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友達はVR強姦をしない人を選ぼう
いつか、発生する事件であろうことは予想していた。
……と、いうよりも、大なり小なり、
局地的におきていた話だ。
僕自身、被害者になったこともあるのだから。
けっして、今回が特別だったわけでない。
なにかの拍子で大衆の目に止まる場所に
届いてしまっただけなのだ。
こんばんは。バーチャルの世界を飛ぶ
鳥系VTuber・翡翠ミヅキです。
![](https://assets.st-note.com/img/1648657120742-gMHtvhSkjt.png?width=1200)
2022年3月30日の18時頃。
Twitterトレンド1位にまでなってしまった
『VR強姦』。
![](https://assets.st-note.com/img/1648654171949-VOLVvyWnG8.png?width=1200)
これの反応に対して
VR業界への歪んだ認知が広まる危険性を感じ
筆を取りました。
まず最初に伝えたいこと。
今回の事件がおきた場所である
「VR」の世界をよく知らずに指を刺し、
茶化していいお話ではないということ。
普段からVRに没入している人と、
この世界に触れたことのない人、
今回の事件に対する印象と衝撃に、
両者大きな格差があることを、
まずは知ってほしいのです。
でなければ、
貴方が加害者になりうる可能性すらあります。
本稿は、そんな格差を少しでも埋めつつ、
どのような場所でどのような事件が起きたのかを
正しく理解していただきたく執筆していきます。
「VR強姦」という単語にピンとこない皆様は、
少し長くなりますが、
前置きにお付き合いください。
♦ 超身近になった現在のVR
さて、みなさんは、「VR」と聞いて
どのような物を連想するでしょうか。
アニメや創作物が好きな人は
『ソードアート・オンライン』の
世界でしょうか。
時にはエロ目的なんて言われることも。
最近ではスマホで見るVRも普及していますね。
「ちゃんとしたVRは高い!」
ふむふむ。そんなイメージの方も多いですよね。よく言われます。
「メタバース!」
でたわね!(;゚Д゚)
はい、そのどれもが正しいものです。
現在のVRとはまだまだ発展途上のもの。
しかしながら、この数年で、
状況は大きく変わってきています。
「ちゃんとしたVR」
およそ5年前
一般庶民には手の届かない
憧れの世界でした。
しかし、2022年現在。
今、特に普及しているVR専用機器である
『Quest 2』の価格は約37,000円前後であり
PS5よりもお手頃な価格。
VRの空間で学生に遭遇するのも
珍しくない時代になっています。
![](https://assets.st-note.com/img/1648657314349-KvdE3xque7.jpg?width=1200)
筆者も、この『Quest 2』を使って
毎日のようにVRの世界に通う変わり者。
もはや、VRがない生活がどんなものだったのか
思い出せないほど生活に密接した機器であり、
VRの世界を生きています。
![](https://assets.st-note.com/img/1648657381420-Xkgz5VFo0v.png?width=1200)
そんな中。
今回、事件が起きたのは、
近年注目度の高いVRSNS。
「VRChat」で発生した事件です。
♦ VRChatという仮想現実で生きる人々
VRChat。通称『VRC』。
VR専用の機器を使用して遊ぶVRSNSです。
※なお、モニターでもプレイは可能。
ここには様々なワールドが用意され
全世界から数百万人ものユーザーがアクセスし、
自分が好きなアバターを身に纏って
日々交流を深めています。
なお、SNSといっても
TwitterやFacebookといった感覚ではなく
イメージとしては、
オンラインゲームに近いもの。
お喋り特化のMMOといっても
過言ではありません。
![](https://assets.st-note.com/img/1648657886267-0cXpvX8QgA.jpg?width=1200)
……いや、それは過言かもしれない。
とにもかくにも、そういった場なのです。
そして、
現存するSNSやオンラインゲームと違うのは
「①VR機器を使うことによる没入感」と
「②あらゆる意味での自由さ」。
このふたつへの知識を深めることは
今回の語る事件がどのようなもので
なにが問題なのか
理解するうえで重要な材料となります。
①VR機器を使うことによる没入感は、体験してはじめてわかる
「VR機器を使った没入感は
どんなに書いても伝わらないので
体験してください」
これは、物書きとしての
敗北宣言と同義の一文です。
昔、先輩に「そんなレビューはクソだ!」と
よく怒られたものです。はい。
ただ、こと、VR機器に関しては、
この言葉を使うしかありません。
VR機器の没入感というものは本当に凄まじい
もので、どんなに語ったところで、
VR機器を初めて装着した時の衝撃や、
現実が揺らぐ感覚というものを
伝えきることはできません。
VR機器を被ってVRの世界に降り立った時、
視界にある両手は「自分の手」であり、
鏡で見える自分は「本当にそこに居る」し、
横で話す友人も「本当に隣に居る」のです。
![](https://assets.st-note.com/img/1648658051205-N84oyvwhpY.png?width=1200)
いや、居ないんですけどね。居るんですよ。
意味わからないでしょう? 僕もわかんない。
さらに、
ふざけていると思われるかもしれませんが、
『VRC』を遊んでいると、
「VR感覚」と呼ばれる特殊能力を持った人と
遭遇する場面がよくあります。
「VR感覚」とは
「VRで見ているものや聞こえているものに
対して、自身の体が反応する」
ことで、自分が物に触れた感覚からはじまり、
他人に触られる感覚、
ときには匂いや温度を感じる人までいます。
![](https://assets.st-note.com/img/1648658373292-VlItZpA5ll.png?width=1200)
もはや、新人類?
……でも、これが冗談では済まされないのがVR。
話は少しそれてしまいますが、
僕がVRゲームで遊んでいた際に、
友人Aが放ったビームが直撃してしまった
友人BがVR感覚で痛みを覚えて
パニックに陥るという事件を
目の当たりにしたことがあります。
※これはかなり特別な例ですが。
そして、私も、状況によってVR感覚を
体感する瞬間があります。
例えば、友達と話している時に、
別の友人に視覚外から
耳元で声をかけられた時なんかには、
あるはずのない人の気配や
息を吹きかけられた感覚を覚え、
ほのかに暖かい体温を感じて
「ぎゃあっ」といって飛びのく。
……といったようなことも。
それほどまでに視覚と聴覚は
人間に没入感を与えるものであり、
今のVR機器やVRChatの世界にはそれだけの
没入感があるということです。
体験したことのない方には伝わらない感覚だと
思いますが「そういうものなんだ」と
理解していただけると幸いです。
もちろん、没入感には個人差はあります。
ただ、実際に体験して、
20人くらいがわいわいしている飲み屋街で
お酒を飲みながら人と話してみれば
現実なんて簡単に忘れます。
![](https://assets.st-note.com/img/1648658510831-m3Ms8QsB8p.png?width=1200)
ちなみに、上記の説明だけだと
僕がVR感度を持つ特殊能力者のように
見えますが、実は逆。
僕はどちらかというとVR感度がないほうで、
ある人を羨ましく思っているほどです。
②あらゆる意味での自由さによって形成された現実的な文化形成
そして、『VRC』を語る上ではずせないのが、
その自由さ。
「アバターを着て、他人と話すこと」が
本来の目的である『VRC』ですが、
その目的はあってないようなもの。
この空間では、ありとあらゆることが自由です。
(※運営上のガイドラインは存在しています)
容姿。どんな姿にだってなれます。
理想の自分。理想の異性。動物。
スライム。神。その時、その瞬間に
なりたい自分で居られます。
場所。好きなところに行けます。
渋谷の交差点。新宿の飲み屋街。
“水の都”ヴェネツィア。
宇宙。アニメでしか見たことのないような
ファンタジーの世界。
いままで人類が見たことのない場所まで。
何処へだって行けます。
![](https://assets.st-note.com/img/1648658563525-u62XTm7lJx.png?width=1200)
そんな自由が許される世界での過ごし方も、
自由です。
お友達とお喋りするもよし、
ひとりで様々な場所を巡るもよし、
路上でライブするもよし、
カメラを片手に写真を撮るのもよし、
バーのマスターになって
お客さんのお話を聞くもよし、
剣を振り、銃を構えてゲームをするもよし、
恋愛をするもよし。
友人にバーチャル同棲している人も居たっけな。
オンラインゲームの一種として
プレイしている人もいれば、
創作の場として活用する人、
パフォーマー、商売人。
そして、
もうひとつの世界として生きている人たち。
主張や主義が異なる人々が、
数えきれないほどのコミュニティを形成し、
24時間365日、
バーチャルリアリティーの世界を作っています。
![](https://assets.st-note.com/img/1648658997132-jv5hd1Db6l.png?width=1200)
アニメやラノベに詳しい人であれば、
「VR」の理想といえば
『ソードアート・オンライン』の世界を
思い浮かべる方は少なくないでしょう。
あの没入感に比べれば、
今のVRはまだまだ劣るかもしれません。
しかし、文化としては、
すでに基礎が完成しつつあり、
商品販売やイベントを利用し、
VRChatの枠を飛び越えた経済圏も存在します。
現実世界で生活しながら、
家ではVR機器を被り、
もうひとつの世界で他人と生きていく。
今、VRを身近に楽しんでいる人たちは、
『SAO』と遜色のない世界を生きているのです。
![](https://assets.st-note.com/img/1648658860892-oQewuHXysq.png?width=1200)
♦ VR強姦は笑えるのか?
さぁ、お待たせいたしました。
いよいよ本題です。
「VR強姦」
言葉が強っ!!
なんて恐ろしいパワーワードだろうか。
そりゃトレンド1位にもなるよ。
まず、大前提の知識をもたない人が、
これを見てあらゆる憶測を生んでいましたね。
「VR機器を装着中に強姦をされた」だとか。
そう思っても仕方がないとも思います。
なので、僕が観測した限りでの事件を
簡潔にまとめます。
(※ご本人様のことをしっかりと理解しているわけではないので、事実と違うことがあったら許してください。)
「VR空間で寝ていたら、そこに現れた人物に
卑猥(エロ)な行為をされた」
※被害者と加害者はおそらくどちらも女性アバターを着用した男性
これは、あくまでVRChatの空間でおこなわれ、そこで完結した事件。
「物理的な被害はないが、精神的にキツい」
……といった内容でした。
すぅーーーーーー(空気を思いっきり吸う音)。
キッツいわぁーーーー(;゚Д゚)ーーーー!!
無理無理! 想像するだけで鳥肌が立つ!!
被害者の方のお気持ち、
察すると本当にしんどいです。
めちゃくちゃ気持ち悪いし怖かっただろうなぁ。
……こほん。取り乱しました。
それでは、これのヤバさみたいな部分を、
ひとつひとつひも解いていきます。
①VR睡眠という文化は、わりと普通
さて、前述したとおり、
VRChatの世界ではとても自由な行動が許され、
文化が形成されています。
その中でも、普通に見たら独特であり、
なのに
VRの住民にわりと広く親しまれているのが
VR睡眠という文化です。
VR睡眠とは、文字通り
「VR空間で寝ること」を意味します。
つまり、VRヘッドセットをつけたまま横になり、すやすや眠るわけです。
![](https://assets.st-note.com/img/1648659164815-gzx2zdJcM9.png?width=1200)
なお、
これは寝落ちだけを意味する言葉ではなく、
その状態で寝ることを意味していて、
進んでVR睡眠をする方が多く居ます。
うん。僕も、「マジ?」と思います。
こんな重いものつけて寝るとか無理無理。
……って思ってたんですけどね。1年前は。
けれど、VRの世界で出会って、
恋愛をした方と一緒に
添い寝を経験してからというもの、
たがが外れ、
普通にするようになってしまいました。
満点の星空の下で草原に横たわって寝たり、
水中でぷかぷか潜りながら寝たり、
特別な人と一緒に寝たりするのが
最高なんですよね。うんうん。
![](https://assets.st-note.com/img/1648659228007-QHLDcSO4Am.png?width=1200)
……おっと、話がそれました。
そのように、VR睡眠という文化は、
VRChatをする人たちにとっては(賛否あれど)
わりと一般的に知られているもので、
かつそれに対するスタンスもそれぞれ。
絶対にしないさせない人もいれば、
誰も入ってこれないような場所で寝る人、
誰もが出入りできる「パブリック」と呼ばれる
空間で寝る人もいますし、
VR睡眠をする人を集う場所というものまで
存在しています。
つまり、被害者のようにVRで寝るのは、
特別なことではないのです。
②ジェンダーを誤解される恐怖
そして、この問題を語る上で
かなりセンシティブで、かつ根深い部分が、
VR空間での性別についてです。
現在のVRChat、
特に日本人のコミュニティでは、性別を問わず、
ほとんどの人が美少女のアバターを
使用している現実があります。
9割といっても過言ではないでしょう。※おっと、そこの男性アバターや性別不詳アバターを使っている愛すべき皆。ステイステイ。君たちの存在を忘れたわけではないですよ。
つまり、どこに行っても美少女だらけ。
かわいい女の子が大好きな人にとっては
夢のような空間です。
しかも、「かわいい!」とか「エロい!」とか、
わりと直接伝えても許される状況がありますし、
むしろ誉め言葉のように飛び交います。
かわいいは、正義なんよ。
しかしながら、どんな美少女を纏っても、
その中身の性別は変わりませんし、
ましてや人格は変わりません。
すると、どんなことがおきるかというと、
男性だけでもこんな状況になります。
①女性アバター×男性(精神的に男性)
②女性アバター×男性(精神的に男性で女性声)
③女性アバター×男性(精神的に女性)
④女性アバター×男性(男性が好きな男性)
⑤女性アバター×男性(精神的に女性で女性が好き)
⑥女性アバター×男性(精神的に男性で外見女性の男性が好き)
いまざっと思いつくだけでも
これだけ複雑な状況です。
さらに細分化し、異性が混ざり、
さらにその恋愛対象まで含めると、
混沌とした状況が爆誕します。
この闇は、VRChatのなかでも
かなりの深淵なので、
また語る機会があればお話ししましょう。
![](https://assets.st-note.com/img/1648659296457-7TzsCf5DCp.png?width=1200)
では。なぜ今この話題を出したかというと、
今回の被害者と加害者ははたして
どのようなジェンダーだったのかは、
他人からまったくわからないというのを
理解するためです。
例えば、
自分が①、加害者が①だったら
おふざけや笑い話で済むものだった
かもしれません。
しかし、自分が①、
加害者が⑥だったと想像して、
それで本気で襲われているのを
想像してみてください。
地獄です。
また、これは自分のエピソードとなりますが、
僕は美人なアバター(自画自賛)を巧みに操り、地声が高いからか、
初めて会う野太い声の男性に
笑い話では済まない口説かれかたをされた
経験があります。
あまりの気持ち悪さで
ウィル〇ミスばりの顔面パンチ。
つまり、女性アバターを使っているからといって
女性になりきって
プレイしているわけでもないし、
その逆の人もいる。
そんな中で、
自身と合わないジェンダーを押し付けられ、
襲われる恐怖や嫌悪感は計り知れないのです。
③そして、現実と間違えるほどの没入をしているわけで……。
閑話休題。ここで小話をひとつ。
筆者がVR睡眠を初経験した同時期です。
寝ぼけていた僕は、現実の世界なのに、
VR空間にいるような錯覚に陥り
「あ~。寝落ちた~。
ログアウトしなきゃ……。あれ~?
ボタン押してもメニューがでない。なんで?」と
2分ほど気づかなかった経験があります。ウケる。
さて。これは笑い話ですが、
今回の事件と重ねるとどうでしょか。
寝起き。
現実なのかVRなのかのわからないほどの
曖昧な判断能力。
本気で襲ってきている目の前の人物。
理解不能な状況。
恐怖。
さらに、ここまで書いてきた
「寝起きでなくとも、
計り知れないほどの没入感の中に居て
人や状況よっては‟本当に触られている
錯覚すら覚える没入感”」
という背景を加えて、
自分が襲われたと考えてみてください。
はたして、笑えるでしょうか?
まとめ
VRの世界、並びにVRChatの世界は、
ありとあらゆる可能性が実現し、
出会いで溢れる、フロンティアです。
![](https://assets.st-note.com/img/1648659463794-30dQseWE2Q.png?width=1200)
VR機器をつけている姿は滑稽かもしれません。
美少女になっている姿を
笑われることも多くあります。
ただ、そんな声なんて霞むほどに、
「この場所に居たい」と思わせてくれる
価値がある世界です。
![](https://assets.st-note.com/img/1648659658229-OsgyMHqJIV.png?width=1200)
この世界で夢を見つけた人
この世界で生きる意味を得た人
この世界で愛する人と出会った人
たくさんの人を見てきました。
僕もそのうちのひとりです。
だからこそ、この世界の住人は、
様々な素敵な物を創造して
高らかにかかげ、叫ぶのです。
「貴方も一緒に遊ぼうよ!
この素晴らしい世界で!」と。
![](https://assets.st-note.com/img/1648659750049-nKcgOEiGx3.png?width=1200)
ゆえに、今回の事件により、
VRChatが不名誉な話題として
あがってしまったこと。
センシティブなあれやこれで意見が飛び交い
歪んだ認知で人々に届くことを
僕は苦々しく思います。
今回の一件で、興味を持っていたのに
一歩引いてしまった人
どうか安心してください。
この世界は、そんなに酷いものではありません。
最初はきっと大変です。
出会った人で
この世界の印象は大きく変わるから。
だけど、
そこだけが世界のすべてではありません。
素敵な人が、たくさんこの世界にはいます。
不安なら、僕に連絡してください。
ご案内します。
だから、どうか、貴方にも
素敵な出会いがありますように。
友達はVR強姦をしない人を選ぼうね!
![](https://assets.st-note.com/img/1648659917963-pNpTqo3Ces.png?width=1200)
<自己紹介>
鳥類魔術師VTberで
バーチャルフォトグラファー。
2021年ごろからVRCにデビュー。
ほぼ毎日のようにVRで生活。
プレイ時間は間もなく3000時間に達しそう。
ひえー。
Twitter:@hisuimizuki
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