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#2. 雪に埋もれて


慣用表現には、その言語の背景にある文化が色濃くにじみ出る。だから文化が違えば表現も変わる。

昨晩、関東でこの冬はじめての雪が降った。英語で「雪」といえばおなじみ snow であるけれども、つい先日 "be snowed under" という表現があることを知った。

直訳すれば「雪の下に埋まっている」ということだが、これが転じて「仕事に忙殺されている」という意味になるそうだ。

Cambridge University Press のオンライン版 Cambridge Dictionary によれば、例文は以下の通り:

I'm absolutely snowed under with work at the moment.
いまは完全に仕事で忙殺されています。

つまり、書類かなにかを雪に見立てて「仕事の山という名の雪に、埋もれて押しつぶされている」......そんな光景をイメージしているのだろう。

「忙殺」なんて物騒な表現を使う日本語と比べ、多忙の中に雪を見出す英語は、なんとも言えず洒落ている。

ただそう言ってはみても、目の前にある「やるべきこと」は、雪のようには消えてくれない。

温暖化が叫ばれる中、かかえる仕事の数々も、日差しを浴びて、時間とともに溶けてくれればいいのだが……


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