼンビーはオーストラリア。

 ティモシー・ダルトンはウェールズ。

 ピアース・ブロスナンはアイルランド。

おお、「非イングランド人」優勢だ。まあ、われわれの目からすると区別はつかないし、そもそもみんな「イギリス人」みたいなもんだが、最近のスコットランド独立騒動を見てもわかるように、けっしてこの出自の違いは軽いもんじゃないと思う。甲斐の武田信玄を新潟県出身俳優が演じるとかいうこととは違うんだよ。

「イギリス」というイメージ体を構成している4つの国からバランスよく選ばれているのは、何かの意図があってのことなのだろうか。いや、まあ、偶然なんだろうな。唯一外国人のレイゼンビーも、イギリス連邦傘下のオーストラリア出身だし。女王陛下のスパイたるジェイムズ・ボンドを演じるには、やはり女王陛下の国出身者でないと、ということか(まあアイルランド出身のブロスナンは微妙だが)。

してみると、ダニエル・クレイグの次のボンドは、北アイルランド出身か、あるいはイギリス連邦傘下の大国・カナダ出身の俳優になるのは、今からもう間違いないだろう(笑)

じつは今週は、誰も騒がないけど、ある「007記念日」が待っているので、そこまで「007記念週間」をお楽しみください(笑)

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