痛恨の残念シリーズ

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映画にかぎらず、思惑通りにいかないのが、世の常ってもんでして。

1979年に「ジャガーNO.1」という映画がありました。

超一流スパイ、コードネーム「ジャガー」に秘密指令が下り、世界の平和のため悪の秘密組織と全世界を舞台に闘うという、なかなかワクワクもののアクション映画。公開前にはけっこうな宣伝が行なわれ、私なんか胸をときめかして公開を待ったもんです。

ジャガーを演じるジョー・ルイスってのは知らないが、何でもマーシャルアーツの世界チャンピオンだというし、なによりも他の配役が凄い。「私を愛したスパイ」でボンドガールのバーバラ・バックがヒロインを演じるのをはじめ、「黄金銃を持つ男」のクリストファー・リー、「ドクター・ノオ」のジョゼフ・ワイズマン、「007は二度死ぬ」のドナルド・プリーゼンスと、007シリーズのスターが勢揃い! 世界各地でロケを行ない、東京も舞台になるとか。これで期待するなというほうが無理だろう。たしか公開初日に映画館に駆けつけましたよ。

期待外れという言葉は、この映画のためにあったのか!

いやもう、何がよくなかったかもよくわからないくらい、面白くなかった。もう、いまとなってはよく覚えてないどころか、失望感以外、何も記憶に残らなかった。

その後はずいぶん耐性ができて、ちょっとやそっとじゃガッカリしなくなったんですが、当時はまだまだ私も若かったということか。いや、今見たらけっこう楽しく見るのかもしれないが、その後は見直す気にもなからなかったので、あれ以来ジャガーの雄姿は見ていない

失望したのは私だけじゃなったようで、ついに「ジャガーNO.2」は作られなかった

同じようなガッカリ感を味わわせてくれたのが「レモ/第1の挑戦」(1985年)というやつ。こちらも期待は高かった。

何しろ原作が、その時点ですでに15冊の邦訳が創元推理文庫から出ていた「デストロイヤー・シリーズ」なのだ。ウォーレン・マーフィー(のちに酔いどれ探偵トレース・シリーズでも人気が出た)とリチャード・サピアが合作した、俗にいうペイパーバック・ヒーローもので、ドン・ペンドルトンの「マフィアへの挑戦シリーズ」と並んで、当時は創元推理文庫の看板シリーズのひとつだったのだ(アメリカではその後も続いて、けっきょく長編150冊が書かれた。スゴイ!)

おまけに監督は、007シリーズで勇名を馳せた、あのガイ・ハミルトンである。これで期待するなというほうが無理だろう(進歩ないなぁ)。

「ジャガーNO.1」と同様に、武術の達人が世界的陰謀に挑むというコンセプト。もちろんその後にチャック・ノリスとかジャン・クロード・ヴァンダムとかがスターダムにのし上がったジャンルである。ただし、成功率はあまり高くないジャンルでもある。

そんなこんなでこちらも劇場に駆けつけた。

「ジャガーNO.1」を見たときよりも耐性ができていたはずだが、いっぽうで原作小説を愛読していた分が上乗せされていたんだろう、ガッカリ度は「ジャガーNO.1」に負けなかった。

こちらも失望したのは私だけじゃなったようで、ついに「レモ/第2の挑戦」は作られなかった

ただ、ここで主人公のデストロイヤーことレモ・ウィリアムスを演じたフレッド・ウォードが、まさかのちに私の大好きムービーである「トレマーズ」で主役を張るとは、当たり前だが、まったく予想もしてなかった。というか、今回ひさしぶりで「レモ/第1の挑戦」のことを調べるまで、この両者がまったく結びついていなかったよ。ゴメンね

「ジャガーNO.1」も「レモ/第1の挑戦」も、邦題を見れば、日本の映画会社も今後のシリーズ化を期待していたことはすぐわかる。が、結果はこの通り。私もガッカリだったが、彼らもずいぶんガッカリしたことは想像に難くないね。

人間は、こうした経験を積んで、心が強くなってゆくものだという教訓話でした。

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