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『鳥見桐人の漫画断面図』より、「SLAM DUNK」のヤス

「ヤスも、湘北の安心を体現する人物なんだ」
いきなり奴は斬り込んできた。…語りたくてうずうずしてやがったな。
「名前も安田。安心の安だ。下の名前は靖春。あだ名がヤスにしかならなさそうなキャラ。だからこそいい、わかりやすい」
「監督も『安』西先生だしな」
「そう、主要メンバーがギラギラしているからこそ、余計にヤスがいい。特にこのシーンではな。ヤスが活躍するのはここと、あとヤンキー状態の三井に『帰って下さい』というところか。度胸は湘北一だ。そのヤスを、全国大会という晴れ舞台で、ワンシーンだけでも輝かせた、作者の演出力が素晴らしい」
「ヤスに太鼓判を押すのも、縁の下の力持ちのメガネ君だしな」
俺はそう言って、他人丼に箸をつけた。…うん、なかなか。鶏肉と玉子とじの親子丼とは違って、豚肉と玉子とじ。ダシがいい味を出している。
「例えて言えば、ヤスは他人丼の玉子とじだ」
「…他人同士を結び付ける、ということか?」
「そう。強烈なキャラ5人組、桜木に流川、ゴリに三井にリョータが湘北の強さの源泉だ。しかし、それだけでは飽きる。安西先生がいて、メガネ君がいて、ヤスがいるからこそ、その強さは際立つんだ。どんなに美味いサーロインステーキでも、ステーキだけ5枚も食べたら、もう肉はいいや、となるだろう? 付け合わせの野菜、スープ、デザート、そういう結び付けるものがあってこそ、メインが引き立つというものなのさ」
「しかも、ヤスは2年生だな」
「…そう、そこも重要だ」
奴は、得たりとばかりに指を鳴らした。
「この漫画は、桜木が1年の夏で終わる。この潔い終わり方こそが、この漫画を名作にした。読者に、その後の桜木たちの活躍を想像させる余白を残したのさ。2年のリョータがキャプテンになる。ヤスは、それを補佐するだろう。湘北は続く。彼らが卒業した後もな。ヤスは、玉子とじなんだ」』

上記に引用したのは、
私がnoteで連載していた
『鳥見桐人の漫画断面図』
というシリーズから、
スラムダンク回の一部です↓

ヤスこと安田について
語っています。

ヤス的な存在がいる組織は、
とても強い
、と思います。

読者の皆様の組織には、
ヤス的な存在の方はいますか?
それともあなた自身が
ヤスですか?

※鳥見桐人の漫画断面図は、
おすすめのマンガの
ワンシーンだけを切り取って
(鳥見ングで桐人る、ので)
紹介するシリーズです↓

note無料公開記事。
ちょっとニートっぽい
(実は働いている)主人公と
漫画喫茶の旧友が
だらだら議論しています。
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