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一本の鉛筆と、人の尖り具合は、似ている。

最初は、ただの棒だ。
それを鉛筆削りで削って、尖らせる。
尖った先端を使って、書く。
そのうちに、丸くなっていく。
再び削って、尖らせる。
その繰り返し、である。

私は先日『尖る余話』という
記事を書いた↓

「尖るという漢字は、小と大から成る
頭でっかちではなく、足腰・足元をこそ
大きくしてこそ尖ることができる」…
そういう趣旨だった。

本記事は、その続編である。
少しの間おつきあいいただけると、嬉しい。
ただ書くだけでは面白くないので、
短い物語を設定してみる。

ツンツンに髪を尖らせた、
いかにも尖った風貌のバンドマンがいる、

と仮定しよう。

ロックの精神、心はナイフ、
触るものみんなを傷つけてきた的な彼も、
社会に出るにあたっては牙を抜く。
髪を七三に分けて、面接を受けた。

新卒で、とある会社に就職した。
しかし髪は七三でも、心はギザギザ。
会社の旧態依然としたあれこれに
ロック魂が燃え上がり、反乱を起こした。

かなりの傷跡を残して、辞めた。

しかし次の会社では、
野武士集団の雰囲気もあってか
意外に水が合った。

彼は青年から中年になった。

自分では生涯ロックな気分でいても、
いつのまにか、丸くなっていった。
逆に若い者の反乱を
鎮圧する立場になったりした。

そのうちに定年となり、退職した。
会社の看板が外れた彼は初めて、
「社内でのみ尖っていた」ことを知る。
世間的には、腹が丸く出た、
ただのおじさん、であった。

再び自分とは何か、を考えた。

あれやこれやを削り、自分のコアはこれだ、
これが自分のライフワークだ、と見つける。
そんな彼は、見た目は変わっていなくても、
…たとえ髪をツンツンにしなくても、
人の心に刺さる尖り具合を
再び身につけるようになった。

…これは、ただの創作物語。しかし、

削る・尖る・丸まる・再び削る・尖る。
「この繰り返しをいかに意識的に行うか」
これが、自分の物語をすらすら書くには必要、
なのではないだろうか。

どんなに自分では「尖っている」つもりでも、
日々「書く」ことで、
鉛筆はいつしか「丸まっていく」。
先が丸まった鉛筆は、すらすら書けない。
そこで再び「削る」。再び「尖らせる」。

『削る』という漢字は
肉と点と刀から成っている、という。
よぶんな肉から、美味い所だけを
取捨選択するのである。

そのためには、今の自分の「肉」を見て、
どこが余計な贅肉か、必要な筋肉か、
見極めることが欠かせない。
ただ、これまた難しいところだが、
肉には「内臓脂肪」というものもある。
見た目、外観だけでは、分かりにくいのだ。

そのため「うまく削る」には、
『客観的な他人の目』を使って
数値や状態を洗い出し、
『どこが大事な筋肉か』全体像を見極めたり、
『どこを鍛えてきたか』自分史を振り返ったり、
そういう機会を整える必要が、ある。

例えば 長嶺 将也 さん ・高崎 澄香 さん の
せんのみなと のように↓

他人の視点から自分を見つめ直す…
そのような「削り直し」の意識を持つ…
そういう機会や場所などが
もっとこの世の中には必要、だと思う。

話を、鉛筆に戻そう。

電動鉛筆削り機を手にしたとしても、
鉛筆は勝手にその穴に飛び込んだりはしない。
鉛筆は、丸まっていたいのかもしれない。
削り始められたが最後、
ガガガッと一気に削られてしまうから。
芯が、むき出しになる。
…それは意外と恥ずかしく、億劫なことだ。

鉛筆を削るのは、鉛筆でも機械でもない。
人間だ。
削ろうとする人間の意志があって始めて、
鉛筆は削れる
、のである。

…と、偉そうに書いてしまった私も、
自分で「尖っている」と錯覚していた。
SNSを本格的に始めるまでは
自然に丸まっていたのだ。
いま、必死に削り、尖らせている。
そう、多くの読者の皆様と、同じように。

そろそろ、まとめていこう。

◆「削る」には、他人の目があるといい。
◆「削る」には、全体的・客観的に見る。
◆「削る」には、振り返りが役に立つ。
◆「削る」には、意志が欠かせない。
◆「削る」のは、あくまで自分。

そうして初めてビジョンや行動が先鋭化し、
尖り、誰かに刺さるものになっていく。

ただし、と補足。

「削り過ぎた鉛筆」は、芯が折れやすい。
「これしかない!」と細くし過ぎると
ポッキリいくことも、ある。
複合的に、柔軟に、削りたい。
予備の鉛筆も、備えておきたい。

また、削らなきゃ!と迫られて
肉体や精神、ひいては寿命まで
削ってしまっては、まさに本末転倒。
特に「睡眠時間」は削らないほうがいい。
矢間 あや さんもよくおっしゃっているように↓

https://yazama-aya.com/

いい感じに書けて使えるように、
日々削って、うまく尖らせておく。
ただしその尖りが、先端が、
周りの人を無闇に傷つけないように、
キャップをつけ、筆箱に整えておく。
尖るのは、諸刃の剣の面もあるから。

ビジョンや行動を書き出せる人、
絶妙にうまく尖れている人ほど、
素晴らしい筆箱を備えているものなのだ。

さて、読者の皆様の
筆箱の中身は、いかがですか?
鉛筆は、うまく尖っているでしょうか?
削りカスだらけで、汚くなっていませんか?
…消しゴムばかりが入っていませんか?

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