500円映画劇場「レジェンド・オブ・サンドマン」
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またまた騙されました(笑)今回は「レジェンド・オブ・サンドマン」の登場です。
「隠された秘密を求めて広大な砂漠を進む冒険者たちが、様々な困難に立ち向かうアクション・アドベンチャー」という説明と、ジャケットイラストにドンと据えられたクフ王のピラミッドを見れば、誰だって「ハムナプトラ」を連想しますよね。「インディ・ジョーンズ」とか「ロマンシング・ストーン」の系列だと思うでしょ?
ハズレ!
だいたい「広大な砂漠」ってのは、じつはアメリカ国内、それも田舎町から車で数時間のところにある荒れ地に過ぎません。まあアメリカは広いですからね、町と町の間に広大な未開の荒野があるにはあります。ピラミッドはないですが。
「冒険者たちが、様々な困難に立ち向かう」わけでもない。頭の悪そうな若者たちがノコノコ出かけていくだけだし、たった一晩のお話しなんですから。
それに、ネタバレしちゃえば(いや映画冒頭でわかるんですが)その「砂漠」に潜んでいる未知の怪物との対決を描いた映画なので、「アクション・アドベンチャー」というよりは完全な「ホラー」です。
というようなミスディレクションは、まあ500円映画では普通のことなので許しましょう。問題はそこじゃない(笑)
とにかく映画の造りが、妙に素人っぽいのです。撮影機材の不足なのか、照明が不充分で暗め(というよりほぼ真暗)の画面が続いたり、スタジオもセットも使えないせいか人物は超クローズアップの連続で、画面が狭苦しいことこの上ない。もちろん狙ってそういうことをする手法もあります。でも、この映画では成功してません。実際、見ていて状況がよく分からず、イライラするだけなんです。
でも私は寛容なので、認めてやろう。頑張ってる部分も、あるにはあるってことを。
SFX(というより特殊メイクか)はまぁまぁだ。もぎとられる生首、引き裂かれるはらわた、血の海、いずれも1980年代のスプラッタホラー風で大変よろしい。1980年代ならばね。この映画は2006年の作品ですが。
調べたら、この映画をリードした製作者や監督たちは、こうした特殊メイクを手がける会社の仲間らしいです。
それで合点がいった。つまりこれは「特殊メイクのプロが作った素人映画」なんだ。
そう言えば、一緒に見ていた息子が「音楽はちゃんとしてる」なんて言ってました。そう、このテの映画ではPCで無料ソフト使って作ったようないいかげんな電子音楽が使われるのが普通なんですが、ここではパンクロック調の曲がたっぷりとフューチャーされてます。クレジットを見ると全部オリジナル曲の模様。ただ、どの曲も同じような連中が作ってるな。バンド名がやたらとかぶってるんだよね。
読めたぞ。劇中にライブハウスが意味もなく出てくるんですが、そこの常連バンドたちが曲を提供したな。ここも仲間内なんだな、たぶん。
つまりこれは、「特殊メイク仲間とライブハウス仲間で作った自主映画っぽい素人映画」ってことか。なんだ、大学時代に私たちが映画研究会でやっていたようなのと同じようなシロモノなんだ。同志だったのか。
じつはこの映画にとって致命的なのは、肝心かなめの「未知の怪物」がいまいちどころか「いま100」くらいなことなんだが、そのへんは武士の情けで内緒にしておいてあげよう。なにしろ同志らしいから。
これでもアメリカでは劇場公開した映画らしいから、世の中は寛容なもんだ。じゃあ、私たちが学生時代に作った8ミリ映画も売り出そうかな。さすがに500円とはいかないが200円でどうだ?
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