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「弘道館」にも、有名な梅林があります。

こうどうかん。
偕楽園と同じく、幕末の水戸藩藩主であった
徳川斉昭公がつくりました。
茨城県水戸市にある、有名な藩校(学校)です。

1841年に完成しました。
「教育によって人心を安定させ、
教育を基盤として国を興す」
が、建学の精神。

偕楽園とセットで弘道館が
水戸の観光地として有名なのは、そこに
斉昭公が好んだ『一張一弛』という考え方が
反映されているから、と言われています。

いっちょういっし。

時には、厳格に張り詰めるべし。
時には、寛容に緩め楽しむべし。
元々は古代中国の周の文王の、
「弓を張ったり緩めたりするように、
人民に対して程よく接する政治を行った」
という故事から来ている言葉です。

あえて超訳をするとすれば、
「メリハリ、バランスを取れ」という意味。
この精神を実際に表現したのが、斉昭公。
「弘道館」にて厳しく文武に励み、
「偕楽園」にて楽しく自然に親しむ。
まさに一張一弛の「見える化」です。

斉昭公は、人間が張り詰めるだけ、また、
楽しむだけではだめだ、壊れてしまう、
ということをよく知っていたのでしょう。

この徳川斉昭公、賛否両論がある人です。

例えば「大奥」関係の創作物では
ボロクソに描かれていることが多いです。
大奥から、ものすごく嫌われていたんですね。
大奥に質素倹約を迫ったから、とか
そのくせ大奥出身の上臈御年寄だった
唐橋という女性に手を付けたから、とか、
色々と説はあります。
あまりに大奥から嫌われていたために、
斉昭公の子どもである徳川慶喜が
将軍になるのを大奥は大反対していたとか…。

その一方で、偕楽園や弘道館をつくり、
世に先駆けて「尊王攘夷」の思想を広めて
明治維新の下ごしらえをした、ということで
時代を切り開いた名君、という評価もあります。
特にお膝元の水戸では、第二代水戸藩主である
徳川光圀、つまり「水戸黄門様」と
並び称されるほど、評判の高い藩主なんですね
(なお、光圀公は「義公」、斉昭公は「烈公」と
諡(おくりな)されています)。
大河ドラマ『青天を衝け』では、
竹中直人さんが好演されていました。

そんな斉昭公がつくらせた弘道館の周辺には、
(偕楽園ほど世の中には知られていませんが)
なんとも優雅で素晴らしい梅林が、あります。

弘道館そのものの敷地に入るのは、有料です。
ですが、この弘道館の近くには
「弘道館公園」という無料ゾーンがありまして、

ここの梅林が、おすすめなのです。

偕楽園ほど人が多くないのに、
ずらり並んだ梅林を、無料で楽しめる…。
しかも水戸駅からそんなに離れていないので
偕楽園よりも近く、歩いてこれる…。
もともと県庁があったところなので、
30分以内は無料の駐車場もある…(せこい)。
近くに県立図書館もある…(ポイント高い)。

弘道館に学んだ水戸藩士たちも、
「一張一弛」の考えで、
時には厳しく文武に励み、
時には楽しく梅に親しんだ、
のではないかなあ…と思いながら
ここの梅を見るのも一興、かもしれませんね。

さて、読者の皆様におかれましては、
「一張一弛」の精神、大事にしていますか?

年度末進行でデスマーチっぽいのに、
何かと心がささくれだつ
ニュースや事件が多い、昨今です。
張り詰めることが、多いかもしれません。
ですが、何かに追い立てられ過ぎると、
人はいつしか壊れます。
完璧超人とは、なかなかなれないものです。

集中と、リラックス。
一張と、一弛。

この精神は時代を越えて、
とても大事なのではないでしょうか。
トップ画像は「弘道館公園」の梅林
せめて少しでも、梅の優雅をおすそわけです。

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