スポケーンぶらり(1)長い長い日曜日

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スポケーン? スポカーン? スポキャン? スポーケン? スポカン?

日本語表記も定かでないアメリカ・ワシントン州の奥地(といっても、州第2の都市なんだけど)になぜ行くことになったかというと、ワールドコン(世界SF大会)がこの町で開催されるから。

毎年夏に世界各地の回り持ちで開催されるこのコンベンションに、わが家はちょくちょく参加しているせいで、フツーの観光旅行ではいかないようなところにもしばしば出撃します。

もちろんシカゴ、サンフランシスコ、ディズニーランドのあるアナハイムやオーランド、昨年のロンドンのようなメジャーな都市や観光地でも開催されるんですが……

グラスゴー、サンアントニオ、ボルチモア、サンノゼ、デンバー、リノといった、ややマイナーな町(失敬)を数多く訪れました。こんなことでもないとい行かないよな、とか言いつつ。まあそれぞれ、行ったら行ったでいろいろと面白いんですがね。

でも、今回のスポケーン(どうも現地で耳で聞いた分にはこの表記がいちばん近い感じ)は、その中でも別格な感じの「地方都市」。だって人口は20万人足らずっていうから、わが家が住む川崎市宮前区よりも少ない。しかも最寄りの大都市であるシアトルから東へ450キロも離れてる。飛行機でも1時間。どんな山のなかなんだ。

などと不安を感じつつ(嘘です。人が住んでる所なんだから、さほど心配はしてませんでした)、親子3人で旅立ちます。

成田から夕方発・全日空の便で空路シアトルへ。そこで乗り継いでスポケーンへと飛ぶわけなんですが、その航空会社が「アラスカ航空」 アラスカ? ずいぶん方向違いじゃないか?

おまけに機体を見てびっくり。プロペラ機だよ!

まあ飛べばいいんですけどね、飛べば。とはいえ、この前プロペラ機に乗ったのはいつだったっけ? それに、垂直尾翼にデカデカと描かれてるのは、いったい誰の顔なんだ?

飛行中に居眠りをしていた私はまったく気がつきませんでしたが、このプロペラ機、けっこう揺れたらしく、妻と息子はかなりビビったそうです。

着いてみると、いきなり「地方都市」感あふれるローカル空港。だって、空港にタクシーがいないんだもん。ふつうどこの町でも空港にはタクシーが待機列を作ってるもんですが。

そんなこんなで、ようやく河沿いに建つ瀟洒なリゾートホテルへ到着。またこのホテルが横に長い! 2階建てのロッジ形式なんですがチェックインしたフロントからわれわれの部屋まで、妻の万歩計によると500歩以上はあったとか。歩いて歩いても、前方にはこんな具合に長い廊下が続きます。「シャイニング」のホテルかよ(笑)

なんとか部屋に入った、この時点で現地時間の夕方。さっそく夕食を調達しなければなりません。

ホテルから、ワールドコンが開かれるコンベンションセンターのあるダウンタウンの街中へは、徒歩で10分足らずの距離。とりあえず何か食いに行こうと外へ出ます。この時期のアメリカはサマータイムなので、夕方とはいえ、外はまだまだ明るい。

ところが、店がない。いや、あるにはあるんだけど、閉まってる。スポケーンは空前の大不況か、それとも間違ってスラム街にでも入りこんだのか。

いえいえ、移動と時差で感覚が狂っていただけでした。はい、日曜日の夕方に出発したのでなんとなく勘違いしてましたが、現地ではまだ日曜日の夜だったのです。そりゃまあ、安息日だから仕方ないよね。けっきょく小規模なショッピングモールのフードコートで、アメリカに来るたびになぜか食べる羽目になる中華料理チェーン「パンダ・エクスプレス」の夕食にありつきました。食べながら見ると、われわれが最後の客だったのか、「パンダ・エクスプレス」さんもさっさと店仕舞い。危なかったなぁ。

気がつけば、サマータイムの夜も暗くなってきています。けっきょくわが家は時差16時間のスポケーンで、ようやく40時間にもおよぶ日曜日を終えたのでした。

(昨年のロンドン旅行と同様に、旅のようすと感想をボチボチ書きます。お付き合いくださいね)

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