ジャッキー・チェンと勝負する(3)

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第3弾は「スパルタンX」。

この作品を出してくれたことは、ディアゴスティーニ社に感謝する。

いわゆる「ゴールデン・トリオ」の作品だが、私はサモ・ハン、ユン・ピョウと組んだトリオ作品はあんまり好きではない。だから、この「ジャッキー・チェンDVDコレクション」がなければ、買わなかっただろう。じっさい、VHSもLDもDVDも持っていなかった。

それは、このトリオの一連の作品のほとんどが、「ジャッキー・チェンの映画」ではないからだ。

「プロジェクトA」はジャッキー映画にほかの二人が参加したものだが、この「スパルタンX」は、はっきりとサモ・ハンの映画だ。私は別にサモ・ハンもユン・ピョウも嫌いではない(というよりもむしろ好きだ)が、ジャッキー映画じゃないものにジャッキーが出ていても、あんまり面白くないんだよね、正直のところ。

そのへんはまた別に語るとして、この映画に関しては、絶対に触れておかねばならないことがある。

名曲「スパルタンXのテーマ」だ。

これは、日本で独自につけられた和製テーマ曲で(当時の邦人系配給会社はよくこういうことをやった。これは東宝東和だったと思う)、今回のDVDでも広東オリジナル音声版では聴くことができない。

が、収録された日本語吹き替え音声版ではしっかり聴くことができるので、このバージョンを収録してくれたことでも、ディ社には感謝だ。

ご存じのようにこの曲は、プロレスラーの故・三沢光晴が長く入場テーマ曲として使用したことで知られている。プロレスファンならば知らぬ者のない名曲だ。

メキシコ武者修行から凱旋帰国して2代目タイガーマスクに変身して活躍していた三沢が、1990年5月にマスクを捨てて三沢光晴に戻ると、すぐに使い始めたのがこの曲。

当時のプロレス記事では、TV中継を担当する日本テレビのスタッフが選んだいくつかの候補曲から、三沢自身がこの「スパルタンXのテーマ」をチョイスしたという。

候補にしたスタッフも、この曲を選んだ三沢も、グッドセンスだと思う。

三沢自身も気に入っていたこのテーマ曲は、全日本プロレスを離脱してノアを作ったあとも一貫して使い続け、2009年6月にリング上の事故で亡くなるまで使用されていた。最後の試合でもこの曲で入場している。

全日本プロレスの若手時代から見ていて、1984年8月の2代目タイガーマスクとしてのデビュー戦(田園コロシアム)も、マスクを脱ぎ捨てた試合(東京都体育館)もライブ観戦していた私は、いわゆる四天王時代には東京での試合をほぼ全部リングサイドで見ていた。ノア時代からはやや縁遠くなっていたが、やはり忘れえぬどころではない重要なレスラーだ。

その三沢が、私の好きなジャッキー映画の曲を入場テーマに使っていたことには、大げさに言えば何か運命的なことを感じるのだ。

もっとも、ジャッキー本人はあずかり知らぬことだろうが。

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