ゴーストもちょっとこわい

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「オバケはこわい」で和風幽霊が苦手な話を書いたけど、じゃあ西洋の幽霊はどうなんだと。

いやま、そんなに怖くない

というか、和風幽霊の「怪談映画」とちがって、西洋幽霊はどうしても「ホラー映画」になるんで、なんかジャンル違いに感じるんですよね(あくまで主観です)

もちろん、リメイクが話題になってる「ゴーストバスターズ」とか、ロマンチックな「ゴースト ニューヨークの幻」とかは別ね。

そんななかでも、わりと怖いのが、幽霊屋敷モノ。

和風幽霊はあんまり建物に取りついたりはしない。というか、けっこうフットワーク軽く恨みを抱いた人のところに出かけて行ったりする。そうしない(できない)幽霊さんにはわざわざ「地縛霊」という名がつくくらい。ところが、西洋幽霊は特定の家に住みついているのがけっこう多い。定住型。

映画でいえば、幽霊屋敷調査隊が恐怖に直面する「ヘルハウス」(原作はリチャード・マシスンの『地獄の家』)とか、二度にわたって製作された幽霊屋敷モノの古典ともいえる「たたり」(リメイクは「ホーンティング」原作はシャーリイ・ジャクスンの『山荘綺談』)とか。西洋幽霊はけっこうパワフルで、家具とかボンボン壊したりする破壊力があるのが、ヤダね。「ポルターガイスト」とか、怖い以前に危険だし迷惑すぎる。後片づけがタイヘンだろ。

「悪魔の棲む家」は有名な実話を元にしたというのでいっそう怖いが、でもタイトルが「幽霊」じゃなくて「悪魔」なのはジャンル違いじゃなかろうか。その逆に「死霊のはらわた」に出てくるのは幽霊じゃなくてゾンビみたいな怪物だったよな。

スタンリー・キューブリックの「シャイニング」も幽霊屋敷モノなんだろうけど、大巨匠が凝りすぎて、幽霊なのか何なのかよくわからなくなって、最終的には幽霊にのりうつられたジャック・ニコルソンだけが怖いという、幽霊ってよりはサイコキラーものみたいになったのが残念。けっこう怖かったけど。スティーヴン・キングの原作小説は、もっと思い切り幽霊屋敷なのに。

幽霊が何かにのりうつって悪さをするのもけっこうあるが、わりと怖かった記憶があるのが「がい骨」 マルキ・ド・サド男爵の頭蓋骨に祟られる話で、けっこう不気味だった。クリストファー・リーとピーター・カッシングの競演なのでハマー・プロ作品かと思っていたが、アミカス・プロの作品なのか。原作は『サイコ』のロバート・ブロック。

のりうつると言えば、これは香港の映画だが「死霊の受胎」というのがあって、料理中に怨霊か何かにのりうつられたオバサンが、まな板の上で刻んでいた野菜といっしょに自分の指をみじん切りにしてしまうというシーンが強烈だった。映画全体になんか変なパワーがあるB級ホラーだったけど。中国では幽霊は「鬼」と呼び、「チャイニーズ・ゴースト・ストーリー」とかけっこう色々あるが、中華幽霊はまた別の機会に。

で、近年いちばん怖かった(というかイヤだった)のが「ウーマン・イン・ブラック 亡霊の館」。ハリポタことダニエル・ラドクリフ君が主演だったわりにはあんまりヒットしなかったが、イヤーな怖さがあった。こういうのはイギリス映画の方が巧いのかも。でも、スーザン・ヒルの原作『黒衣の女』もそうだが、子供をネタにされるのは、嫌いだよ。

そういえば、「シックス・センス」も幽霊モノだが、あの映画は××が×××なので、あまり詳しくは語れません。

西洋世界では幽霊(ゴースト)もモンスターの一種みたいな扱いの映画が多いので、けっきょくのところ和風幽霊のような不気味な怖さが薄いのです。なので、私的には、西洋幽霊はオッケイなのでありました。

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