ジャッキー・チェンと勝負する(4)

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ディアゴスティーニ社の「隔週刊ジャッキー・チェンDVDコレクション」第4弾は、「ポリス・ストーリー/香港国際警察」。

おいおい、「プロジェクトA」と並ぶジャッキー映画の代表作じゃないか。こんなに早く出しちゃって、いいのか? このペースでいくと、後の方はグズグズの屑映画ばかりにならないか……などとついつい余計な心配をしたくなりますが、大丈夫、ジャッキーにはまだまだ傑作がたくさんありますから。

それはともかく、この「ポリス・ストーリー」は、ジャッキー・チェンにとって大きな転機となった映画です。これ以前にも、たとえば「バトルクリーク・ブロー」とか「キャノンボール」とか、ゴールデントリオによる諸作とかはありますが、ジャッキー自らが自分の意志で作ったジャッキー映画としては、初の現代劇なのです。

ただ、画期的なのは、そんなことではありません。

この「ポリス・ストーリー」でジャッキーは、初めて「破壊」を映画の見せ場にしたのです。

それまでのカンフー映画でジャッキーや相手役が見せるのは、肉体を極限まで駆使したアクション。そこで痛めつけるのは、あくまでもお互いの肉体そのものです。殴られけられ、吹っ飛び、時には高いところから落下して見せたりしますが、当然のごとく壊れるのは人間のほうが主体。そこで「痛み」が伝わるのがジャッキー・アクションの醍醐味であることは前述しましたが、この作品からそれが変化します。

「ポリス・ストーリー」では、開巻の難民スラムの車による大破壊シーンから、ラストのショッピングセンターぶっこわしまで、もちろん肉体を駆使しての「痛い」シーンもたくさんありますが、主体はあくまで「モノを壊す」こと。その「破壊」のスケールと快感は、それまでの香港映画にはなかなかなかった感覚でした。以後のジャッキー映画では、こうした破壊スペクタクルが大きな見せ場になっていきます。

従来の香港映画のスケールでは(予算的に)できなかったようなスペクタクルもできるようになった。この映画こそが、その記念すべき皮切りになったのです。

そしてこの「破壊の快感」が活かされるようになって、ジャッキー映画、香港映画は世界市場への進出を始めます。

この作品は、そのきっかけとなった記念的作品でもあるのです。

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