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それでも秘宝はあるか?

日本の各地に「埋蔵金」伝説が残っている。群馬県の赤城山で延々と穴掘りを続けるテレビ番組をヒットさせた徳川埋蔵金とか、銀山の奥深くに眠るはずなのに見つからない豊臣秀吉の巨大財宝とか、甲斐の武田の隠し財宝とか、ポピュラーなのは大小さまざま、いろいろな伝説があるが、中でも異彩を放つのが、四国の剣山に眠るといわれる「ソロモン王の秘宝」だろう。

古代ユダヤの王だったソロモンはその王国が崩壊するにあたって東方へ逃れたという伝説があり、その際に巨万の財宝を携えていったという。金銀宝石のたぐいはもちろん、モーセの十戒石を収めたという聖櫃もあったとか。「レイダース/失われた聖櫃」のアレですね。

ソロモン王の秘宝は今日に至るまで発見されていないのだが、その秘宝がよりによって日本の、それも四国山中にあるというんだから、まあ怪しいわな。

研究者の言うところによると、秘宝のありかを示すのが、旧約聖書にある暗号文だという。「ヨハネ黙示録」がそれで、その第4章にこうあるとか。

秘宝の隠し場所は「瑠璃のような海に面し」、そのまわりには「四つの活物が配されている」という。その「活物」とはそれぞれ、「獅子、牛、人面、鷲」の如しだそうだ。

で、その「活物」こそが、四国の4県、香川、愛媛、徳島、高知をかたどっているということなんだ。ま、たしかに四国4県の形を目を細めてみれば、うん、そんなようなものに見えないことはないよな。

しかし、四国4県ってのは明治時代に決まったもんだよね。時代合わないじゃないか。ああ、そのもとになったのは、讃岐、伊予、阿波、土佐の律令国4国だね。それが決まったのは、確かにもっと古い。奈良時代くらいだから西暦でいうと700年代。

で、ソロモン王の統治は、紀元前1000年前後

さあ、この1700年の差を、いかにして埋めるのか。ここからがオカルトの出番だ

ソロモン王の威光はあまりにも凄くて、彼の定めた国境が、その後も連綿と引き継がれて、現代の4県にまでいたっているに決まってるじゃないか。はい、これで解決。

いやちょっと待て。そもそもこの4国の「形」って、どうやって見たんだ? まだ伊能忠敬も国土地理院も地図作ってなかっただろ、2000年前には。

そこでほれ、今度は古史古伝」の出番なのだよ。

太古日本には超古代文明があったってやつだね。空から日本を見るくらいは楽勝で出来たんだよ、きっと(実際に古史古伝のなかにはソロモン王来臨に触れたものもあるらしい)

という具合に「お話し」としては非常に面白いのだが、これを真面目に考えた人がちゃんといるのだから、世の中は広い。おまけにその人にスポンサーがついて実際に発掘まで行なったというんだから、驚きだ。

剣山の地下を数百メートル掘って、玉石や五色の粘土で埋まったスペースを発見したとかいう話が伝わっている。現物見たことないけど写真一枚も残ってないらしいし。そして、こうした話の常道で、最後は資金不足や事故で挫折したそうだ(やっぱり怪しい)

まあ今ざらざらッと書いたが、実際には多くの研究者や後援者がさまざまな研究を積み重ねているので、一概にバカにしてもいかんとは思うが、なんか胡散臭いんだよねぇ。

かつて「剣山は人工の山で、日本のピラミッドである」という説が書かれた本を真剣に呼んでいた、私ですらそう思うんですよね。

ちなみに剣山の山頂は神域なので、やたらに掘り返してはいけません

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