![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/90350669/rectangle_large_type_2_81e1f6a8b41c17c59339a6c241d98e32.png?width=1200)
『ざっとうの詩~絆』と『雑踏警備の手引き』
兵庫県警は『ざっとうの詩~絆』という楽曲を、
ホームページ上で無料公開しています。
(ここから引用)
『兵庫県警察では、明石歩道橋事故の
教訓を踏まえ、雑踏事故防止の
施策として全国で初めて、
来場者の心(頭)に残るBGMを流し、
雑踏警備への理解と協力を
お願いするとともに、
雑踏によるストレスの緩和等を目的に、
「ざっとうの詩~絆」を
尼崎出身の女性デュオ「あまゆーず」さんの
協力を得て制作いたしました。
副題の「絆」(きずな)には、
来場者、主催者、警備会社
そして警察の4者が、
手をつなぎ、心を通わせ、
雑踏事故を起こさないという
意志を共有し、
心と心の絆をもって、
それぞれの立場で安全を願う
というメッセージが込められています。』
(引用終わり)
過去には戻れない。
事故で失われた命は、元には戻らない。
ならば、未来への「教訓」として活かす。
そのような強い意志が、感じられます。
ホームページ上で、実際にこの
楽曲を視聴することができるのです↓
私も、聴いてみました。
◎「来場者の心(頭)に残るBGM」
◎「それぞれの立場で安全を願う」
そんなことが感じられる、
心に染み入るものでした。
とても、印象に残る、楽曲でした。
本記事は「雑踏警備と雑踏事故」について。
兵庫県警は、この「ざっとうの詩」とともに、
『雑踏警備の手引き』という冊子を
ホームページ上で公開しています。
平成十四年度(2002年)に、
作成されたものです。
◆第1章 雑踏の脅威
◆第2章 基本的事項
◆第3章 群集
◆第4章 雑踏警備の計画から実施まで
◆第5章 雑踏事故の実例
このような章立てで、
雑踏とは何か、群衆とは何か、
いかに警備を計画し実施するか、
過去にどんな事件があったのかなどが
事細かに記されています↓
これが、すごい!
警察の方が実際に警備をするために
作られたものとは思うのですが、
一般の方が読んでも、
そうなんだ…!という
目から鱗の内容が書かれています。
例えば「初詣」や「満員の駅」の中で
「とても多くの群衆の中で
歩いた」経験のある方なら、
「もし、ここで後ろから押されたら
どうなるだろう…」という恐怖感を
味わったことがありますよね。
私も、あります。
「…逃げればいいじゃないですか」と
思われる人もいるかもしれませんが、
身動きが取れないほどの
ぎゅうぎゅう詰めの人混みの中って、
本当に苦しい。本当に動けない。
逃げられないんです。
また、神社のお賽銭箱に向かったり、
電車に乗ろうとしたり、という
目的があるわけですから、
頑張ってそこに向かっているのに
途中でそこから外れるというのも
心理的に難しい…。
この『雑踏警備の手引き』には、
「群集心理」が事細かに書かれています。
例えば、以下のような特徴がある、と。
◆「軽薄性」暗示にかかりやすくなる
◆「無責任性」規範意識や理性が失われやすい
◆「興奮性」偏った極端な行動をとりやすい
◆「暴力性」怒りや焦燥から暴力が起きやすい
◆「直情性」自分本位となりやすい
◆「付和雷同性」他人の非常識な行動が伝染
また、以下のような行動特性がある、とも。
◆「左側通行」自然と左側と通る
◆「近道通行」最短コースを取りがち
効果的な警備・誘導をするためには、
このような人間の心理と行動特性を踏まえて、
いかに計画を立て実施すべきか、
そのようなことが書かれているのです。
一読の価値が、あります。
「ざっとうの詩~絆」の紹介文でも
ありましたように、
いくら警察・警備の方「だけ」が奮闘しても、
事故は防ぎきれません。
『来場者、主催者、警備会社そして警察』
この四者の「絆」こそが
悲しい事故を防ぐ、のではないでしょうか。
「ああ、警察のDJポリス、頑張っているな」
「お仕事、お疲れ様です」
ではなくて、
来場者や主催者の立場となりうる自分が、
雑踏とは何か、群衆とは何か、
どんな危険が起こり得るのか、
事前に危機を察知して
回避行動を取るためには
どうすればいいのか?
そういったものを「事前に」
知っておくべきではないでしょうか?
楽しいイベントで、雑踏事故は起こりがち。
誰しもが、笑顔で行って、笑顔で帰って来る、
そのつもりで出かけた、と思います。
帰ってこない、とはまさか思わずに…。
「雑踏事故」で検索しますと、
たくさんの事故や事件が出てきます。
例を、少しだけ挙げますと、
◇1934年の京都駅跨線橋転倒事故
◇1954年の二重橋事件
◇1956年の彌彦神社事件
◇1960年の横浜歌謡ショー将棋倒し事故
◇1961年の松尾鉱山小学校児童圧死事故
◇2001年の明石花火大会歩道橋事故
◇そして、2022年のソウル梨泰院での事故…
本人が、またその家族が、
辛く悲しい顔になってしまうことを、
未来では、できるだけ防がなければいけない。
「教訓」にして、刻んでおかなければならない。
そのために、この兵庫県警が作った
「手引き」と「詩」は
とても役に立つ、と思うのです。
役に立てなければいけない、とも思うのです。
最後に、まとめます。
リアルな人混みの中で、
「雑踏事故」「群衆事故」は起きます。
しかし、情報爆発とも言われる
SNSが異様に発達したこの現代においては、
オンライン上でも「群集心理」に基づく
「雑踏事故」が起きやすいものですよね。
◆「軽薄性」暗示にかかりやすくなる
◆「無責任性」規範意識や理性が失われやすい
◆「興奮性」偏った極端な行動をとりやすい
◆「暴力性」怒りや焦燥から暴力が起きやすい
◆「直情性」自分本位となりやすい
◆「付和雷同性」他人の非常識な行動が伝染
このような心理が反映された「炎上事故」を
(noteやリンクトインではあまり
ないかもしれませんが)
皆様もSNS上などでご覧になったことが
あるのではないでしょうか?
あれはまさしく
「群集心理」そのもの、ですよね。
かくいう私も、知らず知らずのうちに
そういう心理になってしまうこともある…。
改めて自戒しよう、そう思いました。
「ああ、SNSの運営、頑張っているな」
「通報対応のお仕事、お疲れ様です」
という「運営任せ」「警備任せ」ではなく、
コミュニティなのですから、
来場者たるユーザー自身も、
自重し、協力し、尊重し、連携する…。
そんな意識が必要かな、と感じました。
…そうは言っても、
SNSの活用上で、カッとなりそうな時、
事故が起きがちな心理になりそうな時、
どうすれば良いのか、ですって?
ぜひ『ざっとうの詩~絆』を
一度、聴いてみてはいかがでしょうか?
よろしければサポートいただけますと、とても嬉しいです。クリエイター活動のために使わせていただきます!