見出し画像
…ウサギが木の株で転んだ。
農民はたまたま獲物を得た。
それからその農民は、
畑を耕すことなく木の株を
ずっと見守るようになった。
畑は荒れ放題となり、
彼は笑い者になった。…

こんな話があります。
『守株』『株を守りウサギを待つ』
という故事成語の由来です。
今日では「古い習慣にこだわる」
という意味で使われます。

そんな幸運が
何度も起こるわけないだろ!
棚からぼたもち的な、
ラッキースケベ的なことが
何度もあるわけが、ない!

…冷静に考えれば、そうですよね。

守株の人を嘲笑うのは自由です。
しかし、「平成の30年」とは、実は
大部分の方にとっては
『守株』の時代だったのではないか、

というのが本記事のお話です。

たまたまの成功、とは何でしょう?

言わずもがな、昭和末期の
『バブル経済』です。
中年以上の読者の皆様には、
まだ記憶にあるかと思います。

◆イケイケドンドン
◆ギロッポンでシーメー
◆会社の経費でドンペリニョン
◆タクシー券は使い放題 …

「バブル伝説」は今や夢の中のおとぎ話。
しかし、実際にあった話です
(読者の皆様が知っている伝説は
どんなものですか?)。

汗水を垂らして働かなくても
株や土地の価格が上がっていく。
放っておいても、獲物は取れ放題。

…そりゃ「財テク」しますよ、ふつう。
必死に耕し、狩りに出て稼ぐよりも、
ウサギがころりと転ぶのを
待つ方が「頭がいい」と言われますよね
(実際、土地を転がす人もいました)。

日本は世界の富を集め、
「ジャパンアズナンバーワン」
たてまつられました。

…だがそんな幸運は永遠には続かず。
バブルは、崩壊。
下がらないはずの地価は下落、
つぶれないはずの銀行がつぶれて、
世界は、変わりました。
いや、元に戻ったと言うべきでしょうか。

この状態を目の当たりにして、
当時の人々は悔い改めて
「一億バブル総懺悔」、
組織も働き方も業界のしきたりも
ガラリと何もかもが、変わった…

わけでは、ないんですよね。

それは「平成」を生きてきた
読者の皆様がよくご存じでは?

多くの業界や組織では、
「IT革命! 聖域なき構造改革!」
などの声に満ち溢れながらも、
その多くが建前的なものに終わりました。

なぜかって?

心の内側では、
もう一度バブルが来ればいいなと
思っていた人が多かったから
、です
(東京プリンの曲にも
『バブルアゲイン』という曲がありました)。

先頭に立ち、汗をかき、
未開の地を開拓する人が少数だったから。

これこそ「成功の毒」です。
うまくいった経験は「麻薬」。
そうそう組織全員の心の中まで、すぐに
一新・浄化されるわけはないのです。
短期間でうまくいった記憶の毒は、
長期間で禁断症状に耐えながら
少しずつ抜くしかない、のです。

…もちろん、IT業界など、
「新たに勃興した組織や業界」ならば
最初から意識が違うのかもしれません。
しかし、昔ながらの業界などは、
看板を変えても中身はバブルアゲイン、
ツールを変えても中身は夢よもう一度、
皮相上滑りの名ばかり改革で、
振り回される社員の方も多かったのでは
ないでしょうか?

現在、令和の時代になりました。

ようやく、本当にようやく、
『木の株を守ってもウサギは来ない』
という人が増えてきた
、ように思います。
平成時代とは、この『守株人口』が
徐々に減ってきた時代とも言えましょう。

失われた10年が、
20年、30年になるにつれて、
「護送船団的意識」を捨てて
自分なりの畑、自分だけの畑を
耕す人が、やっと、増えてきました。

…かく偉そうに書いてきた私も、
ようやく3年前にSNSでの
発信を始めた一人です。
やっと、耕し始め、狩りに出始めました。
自分の手で、足で。
「判断が遅い!」と『鬼滅の刃』の
鱗滝さんに叱られるかもしれませんが、
遅くても一歩踏み出すことが大事と思い、
ほんのちょっとずつ、進めています。

SNSで投稿を始めている読者の皆様は、
そんな耕作者・狩猟者の一人です。

汗水たらしながら、
木の株を根元から抜き、
弓矢を持って自ら
ハンティングされていることでしょう。

私も及ばずながら、皆様とともに、
少しずつ進んでいきたい。そう思います。

よろしければサポートいただけますと、とても嬉しいです。クリエイター活動のために使わせていただきます!