明けましておめでとうございます 2021年

新年、明けましておめでとうございます。

以前2回閉館を余儀なくされた日田の小さな映画館:リベルテも12回目のお正月を迎えることができました。これは全て、わざわざ足を運んでいただいた皆様のおかげでしかありません。感謝しかありません。本当にありがとうございます。

2008年に2度目の閉館を余儀なくされ、全国的にも小さな町から映画館が軒並み閉館していく中に復館事業のような形で始め、ここまでやれたことはすでにすごいことだと思う。我ながらよく頑張ってきたなぁとも思うし、これまでを思うと苦しことの方が大きく(今でも苦しいけど今以上に)いつも泣きそうになる。奇跡だ。その奇跡が実際に今でも日常に存在していることが、奇跡を超えて事実となる。もちろん、そこには様々な苦労があるけれど、奇跡っていうのは、”イメージで無理だと思っていること”だと気付く。だから、無理だと思っている自分の考え方こそ変えることができるということにも気付く。他者を変えることは、おこがましくもあり、難しくもあるけれど、自分を変えることはできる。結局、全ては自分自身なのだ。

そんなこと言われても、日常でそう気付くことはなかなか難しいよ。という方にこそ、映画を観てもらいたい。良質な映画をたくさん。だからぼくは映画館を営んでいるし、映画は誰かの人生なんだから、その誰かの人生を知ること・アクセスするだけで、この現実を乗り越える術を授かるかもしれないし、新しい発想が自分の中から生まれてくるかもしれない。それは、自分以外の誰かが精一杯生きた人生を、目の前で観たから生まれてくる感情や感動。ぼく自身も、映画を観ている時間が好きなのは、自分の知らない感情に出会えるから。あ、自分はそんなこと思っているんだっていうその瞬間が好きだから。だから好きな映画ってそんなことを思わせてくれるものばかりで、もちろん人気とか評価とは関係ない。自分にとってだから。きっと、本当に好きな映画をあげてと言われたら、みんなもそうだと思う。ぼくらはそれぞれだから、好きなものも感動することも違っていいのだから。

でも、やっぱりなぜか、誰もが感動する作品ってあるのも事実。それが名画と言われるものになってゆく(映画以外も全てそうだけれど)。そう、名画になるのではなく、名画にしていったのもぼくら。だから、名画にするかしないかも、結局ぼくら次第なのだ。ぼくらがまずは映画(誰かの人生)にたくさん触れ、いいものは誰かに紹介したくなるから伝える。その繰り返しがあって、次第にその感動が大きな渦になり、作品が名画となってゆく。そしてその初動は、いつもひとりが感動しただけである。このひとりをぼくらはいつも忘れてはいけない。このひとり(あなた)の感動こそ、生きていく上で最も重要なものなのだから。その感動が明日への活力にもなれば、現実を乗り越える強い心にもなれば、苦しい人を見れば助ける優しい心にもなってゆく。やっぱり、ひとりひとりが幸せに過ごすことができれば、この社会は国は、地球は、幸せになるのだと、信じている。『暮しの手帖』の創刊者:花森安治と同じ気持ちになる。

今年も、いったい何が起こるかわからないけれど、それも人生。この人生を思いっきり楽しみ苦しみ、それらをひっくるめて愛すことが、ぼくらの生まれてきた意味なのかもしれない。そして映画にはそれらを体現した登場人物たちが、人生の先輩たちがいる。その先輩たちから何かを感じてまた今を生きよう。

と、そんな気持ちになった年始。いつもと変わらないけれど、いつもより強くそう思う。これも、コロナのおかげなのかもしれない。『海の上のピアニスト完全版』『シラノ・ド・ベルジュラックに会いたい!』『おらおらひとりでいぐも』の3作品で始まった今年も、精一杯、生きていきますのでよろしくお願い致します!

2021年1月

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