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1、決勝が終われば夏が終わる

梅雨寒の頃に地区予選が始まり、雨の多かった7月。地区予選決勝の頃にようやく夏らしい太陽が照り付け、「ああ、夏が来た」と思ったのもつかぬ間、酷暑にあえいだ8月。「そろそろ緩めてもいいのではないか…」と太陽に毒づいた頃、8月も下旬になってようやく雨も少し降り出して、昨日8/22にはようやく少し暑さも和らぐ。

夏の甲子園の時期は、初夏→盛夏→初秋と重なります。それは、緩急をつけたピッチングをするピッチャーのようです。

決勝も終わり、甲子園での優勝校も決まりました。

履正社5-3星稜

値千金の履正社の井上選手のスリーラン。しかし星稜の奥川投手もそれ以外は凡打に抑えています。ここぞという時に打ち、ここぞという時に抑える。2人は、決勝という大舞台で、勝負を楽しんでいるかに見えました。

2人にも、他の選手にも、甲子園に出られなかったすべての球児にも、次の季節が訪れます。

今回は、第101回の夏の甲子園大会を盛り上げたピッチャーと、その投球について、書いてみたいと思います。

2、達川さんが受けたいピッチャー

決勝戦の前に、元広島カープで広島商OBでもある、達川光男さんが始球式を行いました。

そのあと、達川さんは、インタビューでこのようなことを述べています↓。

一部、引用します↓。

この日、始球式の大役を終えた後、達川氏は“伝道師”として、全国の球児にメッセージを残した。「いま高校球児で最も受けてみたい投手」。そう問われた達川氏は「広商の倉本です」と即答した。後輩がかわいいからではない。「(倉本の球速は)125キロでね。奥川みたいに154キロ出なくても、高校野球はスピードを争う競技ではないんだよと。緩い球でもいかに相手を打ち取るか。いかに抑えるかということ。奥川みたいなすごい才能を持った選手もいるし、スピードが出ない選手もいる。今年、甲子園に出られなかったいろんな学校の選手がいるけど、変化球やコントロールを磨くとか、なんかの方法で相手を打ち取るというね。倉本はフォークボールだけはプロでも通用するかなというくらい磨きました。昔よく言った『ハエが止まる』という感じでバッターにスーッといって面白いように空振りを奪う。まあ、そういうことです」

「高校野球はスピードを争う競技ではないんだよ」

名捕手として活躍された達川さんならではのコメントです。

今大会ナンバーワンのピッチャーとしては、間違いなく星稜の奥川投手の名前が挙がるでしょう。しかし、彼の凄いところは、速球が速いところではない。スライダーも交えて、バッターを打ち取れるところにある。ピッチャーは速い球を投げるのが仕事ではなくて、バッターを打ち取るのが仕事。おそらく達川さんは、奥川投手をリスペクトしつつも、あえて広島商の倉本投手の名前を挙げることで、そのことを全国に伝えたかったのではないか。

なお、個人的に私の今大会のベストピッチャーは、智辯和歌山の池田投手です。奥川投手と投げ合った延長戦は、歴史に残ります↓。

3、緩急をつけよう

ここから、人生に関する教訓も引き出せます。

つまり、緩急、メリハリが大事だと言うことです。

150キロ超えのスピードボールばかり投げていると、いつかはバテます。変化球や抜いたボールを交える。そうしないと、バッターの方も速球に目が慣れてきて、打たれるかもしれません。

同じように、キャッチボール投法でゆっくり投げてばかりいても、いつかは打たれます。時には速球、そうすることでメリハリがつきます。ピリッと引き締まります。

水島新司さんの「ドカベン」では、山田太郎高1の夏に「犬飼小次郎」というピッチャーが出てきます。省エネのキャッチボール投法ばかりしていましたが、山田を打ち取る時は一転、全力投球で牙をむきます↓。

いしざわさんのブログでは、このキャッチボール投法について考察が行われています。ぜひ興味のある方はご一読を。それにしてもキャッチボール投法でベスト4まで残れる土佐丸高校、どれだけ強いんだ…。

いずれにしても、ここぞという時にはギアを上げる。力を抜くときは抜く。油断させておいて、土佐犬のようにガブリとかみつく。このようなメリハリが、何事においても必要ではないでしょうか。

読者の方は、常に全力投球しすぎていませんか? また、常に気を抜きすぎていせんか? 緩急、つけていますか?

夏の暑さにも緩急がついてきていますが、季節の変わり目は逆に体調を崩しやすいもの。どうぞご自愛ください。食欲のないときはゆかりご飯で↓。

スタミナをつけようと、油っこいものばかり食べると、胃腸もバテてしまいます。胃腸にも緩急をつけましょう(笑)。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

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