産声をあげた 新しき世界 (haruka nakamura)

イムズホールで行われた haruka nakamura 率いるバンド編成での演奏会”Stardast Ⅱ”に呼んでいただき、その奇跡のような時間を体験できた。

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思えばハルカくんとは 2012年、folklore(青木隼人+haruka nakamura)の最初の演奏会で出会った。偶然だった。しかし今思うと必然だとも、思う。その地は益子。益子の陶芸家:鈴木稔さんに会う為に向かったその日が、彼らの最初のライブの日だったのだ。しかもそれを知ったのは、前日の原宿vacantで行われたライブで、僕の1番好きなシンガーソングライター:Masha Qrella(以下マーシャ) が初来日の日で、そのライブを企画した友人(aus)が、僕がマーシャファンだと知っていて特別にスタッフとして呼んでくれたのだ(僕はつくづく幸せ者だなぁ)。

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そこで演奏したのは、マーシャのバンドと、Aspidistrafly(アスピディストラフライ)、そしてMasayoshi Fujita + usaginingenの3組。そう、ウサギニンゲンにもこの時に初めて出会ったのだ。アスピディストラフライは、当時から気になっていた haruka nakamuraというアーティストの作品もリリースするシンガポールのキッチンレーベル主催者でもあり、明日は益子でライブだというものだから、僕も明日益子なんだ!観に行くね!って言ってその日は別れた。

とは言っても、陶芸家である稔さんにお世話になるのに、稔さんがすでにいろいろと予定を組んでいたりしたら、もちろん諦めようと決めていて、でも一応誘ってみようと、稔さんが運転する道中の車内で、今日のライブのことを話すタイミングをうかがっていたら、なんと音楽のことを今まで話したことがない稔さんの口から青木隼人という言葉が出てきたのだ。僕はすでに青木くんと出会っていた頃で、新たしい動きであるfolkloreが気になっていて、稔さんは、自身が展覧会を依頼されるギャラリーにも青木隼人さんが来ているらしく、CDを買ったよと見せてくれたのだ。びっくりした。しかし、話は早い。早速今日、今からスターネットでライブだからどうしても行きましょうと誘った。しかし、スターネットは超人気店。入れるか分からないので、馬場さんに稔さんから連絡してもらった。馬場さんはちょっと嫌そうだったけど、無理に入れてもらった。馬場さんと会えたのもそれが最初で最後になったが、それからも奥様とやりとりさせていただき、今はどちらもいらっしゃらないが、リベルテレターが今でもスターネットに置いてあるのはそう言った経緯からだ。

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話は逸れたけれど、とても重要な場所であり人物だった馬場さんと、音楽を通して会えたのは僕にとって大きくて、今思うとなおさら意味があると思っている。

彼らのライブを観た後、青木くんの紹介で始めてハルカくんに挨拶でた。”え?!大分から?〇〇からよく聞いています!”というあの瞬間を鮮明に覚えている。リベルテを知ってくれていたことも嬉しかったから、あの暗がりでの会話を今でもよく覚えている。彼は来てくれたひとりひとりにお礼を言っていた。信頼できるその姿よ。僕の地元にも、家族や友人たちが何人もいるけれど、なかなか本当には理解されにくいこの活動。でも、”届くところには必ず届く”と実感したのもこの頃(2012年)だし、”届いて欲しいところにきちんと届く”ことも実感できた。実感というか”この活動を信じていいんだ”と思えた。そしてハルカくんが素直に音楽に向き合っている姿、感謝する姿を見れて、彼も”数少ない信じられる人だ”と感じた。

それから、時が経ち2016年にようやく、folkloreの演奏会が日田リベルテで実現した。その頃には内田輝が欠かせない存在となっていて、3人での演奏会だった。リベルテのスクリーンに(どなただったか?)の素晴らしい星空を映し出し、実際に満点の星空の下で聴いているような、そんな演奏会だった。3人での表現の円熟期のような、もうすでにそう感じた。ギターとピアノとアルトサックス。音楽が自然と役割を決めていた。そして、ひとりでも立てる音楽家がこうやって一緒にいることは奇跡的な時間だ。ジョアンとジョビンが一緒に活動していたように。今思い返しても、幸せな演奏会だった。

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不思議な出会いとは、後々思うことであって、その時は求める先に自然と出会い、何かしら惹かれ合っただけで、お互いに何者でもなければ、ただただ、その求める世界が、見ている世界が、望む世界が、似ていて、信じることができた。それだけなんだろうとも思う。

それから、ありがたいことに3人とは、それぞれに会う機会がいくつもあった。そんな中、青木隼人『日田』をリベルテレーベルから発売し、内田くんと杉さんの花会も体験できた。ハルカくんは"stardust"と題した演奏会を始めた。そこには青木くんも内田くんもいた。ぼくは行けなかったが、それがいまでもとても悔しい。

そして2019年、”stardust Ⅱ”と題してまた全国を回るという。僕はどうしても行きたくて仕事を放って観に行った。もう後悔したくないから。新しいメンバーでの、これから始まるであろう彼の世界観を、光を観た。声と響き、沈黙と荘厳。原始的に心が喜び、鑑賞後には心が浄化されるような、そんな祈りの時間のようだった。僕も音楽をしていたので、産声をあげたばかりの音楽だとわかって少々ドキドキしていたが、会場のみんなの気持ちの高揚感が会場全体を包み込んでいて、そんな心配を一瞬で打ち消す圧倒的な光(世界観)が目の前に広がり、気づくと涙が溢れてきた。とても眩しかったのだ。それもただ光る光ではなく、闇から抜けた光。トンネルの先から訪れるような、光。安心感。祈り。願い。未来。。。

音楽にはまだまだ圧倒的なチカラがあるのだ。

と、そう信じることができた。ありがとう。この日に聴いた音楽も、きっとその後生き物のようにどんどん成長してゆくだろう。harukaくんの見ている世界をこれからも見たい。また次に会う日を楽しみに、この日のことをみんなに語っていこうと思う。産声をあげた、新しき世界。また会う日までその光を浴びながら過ごすよ。

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