いちばん怖かった映画

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好きな映画ジャンルの一つに、ホラー映画がある……なんて言うと、たいがい「今まででいちばん怖かった映画って、何ですか?」と訊かれます。

不思議なことに、そう訊いてくるのは、たいていはホラー映画とか好きじゃない人。答えを聞いても、どうせそんな映画は見ないんでしょう。うっかり間違って見てしまわないように、訊いてるのかな。

そういう時に、あんまりマニアックな映画や、どマイナーな映画をあげても仕方ないので、いつも2本の映画を上げることにしています。親切でしょ(笑)

1本目は「ジョーズ」。前半はさほど怖くない。ビックリさせるシーンはあるけど。

「ジョーズ」が怖くなるのは、なんといっても後半、オルカ号で海に出てシャークハントが始まってから。見わたす限り陸も見えない海の上で、さほど大きくもない船に乗っているだけでも心細いのに、その船よりもデカい鮫が襲ってくるんだから、これは怖い。

なぜそこまで「ジョーズ」が怖いかと言えば、それは私が泳ぎが苦手だからです。泳げない人間にとって、海の上は恐怖以外の何物でもない。特に、背が立たない海はね。

初めて見たとき(封切りで見ました)、本気で劇場から逃げそうと思いました。もう高校生だったんだけど。逃げ出さなかったのは、友人たちと一緒だったから、意地を張っただけに過ぎません。

もう1本の怖かった映画は「エイリアン」。

これも怖さでは定評のある映画ですが、私の場合、最初に見た環境が悪かった……いや、よかったのか。

公開当時、ヒマな大学生だった私は金沢に遊びに行き、なぜか繁華街・香林坊の映画館で見ました。よりによって平日の昼間、ほかに観客ほとんどなし。

その時点ですでにビビリの入っていた私は、用心して劇場後方の席に陣取ったのですが、これが裏目。

すぐ後ろに大きなスピーカーがあることに、気づかなかったのが敗因でしたね。あの映画、見直してみるとわかりますが、ノストロモ号の船内では、ずっと何かのノイズが響いているんです。恐怖を高めるための「音の演出」。それを至近距離で浴びた私は、チェストバスターのシーン以降は身動きもできず、ほとんど人のいない劇場内で、ひたすら恐怖に耐えていたわけです。いやあ怖かった。

ただ、「ジョーズ」同様、この「エイリアン」も私の好きな映画なんですけどね。今でも時々BDで見たりしてます。音は小さめで(笑)

という2本が、マジで劇場から逃げ出そうと思った映画なんですが、実はもっと怖かったのがある。

はい、実際に劇場から逃げ出した映画ですね。

それは「大怪獣ガメラ」。

封切り当時小学生だった私は、父親にせがんで連れて行ってもらったにもかかわらず、ガメラが迫ってくるシーンで、耐え切れずにロビーに避難。おかげで私の「大怪獣ガメラ」の記憶には、ぽっかりと空白があります。あ、平成版「ガメラ」は、そこまで怖くなかったです。

でも、上には上がある。さらにそれを上回る恐怖だったのが「101匹わんちゃん大行進」。

初公開時だったようなので、たぶん3歳くらいのころ。両親に連れられて見に行ったこのアニメ映画で、悪役のクルエラが怖くって泣き叫び、母親がしていた水晶のネックレスを引きちぎったという逸話が残っています。

今でも母親にはときどき言われますが、ネックレスはそのせいで短くなっちゃったそうです。恨まれているらしい(笑)

なので、ろくに映画のことは覚えていませんが、終映後の劇場で係員に手伝ってもらって飛び散った水晶を探す両親の姿は、よく覚えていたりします。

というわけで、私の生涯最大に怖かった映画は「101匹わんちゃん大行進」なのであります(笑)

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